第2章 Figmaの基本操作──まず30分で「触れる」ようになる
連載:PMのためのFigma入門 #02
2026年4月版
🚀 このnoteで何が変わるか
この章では、Figmaを「なんとなく開いて閉じる」から「使えるツール」に変えます。
目標はシンプルです。30分のハンズオン(実際に触ること)でFigmaの基本操作を習得する。
具体的には4つのことができるようになります。
キャンバスをスムーズに操作できる(迷わず画面を動かせる)
テキストを編集できる(簡単な修正を自分でできる)
コメントを追加できる(デザイナーへのフィードバックを的確に伝えられる)
プロトタイプを操作できる(ユーザー体験を本番に近い形で確認できる)
「Figmaって難しそう」という先入観を、今日の夜30分で完全に取り除きましょう。
⚙️ 2-1 まずFigmaを開く前に──環境を整える5分
アカウント作成とログイン
Figmaはブラウザで動くツールです。インストールは不要です。
まずfigma.comにアクセスして「Sign up」でアカウントを作りましょう。Googleアカウントがあれば30秒で登録できます。
プランはどれを選べばいいか。答えは簡単です。
最初は Starter(無料)で十分です。
Starterプランでは、Figma Designファイルを3つまで無料で作れます。今日の練習には十分すぎるくらいです。なお、ファイル内のページ数に制限はありません。
デザイナーからファイルのリンクが送られてくる場合は、アカウントを作るだけでOKです。View席(閲覧のみ・無料)で、コメントの追加やプロトタイプの操作ができます。
Figmaを開く2つの方法
Figmaには「ブラウザ版」と「デスクトップアプリ版」があります。
| 方法 | メリット | 向いている場面 |
|------|---------|--------------|
| ブラウザ(Chrome推奨) | インストール不要・すぐ使える | 初めて試すとき |
| デスクトップアプリ | 動作が安定・オフライン対応 | 日常的に使うとき |
最初はブラウザ版で試してみましょう。動作が重いと感じたらデスクトップアプリをインストールしてください。
「練習用ファイル」を用意する
操作を練習するには、触れるファイルが必要です。2つの方法があります。
方法A:デザイナーに頼む(最速)
「練習用にファイルリンクをもらえますか?」とデザイナーに連絡する。多くのデザイナーは快く共有してくれます。
方法B:自分で作る
「New design file」から新規ファイルを作り、テキストや図形を置いて練習する。
この章では「デザイナーから共有されたファイルを見る」ことを前提に説明しますが、自分のファイルで練習しても同じ手順です。
🖥️ 2-2 Figmaの画面構成──4つのエリアを覚えるだけでいい
Figmaを開いて最初に感じることは「情報が多い」という圧迫感かもしれません。でも安心してください。PMとして最初に覚えるべきエリアは4つだけです。
┌──────────────────────────────────────┐
│ ツールバー(上部) │
├────────────┬───────────────┬──────────┤
│ │ │ │
│ 左サイド │ キャンバス │ 右サイド │
│ バー │ (中央) │ バー │
│ (左端) │ │ (右端) │
│ │ │ │
└────────────┴───────────────┴──────────┘① キャンバス(中央の広い領域)
デザインが並んでいる作業スペースです。白い背景の上に、画面のモックアップ(デザイン)が並んでいます。
ここを「Figmaの地図」だと思ってください。あなたはこの地図の上を動き回りながら、各デザインを確認します。
② 左サイドバー(左端)
2つのタブがあります。
レイヤー(Layers)タブ:ページ内のデザイン要素が階層で並んでいる「目次」です
アセット(Assets)タブ:ボタンやアイコンなど、再利用できる部品(コンポーネント)の一覧です
最初はほぼ見なくて大丈夫です。デザイナーから「このコンポーネントを確認して」と言われたとき以外は無視してOKです。
③ 右サイドバー(右端)
選択した要素の情報が表示されます。
Designタブ:色・サイズ・フォントなどの仕様
Prototypeタブ:画面間の遷移設定
View席(無料)では読み取り専用で確認できます。「このボタンは何色ですか?」という確認はここで行います。
④ ツールバー(上部)
ファイルの操作、共有ボタン、モード切り替えなどがあります。最初に覚えるべき場所は2つ。
Shareボタン(右上):ファイルをチームメンバーに共有するときに使います
「▶ 再生」ボタン(右上付近):プロトタイプをプレビューするときに使います
🖱️ 2-3 キャンバスを自在に動かす──ナビゲーションの3つの操作
