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一つの発酵瓶から、暮らしが変わった。~飲む、使う、食べる。コンブチャのある暮らしとレシピ~

#創作大賞2026 #フード部門

「コンブチャで人生が変わった。」
そう言うと、ちょっとスピリチュアルに聞こえる。

でも、
「コンブチャで私の暮らしが変わった。」
それなら、胸を張って言える。

飲む。
使う。
食べる。

一つの発酵瓶から、
私の暮らしは少しずつ豊かさを取り戻していると感じる。

自家製コンブチャの発酵瓶の中(写真:作者ともよ)

*禁酒とコーラ

私がコンブチャに出会ったのは、2年半前。

お酒を飲むと食欲が暴走するタイプの私は
結婚式に向けてダイエットするため、
「とりあえずビール」の最初の一杯を凌ぐべく
その喉越しをコーラで補いはじめた。

これはいいぞと思っていたら、飲み始めて1週間。
何やら歯が痛い。

共にコーラを飲んでいた旦那も同意見で、
“ビールをコーラで置き換え作戦”は幕を閉じた。

 

*はじめてのコンブチャ


そんな私に、当時通っていたジムのトレーナさんが勧めてくれたのが
Kombucha(コンブチャ)だった。

「昆布茶じゃないですよ。なんか発酵飲料で腸活にもいいみたいです!ちょっと酸っぱくて微炭酸な味がスッキリするから、お酒の代わりにいいですよっ。自分も飲んでて肌の調子も便通もめっちゃいいです!」

という、大好きなトレーナーさんのお墨付き。
試さないわけがない。
 
ネットで調べて市販品を飲み始めた。
トロッとした原液を炭酸で割って飲む。

甘さと爽やかさが確かにおいしい。
それに、飲み続けても歯は染みない!

これでようやく、禁酒の波に乗れたのであった。


*拭いきれない、酒煩悩


さて、結婚式も無事終わり、親族会食の場で3か月ぶりに飲んだビール。

これがまた、美味しかった。笑

しかし、かなり酔いやすくなっていた。

「私、お酒はあんまり強くないんです。嗜む程度で…」

そんなかわいらしいキャラになれると、ちょっと期待したが、
そんな夢はすぐに覚めた。

お酒代わりに飲み続けた市販のコンブチャは、正直味に飽きていたし、
一本4000~5000円を月に2本。買い続けるのも面倒に感じていた。

買って、飲んで、瓶をゴミに出す。

その単純作業にハマり続けるほどの魅力はなく、
酒量は脂肪とともに戻りはじめたのであった。

酒煩悩はあっけなく復活した。

焼肉で散々飲んだ後のビアガーデン(写真:作者ともよ)


 

*全部ぜんぶ……だれのせい?


夏が近づくにつれ、視界に入る広告は黄金色に輝きを増して誘ってくる。

仕事のイライラを甘いものでごまかし、特に趣味もなかった私にとって
週末に旦那と飲み歩くのが一番のストレス発散だった。


いつかの〆に食べた徳島ラーメン(写真:作者ともよ)


お酒は美味しいし楽しい。
居酒屋ご飯も味が濃くて止まらないし、飲んだ後のラーメンは至福の一杯。

でも、身体はどんどん腐敗している感じがした。
 
ほぼ毎月風邪を引くし、治りは悪い。
口内炎もニキビも、もぐらたたき状態。
こんな状態では、旅行やイベントも全く楽しめない。

こんなに不調を繰り返すのは、
夏のせい? お酒のせい? 年齢のせい? ホルモンのせい?

いや、自分のせいだと、気づいていた。
 
東京には一生かけても行ききれないほどに飲食店が並んでいて、
できるものなら全制覇したい。

でも、このままでは私の方が生ききれない…。

漠然とした不調への不安と、怠惰な自分にも苛立っていた。


*自家製コンブチャとの出会い

飲みかけのコンブチャが冷蔵庫で賞味期限を迎えたころ、
Instagramで「自家製コンブチャ」という言葉を目にした。

自家製……え、家で作れるの?

