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inagakijunya
そそられたから
水たまりにふと目が止まった。なんだか吸い込まれそうなというか、トンネルのように思えて、飛び込んだらあちらの世界へ通り抜けて行けるんじゃないかと思った。
子供じゃないんだから。もう三〇にもなろうというのに、そんなことを考えるなんて自分でもどうかしてると思った。
でも、そう考え始めたら、もう居ても立ってもいられないというか、この水たまりを無視して通りすぎるなんてことはできなくなってしまった。
どうしよう。
私は前方を見て、後方を見て、左右も確認してひと気がないことを確認した。誰も来そうな気配はない。マンションのベランダに立ってる人もいない。
ようし。
私はジャンプして水たまりを飛び越えてみた。
三〇センチもないもの。軽々飛び越えられるわよ。あー、いや、飛び越えたかったんじゃないよね。この中に入れそうなんだよね。この中、入ったらどこに行くのかな。地底の世界とか行けるかな。それともどっかに通り抜けられるのかな。ワープできる?タイムワープできちゃう?宇宙とか行けちゃう?
あ、クラクション。車が来た。
…通り過ぎてった。
水たまり、まだあるし。うん、まだ誰も来ないし。
よぉ…し、今度こそ!ドッポーン…
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