荒川で整える
リモートワークを終えると、ノートパソコンを閉じて、静かに息をつく。仕事の緊張がまだ残っている。緊張をほぐしに、いつものように、滞在するシェアハウスを出て荒川へ向かった。
歩いて五分。河川敷に辿り着き土手の階段を登りきる。土手の上から目の前に広がるのは、沈みゆく陽に染まる空と、対岸の明かりを淡く映す川。一度深呼吸して、荒川沿いを歩き始める。
川沿いを流れる風に身を委ねながら、岩淵水門の赤いアーチを横切る。対岸のマンション群には、ひとつ、またひとつと明かりが灯り、都市の夜がゆっくりと始まっていく。
散歩のあいだ、歩き始めはまだ日中の思考で凝り固まっている。ただ歩く。足音と風の音とともに歩いているうちに、心の中の緊張がほどけていた。
三十分ほど歩いて、シェアハウスに戻るころには、呼吸が深くなり、画面の向こうで働いていた自分と、少し距離を取ることができていた。
夕方の荒川散歩は、私にとってリモートワークの一日を終えるための呼吸を整える習慣となっていた。
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あなたの一日に、静けさがひとつ灯りますように。
村松 智
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