毎週ショートショートnote|七夕の歩幅
初めて彼女と会った時、レモングラスの香りがした。
同じ大学の経済学部で、同じゼミを選択していた。授業が終わり研究室から出た時、僕は彼女に声をかけた。
「織田さん、駅まで一緒に帰らない?」大学の最寄り駅にあるノアールでカフェでも、と僕は織田さんに提案した。あんなにドキドキしながら誘ったのに、笑顔ですんなりと応えてくれた。
店内で二人ともカフェラテを頼み、ゼミのグループワークのことや将来の進路について話していたが、僕は織田さんの右えくぼやブレスレットに気を取られてばかりだった。
会計の時、カウンターに七夕の短冊が置いてあり「ご自由に」とあったので、僕は黄色の短冊をこっそり取った。織田さんは「また今度カフェしようね」と言ってくれた。僕はさっき殴り書きした黄色の短冊を、帰ってから見てほしいと手渡した。
きみの香が
ファーストノートのレモンから
また今度ねで
オレンジになる
僕は勝手に急かせた歩幅を恥ずかしく感じながら、下り電車に乗り込んだ。
#毎週ショートショートnote
#七夕の歩幅
こちらのお題に参加させていただきました🙇♂️
