見出し画像

自分を裏切らなかった一打は、ちゃんと体に残る

『誠実さは一打ににじむ』

思い通りに打てない日ほど、この言葉は少し胸に残ります。
結果よりも、その一打とどう向き合ったか。そこに、ゴルフの大切なものがにじむ気がします。


日曜の夜、人の少なくなった練習場で

日曜の夜は、練習場が少しずつ静かになっていきます。

午前中は混んでいた打席も、夜が近づくにつれて人がまばらになる。ライトがひとつひとつ点き始めて、打球音がいつもより遠くまで響く。

ボールの打感音だけが、しばらく耳に残る。

そういう時間に一人で球を打っていると、誰かに見られているわけじゃないのに、なぜか自分の一打一打が、いつもより正直に見えてくる気がします。


ミスが続くと、逃げたくなる

ゴルフをしていると、「崩れ始める」瞬間があります。

一打目が右へ流れて、二打目もタイミングが合わない。三打目で「もういいや」と、気持ちが少し切れかかる。

そういう時、人は無意識に「楽な打ち方」を探し始めます。

スイングを短く済ませる。
構えを雑にして、勢いで打つ。
「とにかく前に飛べばいい」と思って、最後まで振り抜かない。

その気持ち、よく分かります。

崩れている時に丁寧にやろうとすると、またミスをするのが怖い。だから少しだけ手を抜いて、「ちゃんと打とうとしたわけじゃないから」と、自分の中に逃げ道を作ってしまう。

始めたばかりの方はもちろん、長く続けている方にも、そういう瞬間はきっとあると思います。


私も、手を抜いたことがあります

正直に言うと、私にも「ごまかした一打」があります。

若いころの私は、数を打つことが努力の証だと思っていました。
練習場でアルバイトをしていたこともあり、
多い日は一日に1200球ほど打つこともありました。

もちろん、その時間が無駄だったとは思っていません。

でも、数を打つことばかりに気持ちが向くと、
一打一打が少しずつ雑になっていく。
手を抜いているつもりはなくても、
今思えば、結果として一打をごまかしていたのかもしれません。

ただ球数を重ねるより、たった一球でも「今の一打とはちゃんと向き合えた」と思えること。

その感覚が、次の日の練習場へ向かう足取りを変えてくれるのだと、今では感じています。


Fさんの「最後まで振り抜いた」一打

半年前から通ってくださっているFさんのことを思い出します。

ある日のレッスンで、前半の球がことごとく当たらず、Fさんの表情がどんどん暗くなっていきました。

「今日はもうだめかもしれません」

そうつぶやいて、次の一球をアドレスしました。

構えは少し崩れて、体も少しふらついていました。
でも私は、そのままそっと見守りました。

Fさんはゆっくりテークバックして、最後まで振り抜きました。

球は少し右に出ました。
決して完璧なショットではありません。

それでも、それまでの球とは明らかに手応えが違いました。

「あ、さっきと違う感じがしました」

Fさんがそう言った時、表情が少しだけ変わりました。

当たりが劇的によくなったわけではありません。
でも、「最後まで振り抜いた」という事実だけが、体の中に残ったのだと思います。


『誠実さは一打ににじむ』——この言葉の意味

ゴルフにおける「誠実さ」とは、そんなに難しいことではないと思っています。

丁寧に構える。
狙いを決める。
最後まで振り抜く。

ただ、それだけのことです。

でも、崩れた時やミスが続いた時、この当たり前のことがいちばん難しくなります。

だからこそ、それができた一打には、確かな重みがあります。

結果がよくても悪くても、自分の一打に誠実に向き合えたかどうかは、打った自分が一番よく知っています。

その積み重ねが、技術より先に、ゴルファーとしての軸をつくっていくのかもしれません。

うまくいかない日も、自分を裏切らなかった一打は、きっと次の一打の糧になる。


今日から一つだけ試してみてください

今日の練習では、ひとつだけ「丁寧にやること」を決めてみてください。

グリップを整える。
アドレスで足裏を感じる。
テークバックを急がない。
最後まで振り抜く。

どれか一つで大丈夫です。

当たるかどうか。
真っすぐ飛ぶかどうか。
それはいったん横に置いてみる。

たとえば最初は、振り幅を腰から腰くらいまでにして、10球だけ丁寧に打つ。

それだけでも、自分の中に残る感覚は変わってきます。

できないことをたくさん追いかけるより、できることをひとつ増やしていく。

その練習は、きっと次の一打をやさしくしてくれます。


夜の練習場、最後の一球

ライトに照らされた打席で、最後の一球をアドレスする。

体は少し疲れている。
でも、もう一球だけ丁寧にやろうと思う。

ゆっくり構えて、狙いを定めて、最後まで振り抜く。

球は少し左に曲がった。
完璧ではない。

でも、今日いちばん誠実な一打だった気がした。

荷物をまとめて外へ出ると、夜空に星がいくつか見えました。

冷たい空気を吸いながら、また来週もここへ来ようと思えた。


あなたは最後にラウンドや練習をした日、「自分を裏切らなかった一打」がありましたか?


いいなと思ったら応援しよう!

トモティー|大人から始める、やさしいゴルフ⛳️ 応援ありがとうございます😊