Figmaで最初に躓くのがキャンバスの操作です。「どこかをクリックしたら画面が動いてしまった」「ズームしすぎて元に戻せない」という経験をした人は多いはずです。
この3つを覚えれば、もう迷いません。
操作① ズームの調整
一番使うショートカット:
| 操作 | Windows | Mac |
|------|---------|-----|
| 全体を画面に収める | `Shift + 1` | `Shift + 1` |
| 選択中の要素にフォーカス | `Shift + 2` | `Shift + 2` |
| 100%サイズ表示 | `Shift + 0` | `Shift + 0` |
| ズームイン | `Ctrl + +` | `Cmd + +` |
| ズームアウト | `Ctrl + -` | `Cmd + -` |
「迷子になったときは `Shift + 1`」 を最初に覚えてください。これだけでキャンバス全体が画面に収まります。
操作② パン(画面をスクロールする)
パンとは、キャンバスをスライドさせて見ている位置を動かすことです。
最も直感的な方法:
スペースバーを押したまま、マウスをドラッグする。
これを「スペースバーパン」と覚えてください。スペースバーを押している間だけ手のひらアイコンに変わり、キャンバスを自由に動かせます。離したら元のツールに戻ります。
操作③ 要素の選択と選択解除
クリック:その要素を選択する
別の場所をクリック or Escキー:選択を解除する
キャンバスの空白部分をクリック:何も選択されていない状態に戻る
「なぜかうまく選択できない」場合は、フレーム(画面全体)を選択していることが多いです。その場合、もう一度クリックすると中の要素を選択できます。
⌨️ 2-4 テキストを編集する──自分でできる「小さな修正」
PMとしてFigmaで最初にできるようになりたい操作の一つが、テキストの編集です。
「ボタンの文言を『登録する』から『今すぐ始める』に変えたい」──このくらいの修正は、デザイナーに頼む前に自分でやってみましょう。
テキストを編集する手順
編集したいテキストにカーソルを合わせる
ダブルクリックする(1回クリックでは「選択」、ダブルクリックで「編集モード」に入る)
テキストが青い枠で囲まれ、カーソルが点滅したら編集モードです
`Cmd + A`(Mac)/ `Ctrl + A`(Win)で全選択してから、新しいテキストを入力する
`Esc` キーで確定して編集モードを終了する
うまくいかないときのチェック:
1回クリックしかしていない → ダブルクリックが必要
フレーム全体が選択されている(青い外枠が大きい)→ もう一度クリックしてからダブルクリック
View席でファイルを閲覧している → View席はテキスト編集不可。Full席が必要
重要:変更を保存しなくて大丈夫です。 Figmaは自動保存なので、Escで確定すればそのまま保存されます。「保存し忘れた」という事故は起きません。
💬 2-5 コメントを書く──デザイナーとの対話を変える機能
コメントはPMが最もよく使うFigma機能です。View席(無料)でもコメントの追加・返信ができます。
コメントを上手に使えるようになると、Slackで「このデザインの件なんですが、えーと、あの画面の右上のボタンなんですけど…」と文字で説明していた時代が懐かしくなります。
コメントを追加する手順
画面上部のツールバーで「コメントツール」を選択する(吹き出しアイコン、ショートカット:`C`)
コメントしたい箇所をクリックする(ピンが刺さります)
表示されたテキストボックスにコメントを入力する
Enterキーで投稿する
コメントモードから通常モードに戻るには: `Esc` キーを押すか、ツールバーの「選択ツール」(矢印アイコン)をクリックします。
コメントを返信する手順
キャンバス上のコメントアイコン(ピン)をクリックする
右サイドバーにコメントスレッドが展開される
「Reply」をクリックして返信を入力する
Enterキーで投稿する
「いいコメント」と「悪いコメント」の違い
Figmaのコメントは「どの箇所に対して言っているか」が一目でわかります。これを活かすと、コミュニケーションの質が上がります。
悪いコメントの例:
「全体的に色が暗い気がします。もう少し明るくしてください。」
→ どの要素に対して言っているかわからない
良いコメントの例(Figmaのコメントを活かした書き方):
「このCTAボタン(画面の中央の大きなボタン)の色を、ブランドカラーの青に変更してほしいです。ユーザーインタビューで『目立たなかった』という意見が多かったため。」
→ ピンを刺した場所で「どこか」が特定済み。理由も明確。
コメントには画像やGIF(動画)を添付することもできます。「こんなUIにしたい」という参考画像を貼り付けると、言葉だけでは伝わりにくいニュアンスも伝えられます。