気になって調べてみると、材料も作り方もかなりシンプルだった。
紅茶と水と砂糖。

とりあえず安いし、手作りやってみようかなと、
軽い気持ちでネットでスターターを購入してみた。

が、よく分からない。

「これは発酵してるのか?」
「いつ飲めばいいの?」
「この味で合ってるの?」

ただ気味の悪い物体が水面に浮くだけで、結局そのまま捨ててしまじった。

発酵序盤に現れる、怪しげな膜「スコビー」(写真:作者ともよ)


*35歳、自分を諦めたくなかった

いつもなら、ここで諦める。
 
でもその時の私は、何とか変わりたかった。

とにかく、不調が辛かったから。
肌荒れ、イライラ、治らない風邪、ガス溜まり、むくみ、
繰り返すニキビと口内炎。
大きな声じゃ言えないけれど、
お尻に怒りっぽいお痔ぃさんも同居していた。
 
美容医療や高い健康食品は魅力的だけど、
どこかの健康動画で聞いた、
「体は食べたもので作られる」という言葉が刺さりすぎて
根本から変わるために、
食事や依存している飲み物を変えねばと、本気で思っていたのだ。

*本気で、自家製コンブチャの世界へ


ちゃんと「発酵の仕組み」から学ぶため、
コンブチャに詳しそうな講師を求め
「コンブチャマイスター」の資格を取った。

そこから、私の暮らしは徐々に変わり
発酵サイクルは回り始めた。
 
コンブチャの作り方はとっても簡単だ。
でも、奥が深い。
扱いを間違えれば、カビてしまい腐敗し
健康を害する可能性もある。

自家製コンブチャ(写真:ともよ)

●基本の自家製コンブチャ

材料(500ml分)

茶葉 5g(ティーバッグなら2個程度)
・砂糖 50g
・水 500ml
・スターター(スコビー+発酵済みコンブチャ液)

材料は、たったこれだけ。

スターターが必要なのは最初だけ。
ヨーグルトや天然/酵母のように、
出来上がったコンブチャを少量残して次の仕込みに使えば、
半永久的に育て続けられる。
株分けをすれば、発酵瓶を増やすこともできる。

作り方

① 鍋やティーポットでお湯を沸かし、茶葉を2〜3分蒸らす。

② 茶葉を取り出し、砂糖を加えてよく溶かす。
40℃以下(人肌程度)まで冷ます。

③ 甘い紅茶を冷ましている間に、発酵瓶を熱湯消毒する。
耐熱瓶に熱湯を注ぎ、10分以上置いてから湯を捨て、しっかり乾かす。

④ 発酵瓶にスターター(スコビーとコンブチャ液)を入れ、冷ました甘い紅茶を注ぐ。

⑤ キッチンペーパーや布で口を覆い、輪ゴムなどで固定して常温で数日発酵させる。

※密閉は厳禁。
コンブチャは酸素を取り込みながら発酵するため、蓋はせず、通気性のよい布などで覆って育てる。

あとは毎日瓶をのぞき込んで、
「今日はどうかな」と育ち具合を楽しむだけである。


*最高のノンアルと、広がるわくわく感


発酵の仕組みを理解したことで
一次発酵で美味しく作れるようになり、
茶葉を変えていろんな紅茶を試し始めた。

日が経つごとに厚みを増す怪しい膜は、
スコビーというセルロースの塊で、
発酵で生まれる泡に押し上げられる姿が、
なんだか可愛く見えてきた。
 

自家製コンブチャのスコビー(写真:作者ともよ)


コツを掴むと、飲み方のアレンジも広がった。

ビールをコンブチャで割ってみたり、
ジンや焼酎もコンブチャで割ってみると、新しい美味しさがあった。
美味しくて満足度も高くて、自然と杯数が減った。

フルーツを漬け込むと、まるでサングリア
自然の炭酸を強めれば、まるでシャンパン

つまり、最高のノンアル飲料である!

これがハマった!

徐々に、お酒そのものがいらなくなっていった。
我慢せずに、減酒成功である!
 
