「ちゃんと伝えよう」とするほど、報告が遅くなる理由
太助くんは、画面の前で指を止めていた。
報告しようと思って、資料は開いている。
でも、なぜか送信ボタンが押せない。
太助くん(心の声)
「えっと……これ、どこまで書くんだっけ……」
報告しようとして、手が止まる
太助くん(心の声)
「一応、もう終わってる」
「でも、背景も書いたほうがいいかな」
「いや、そこまで言うほどでもないか……?」
文章を書き始めては消し、
消しては、また考える。
太助くん(心の声)
「今、京香さん忙しそうだし……」
「あとで、まとめて言ったほうが親切かな……」
気づけば、別の作業に手を伸ばしている。
太助くん
「……よし、これは先に片づけよう」
報告は、画面の端に残ったままだ。
「今じゃない」が積み重なる
夕方。
京香さん
「太助くん、あの件どうなった?」
太助くん
「あっ、終わってます……!」
京香さん
「そうなんだ。
じゃあ、共有は?」
太助くん
「……
すみません、まだで……」
太助くんは、また同じやり取りをしていることに気づく。
太助くん(心の声)
「ちゃんとやってるのに……」
「なんで、毎回こうなるんだろう……」
京香さん
「太助くんさ」
太助くん
「はい……」
京香さん
「伝えなきゃって思ってるでしょ」
太助くん
「……はい」
京香さん
「それね、
考え始めると一番止まるんだよ」
真面目な人ほど、詰まりやすい
太助くん
「でも……
雑に伝えるのも、よくないかなって……」
京香さん
「うん。真面目だよね」
太助くん
「……」
京香さん
「でもね、毎回ちゃんとを考えてると、
報告って、いつまでも終わらない」
太助くんは、ハッとする。
太助くん(心の声)
「たしかに……」
「毎回、その場で考えてる……」
深見さん
「太助くん」
太助くん
「はい?」
深見さん
「報連相ができない人って、
だいたい考えてない人じゃない」
太助くん
「……」
深見さん
「毎回ゼロから考えてる人なんだよ」
その言葉が、静かに刺さる。
太助くん(心の声)
「伝えようとして止まってた……」
「サボってたわけじゃ、なかったんだ……」
画面に残った、未送信の報告。
太助くんは、まだ送らない。
この時点では、
「どうすれば楽になるか」までは、
まだ見えていなかった。
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