📱 2-6 プロトタイプを操作する──「動く画面」でUXを確認する
プロトタイプ(Prototype)とは、実際に動くように見せた画面モックです。ボタンをクリックすると次の画面に遷移したり、フォームを入力したりできます。開発前に「こういうユーザー体験を作りたい」を確認するために使います。
PMとしてプロトタイプを確認する場面は多くあります。
ユーザーインタビューの前に「これで体験の流れを確認してほしい」とデザイナーから共有される
スプリントレビュー(アジャイル開発の各サイクルの振り返り会)で「今回作ったものを見てください」と見せられる
ステークホルダーへのプレゼンで「実際に触ってもらう」
プロトタイプを再生する2つの方法
方法A:プレゼンテーションビュー(おすすめ)
右上の「▶ 再生」ボタンをクリックすると、新しいタブでプロトタイプが全画面表示されます。実際のアプリに近い形で体験できます。
方法B:インラインプレビュー
右サイドバーのPrototypeタブで「▶」ボタンをクリックすると、Figmaのキャンバス内でそのままプレイできます。デザインと照らし合わせながら確認したいときに便利です。
プロトタイプ操作の基本
プレゼンテーションビューを開いたら、普通のWebサイトと同じように操作します。
クリック:ボタンや画像をクリックして画面を遷移させる
ブラウザの「戻る」ボタン:前の画面に戻る(プロトタイプの遷移とは別)
R キー(再生中):最初の画面にリセットする
「どこがクリックできるかわからない」を解決する:ホットスポット表示
プロトタイプを初めて触ったとき、「どこがボタンでどこがただの画像か」がわからなくて困ることがあります。
解決方法は、プレゼンテーションビューの画面左下や設定メニューに「Highlight hotspots(ホットスポットを表示する)」というオプションがあります。これをオンにすると、クリックできる場所が青くハイライト表示されます。
「見えないボタンを探す」ストレスが一瞬でなくなります。
🔑 2-7 最初に覚えるショートカット7選
Figmaを使いはじめると、ショートカットを覚えることで操作が一気に快適になります。全部一気に覚える必要はありません。まずこの7つだけ使ってみてください。
| # | 操作 | Windows | Mac | 使う場面 |
|---|------|---------|-----|---------|
| 1 | 全体フィット | `Shift + 1` | `Shift + 1` | 迷子になったとき |
| 2 | 選択にズーム | `Shift + 2` | `Shift + 2` | 細部を確認するとき |
| 3 | パン操作 | `スペース+ドラッグ` | `スペース+ドラッグ` | キャンバスを移動するとき |
| 4 | コメントツール | `C` | `C` | コメントを書くとき |
| 5 | 選択解除 | `Esc` | `Esc` | 何も選択されていない状態に戻るとき |
| 6 | ショートカット一覧 | `Ctrl + Shift + ?` | `Cmd + Shift + ?` | ショートカットを調べるとき |
| 7 | クイックアクション | `Ctrl + /` | `Cmd + /` | 操作方法がわからなくなったとき |
7番の「クイックアクション」は特に便利です。 `Cmd + /`(Macの場合)を押すと、Figmaのすべての機能を検索できるコマンドパレットが開きます。「あの機能、どこにあったっけ」というときは、まずここで検索してみてください。
📊 2-8 View席(無料)でできること・できないことを整理する
第1章で説明した通り、FigmaにはView席(無料)とFull席(有料)があります。PMがFigmaを使いはじめるにあたって、自分のアカウントで「何ができて何ができないか」を把握しておきましょう。
| 操作 | View席(無料) | Full席(有料) |
|------|:---:|:---:|
| デザインの閲覧 | ✅ | ✅ |
| プロトタイプの操作 | ✅ | ✅ |
| コメントの追加・返信 | ✅ | ✅ |
| 仕様の確認(色・サイズ・フォント) | ✅ | ✅ |
| テキストの編集 | ❌ | ✅ |
| 新規デザインの作成 | ❌ | ✅ |
| プロトタイプの作成・編集 | ❌ | ✅ |
| Figma Make(AIプロトタイプ生成) | ❌ | ✅ |
| Dev Mode(開発者向けモード)の詳細 | ❌ | ✅ |
「まずコメントとプロトタイプ確認ができれば十分」なら、View席(無料)でOKです。
「テキスト修正を自分でやりたい」「Figma Makeを使ってみたい」という場合はFull席が必要になります。
✅ 2-9 今日の30分でやること──実践チェックリスト
理論はここまでです。今日の夜30分、実際に手を動かしましょう。