ある日、付き合いで飲んだ久々のビールが
全然美味しくなくて、
グラスに半分も残してしまった自分には驚いた。

ビールよりも、自家製で愉しむコンブチャの方が
何倍も美味しく感じた。


合わせるフルーツや使う茶葉で何通りも楽しめる。

お酒っぽく飲めるし、それを自分で作れる。

もちろん思い通りの味にならない時もあるけれど、
それも実験みたいで、失敗には感じなかった。

「自分で作れるって、こんなに楽しいんだ」

アイディアがどんどん湧いて、久しぶりにワクワクした。

いちごで二次発酵させたコンブチャ、まるでシャンパン(写真:作者ともよ)


*酸っぱい、失敗?がくれた、豊かな食卓。
 
コンブチャ作りに慣れてくると、
株分けをしていろいろ試したくて発酵瓶がどんどん増える。

増え続ける発酵瓶を飲み比べ(写真:作者ともよ)


気温が高い時期は発酵スピードも早く、飲むペースを超えてくる。
あっという間に酸っぱくなるため、最初は捨てることもあった。

でも、自分で作ったからこそ生まれる愛着がある。
 
もったいなくて、酢の代わりに使ってみると
優しい酸味がちょうどよくて、
「酸っぱい副菜」が食卓に増えるようになった。

南蛮漬けや酢の物が苦手な旦那も、コンブチャ酢で作れば、
「酸っぱすぎなくて美味しい」
と喜んで食べてくれる。

そこから、マリネ、酢の物、水炊きのポン酢、酢鶏、焼き肉のタレ……等

工夫することが楽しくなり、
自炊のやりがいも増し、
ドレッシングもタレもほとんど買わなくなった。
 

●レシピ①試飲会で大好評だった、酢ゴボウ

以前、自家製コンブチャの試飲会を開いたとき、
「酸っぱくなっても、こんなふうに使えるんですよ」
と紹介したのが、この酢ゴボウだ。

コンブチャ酢で作った「酢ゴボウ」 (写真:作者ともよ)

作るのは簡単。それなのに、箸が止まらない。

ちょっとした箸休めにぴったりで、
我が家では冷蔵庫にあると安心する常備菜になっている。

<材料>

  • ゴボウ 1本

  • コンブチャ酢 大さじ3〜4

  • 砂糖 大さじ1

  • 醤油 大さじ1

  • 3倍濃縮めんつゆ 大さじ2

  • いりごま お好みで

<作り方>

① 小鍋に5cmほど湯を沸かし、3倍濃縮めんつゆを加える。

② ゴボウは包丁の背で皮を軽くこそげ落とし、4〜5cmの長さに切る。太い部分は縦に2〜4等分のスティック状にする。

③ ゴボウを5〜6分茹でる。

④ ボウルにコンブチャ酢・砂糖・醤油を入れて混ぜ、茹で上がったゴボウを熱いうちに加えて和える。

⑤ 最後に、いりごまを指先で軽くつぶしながら加え、全体を混ぜる。

※冷蔵庫で30分ほど置くと、味がなじんでさらに美味しい。
※冷蔵で5〜6日保存可能。

*不気味だったスコビーが、美味しいなんて。


 そして自家製コンブチャをつくると増え続けるのが、
怪しい膜「スコビー」。

株分けしない時は、潔く捨ててきた。

食べようと思えば、食べられることは知っていたが
一度齧ったときに喉を傷めるほど酸っぱすぎて、こりごりしていた。

自家製コンブチャ(写真:作者ともよ)


 
でもやっぱり、スコビーも可愛い!
育っていくだけに、愛着がある!

それに、こんなに湿ったものを生ごみに捨てるなんて
焼却所の火力に対する罪悪感もある…。
 
そういえば、スコビーはナタデココの親戚って習ったな。
よし、じゃあもう一回食べてみよう。
 
ある日、仕込んだ翌日のスコビーを何の気なしに取り出し、齧ってみたら、
甘い紅茶が程よく染みた、ちょっと酸っぱいナタデココだった。
 
なるほど、タイミングか!
 
