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映画感想 『これからの私たち - All Shall Be Well』 (★★★)

60代のレズビアン・カップル、パットとアンジー。パットの死を契機に始まる、アンジーと遺族との葛藤を描く香港映画。
監督・脚本は、弁護士から監督業に転身したという レイ・ヨン。

冒頭近く、親族で祝う中秋節のエピソードが秀逸。
性的マイノリティーではあるが、経済的には成功者であるパット。彼女が、自身の親族それぞれに「普通の成功」 (就職や結婚) を祈るシーンに感じる皮肉と居心地の悪さ。これも一種のマイクロアグレッション。

法制度上の弱者と、経済的弱者との衝突。理性と感情の、微妙に噛み合わないパズル。
言ってしまえば、男女の関係でも普通に起こり得る話。それを、LGBTQテーマの古くて新しい物語として、あくまで静かに、しかし力強く描く監督と俳優陣の力量は相当なもの。

誰が悪いわけではない。その微妙なバランスが保つ脚本が見事。一つ、アンジーの罪をあげるとすれば、パットに頼り切り、「主婦」という役割に安住していたことだろう。

あまりハッピーなエンディングではないが、残された思い出こそがアンジーの財産。観るものを納得させる、素晴らしいラストシーンだと思う。

終映後のトークセッションに、監督とアンジー役の パトラ・アウ が登壇。
家族の描写のリファレンスとして、小津安二郎をあげる監督。「好きな人へのラブレターだと思って、明日にでも遺言書を書くべき」と語るパトラ。

土曜の昼下がりの劇場は、多くの女性で満席。渋谷一館だけの上映なんて勿体無い、年間ベスト級の傑作。おすすめです。


(評価は、無星 / ★ / ★★ / ★★★)
Filmarks: https://filmarks.com/users/tokuos

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