春の東北湯治⑥【必然の再開 湯治仲間が来た】
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昨年末から年明けまで、こちら高東旅館で一緒に湯治をしていたMさんは、別れてからも連絡を取り合っていた。私の身体のことをいつも気にかけてくれる方だった。
前訪の別れ際「桜の咲くころに再会しましょう」と約束し、あれから3か月半。満開に合わせようとしたMさんは、毎日の様に変わる川渡の開花予想に振り回され、直前まで出発日が二転三転。
私がこちらに来てから送った桜の画像を見て、飛ぶようにやって来た。自営業のようなので仕事はある程度調整が出来るという。
駐車場でストレッチをしようと外に出ようとすると、見覚えの、そして乗り覚えある車が。一陽来復の鳴子の地で、再開を果たした。
Mさん 「久しぶり。身体大丈夫?」
私 「冬を越えたので、何とか」
Mさん 「そうなんだ。無理しないでね」
相変わらずサッパリとしていた。
Ⅿさん 「今回は全部下道で来たのよ」
私 「さすが」
Mさん 「だって高速代だけで高東さん2泊(往復だと4泊)も出来ちゃうからね」
若い頃から旅を続けてきたというMさん、倹約の仕方も一流だ。
私も連休に合わせ湯治に出ることもあるが、繁忙期に値段が変動する宿には基本的に泊まらない(※ホテル旅館業者としては値上げをするのは当然のこと)。長旅になると高速代や特別料金にも目を光らせ、削れるところは全て削るのが定石だ。
前回詳しくはお聞きしなかったが、Mさんも関節リウマチと診断され、治療のために湯治をしているという。今回は相方さんは置いてきたそうだ。
桜の開花の後を追うように、少し遅れて江合川の河川敷には菜の花畑が盛りを迎える。宿からすぐなので、昼休憩の時間に一緒に出て行った。
私の前を歩きどんどん菜の花畑に入って行くMさん。クロックスのため土手でスリップし豪快に転倒した。変わらぬの行動力には今回も驚かされた。
前回滞在時にも随分食事のお世話をしていただいたが、それは今回も。
頼んだ記憶はないが、私がウェブ会議をしている途中にカットインし鳴子名物の栗団子やしそ巻きをデリバリー。夕食はスンドゥブチゲやカレーをいただいた。さながら受験生のようだ。
私がこちらを発つ前日には、「山菜の女王」と呼ばれるコシアブラを知人から貰って来たらしく、炊事場で天ぷらを揚げることに。
元々世話焼きな性格なのか、レンタサイクル(※隣の藤島旅館で貸してくれる)で天ぷら粉とサラダ油をドラッグストアまで買いに行き、炊事場でライブで振る舞ってくれた。山菜好きの私にとってはこれほど嬉しいお裾分けはない。
何かお礼をせねばと、私は湧水が好きだというMさんを車に乗せ、秋田県湯沢市にある「目覚めの清水」という湧水処にお連れした。
往路に経由し20ℓポリタンクで給水した「風早峠の水」が底をついてしまい、Mさんも湧水が好きでポリタンクを常備していた。
曇天が覆う中、国道108号泉を北上し秋田県に入る。
まだ残雪が深い山間部を抜け平地へと降りると、通り沿いに境内社を発見。2本の塩ビ管の先から清水が出ていた。
道路付けもまずまず。他の客はいないので余裕を持った採水となった。これでまた1週間は天然水生活が可能だ。
次第に雲の切れ間から陽が差すようになり、車通りの少ない国道を快適ドライブ。この頃にはかなり身体の痛みは治まっており、ここ一年で最高の仕上がりだった。
私 「明日発つと思うと、ちょっと寂しいです」
Mさん 「まあ、また会えるから」
私 「そうですね。次はいつ頃」
Mさん 「できれば来月。やっぱりここが一番効くの」
「また来るとき教えて」
カーオーディオから流れるのは、大滝詠一、山下達郎、松任谷由実。バブルの匂いが漂うドライブも、また美しき記憶の一つに刻まれた。
令和4年4月23日




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