そこに気づけたら、こっちのもんだった。

コンブチャをどう食卓に活かすか、美味しく食べるか、
無駄なく使うかが楽しくて仕方ない日々が続いている。


●レシピ②スコビーでつくる、生姜ジュレポン酢

酸っぱくなりすぎたスコビーは、
ジュレポン酢にすると驚くほど使いやすい。

生姜を効かせれば、冷ややっこにも、焼いた野菜にも、お肉にもよく合う。我が家のこの夏の定番確定だ。

コンブチャから生まれたスコビーで作った「生姜ジュレポン酢」
豆腐や夏野菜、カリっと焼いた豚ロースにかけて召し上がれ(写真:作者ともよ)

<材料>

  • 生姜 3cm程度

  • スコビー 1枚(酸味の強いものがおすすめ)

  • コンブチャ酢 大さじ2

  • 醤油 大さじ2

  • 砂糖 大さじ1

  • みりん 大さじ2

  • 3倍濃縮めんつゆ 大さじ1

  • 水 50ml

<作り方>

① 生姜は千切りにする。

② スコビーと調味料を容器に入れ、ハンドブレンダーやミキサーでなめらかになるまで攪拌する。

③ 豆腐や野菜を焼いたフライパンの油を軽く拭き取り、生姜を炒めて香りを立たせる。

④ ③に②と水を加え、軽くふつふつとする程度まで温めたら完成。


<おすすめの食べ方>

焼いた豚ロースや茄子、ピーマン、きのこ類はもちろん、片栗粉をまぶして揚げ焼きにした絹豆腐との相性も抜群。

熱々の具材にたっぷりかければ、スコビーとは思えない、やさしい酸味のジュレポン酢になる。

コンブチャから生まれたスコビーで作った、生姜ジュレポン酢(写真:作者ともよ)



●レシピ③一晩漬けるだけ。まるでナタデココなスコビー

発酵瓶から取り出したスコビーは、そのままだと酸っぱすぎることがある。

でも、甘い紅茶に一晩漬けるだけで、酸味がやわらぎ、まるでナタデココのような甘酸っぱいデザートに変身!

ヨーグルトやゼリーのトッピングにもぴったり。
ちょっと甘いものが欲しい日の定番になっている。

まるでナタデココな、スコビー。ヨーグルト乗せ(写真:作者ともよ)

<材料>

  • スコビー 1枚

  • フルーツ系の紅茶 1パック

  • 水 150ml

  • 砂糖 15g

<作り方>

① スコビーを1〜2cm角ほどの食べやすい大きさに切る。

刻んだスコビー(写真:作者ともよ)

② 150mlのお湯で紅茶を抽出し、砂糖を溶かす。人肌程度まで冷ます。

③ 小瓶や保存容器にスコビーと甘い紅茶を入れ、キッチンペーパーや布で口を覆い、常温で一晩置く。

④ スコビーが甘酸っぱくなり、紅茶の香りが移ったら食べ頃。

ヨーグルトや豆花、ゼリーなどに添えてどうぞ。
甘さが足りなければ、お好みでシロップをかけても美味しい。
 



*「コンブチャのある暮らし」が教えてくれたこと


最初は、
禁酒のための代用品だったコンブチャ。
 
それがいつの間にか、
私の暮らし、そのものになった。
 

ジャスミンコンブチャに揺らめく発酵泡(写真:作者ともよ)

朝は発酵瓶を覗いて泡を眺め、
今日は飲もうかな、
料理に使おうかな、
あ、スコビー育ってきたから、デザートにしようかな。

そんな些細な楽しみが増えた。
 
瓶底から生まれる泡は
焚き火に並ぶ癒し効果があるとも思う。

一つの瓶から、
何通りもの楽しみが生まれる。
 
気づけば、
外で飲み歩く日より、
家で何かを作る日の方が楽しみになっていた。
 
いつしか夫もお酒を止めて、朝早くから趣味のサーフィンも楽しそうだ。

私の趣味が、
居酒屋梯子から自家製コンブチャになったのは、
言うまでもない。

お酒も外食も減ったので、自然に節約がかなっている。
 
コンブチャから生まれたレシピで
旦那を驚かせるのも毎回楽しい。
 
コンブチャが変えたのは、
教えてくれのは、
暮らしの豊かさだと、そう思う。

 
コンブチャで、私の暮らしは、今日も美味しく発酵し続けている。

kombuchadays(写真:作者ともよ)

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