以下のチェックリストを順番にやってみてください。
準備(5分)
[ ] figma.comにアクセスしてアカウントを作成(またはログイン)
[ ] デザイナーにファイルリンクをもらう(or 新規ファイルを作る)
[ ] ファイルを開いてFigmaの画面を確認する
ナビゲーション(5分)
[ ] `Shift + 1` で全体を表示する
[ ] スペースバーを押しながらドラッグして画面を動かす
[ ] 気になるデザインをクリックして `Shift + 2` でズームする
[ ] `Esc` で選択を解除して元の状態に戻す
コメント(10分)
[ ] `C` キーを押してコメントツールに切り替える
[ ] デザインの気になる箇所をクリックしてコメントを入力する
[ ] Enterで投稿し、ピンが刺さったことを確認する
[ ] `Esc` キーで選択ツールに戻る
[ ] 自分が書いたコメントをクリックして確認する
プロトタイプ(10分)
[ ] 右上の「▶」ボタンをクリックしてプロトタイプを開く
[ ] 「Highlight hotspots」をオンにしてクリックできる場所を確認する
[ ] ボタンをクリックして画面遷移を確認する
[ ] `R キー` で最初の画面に戻る
これをやり終えたとき、あなたはFigmaを「怖くないツール」だと感じているはずです。
📝 第2章のまとめ
Figmaはブラウザで動く。インストール不要、アカウント作成5分で始められる
画面は4エリア(キャンバス・左サイドバー・右サイドバー・ツールバー)。最初は「キャンバス」と「右サイドバー」だけ意識すればいい
迷子になったら `Shift + 1` ひとつで全体が見渡せる
コメントはView席(無料)でも使える。ピンを刺した場所で「どこか」が一目瞭然になる
プロトタイプは「Highlight hotspots」でクリックできる場所が可視化される
まず無料のView席から始め、編集やFigma Makeが必要になったらFull席へ
📚 第2章 用語集
この章で出てきた専門用語をまとめます。
キャンバス(Canvas)
Figmaのメインワークスペース。デザインが並んでいる中央の白い領域。Illustratorやスライドツールの「作業エリア」に相当する。
フレーム(Frame)
Figmaでデザインを配置するための「画面の枠」。スマートフォン画面サイズ、PCブラウザサイズなど、様々なサイズで作られる。
プロトタイプ(Prototype)
実際に動くように見せた画面モック。ボタンをクリックすると次の画面に遷移するなど、ユーザーがどんな体験をするかを開発前に確認できる。
コメントツール(Comment Tool)
Figmaで特定の場所に紐付けてフィードバックを書く機能。ピンを刺した場所と紐付けられるため、「どこに対するコメントか」が一目瞭然。
ホットスポット(Hotspot)
プロトタイプ内でクリック可能な領域のこと。インタラクション(画面遷移など)が設定されている要素のこと。
パン(Pan)
キャンバスを左右・上下にスライドさせる操作。マップのドラッグ移動に相当する。スペースバーを押しながらドラッグで実行できる。
レイヤー(Layer)
デザインを構成する各要素(テキスト・図形・画像など)のこと。左サイドバーのレイヤーパネルで階層構造を確認できる。
View席(Viewer Seat)
閲覧のみができるFigmaの無料アカウント権限。コメントの追加・返信、プロトタイプ操作、仕様の確認ができる。テキスト編集や新規デザイン作成はできない。
Full席(Full Seat)
Figmaの有料アカウント権限。デザイン編集、Figma Make、Dev Modeなどすべての機能が使える。
クイックアクション(Quick Actions)
`Cmd + /`(Mac)/ `Ctrl + /`(Win)で呼び出せるFigmaのコマンドパレット。機能の名前で検索してすぐに実行できる。
スプリントレビュー(Sprint Review)
アジャイル開発(短いサイクルで開発・改善を繰り返す開発スタイル)で、各サイクルの終わりに行う成果物の確認会。PM・デザイナー・開発者・ステークホルダーが集まって実際に動くものを確認する。
次回予告
第3章「デザインレビューとフィードバックの実践」
コメントの書き方をさらに一歩進めます。「何を確認すべきか」「デザイナーに何を聞けばいいか」「フィードバックが届かない理由」。Figmaを使って、チームの意思決定を加速させるレビューの技術を学びます。
「デザインレビューがいつも曖昧で終わる」と感じているPMは、ぜひ続けて読んでみてください。
このnoteは2026年4月の情報をもとに執筆しています。Figmaは頻繁にアップデートされるため、最新情報はFigma公式サイト(figma.com)でご確認ください。
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