【怖いnote】雨の日、特別棟3階の空き教室
25こめの怖い話。
雨の日にだけ会えるおともだちのお話だよ。
俺は高校で吹奏楽部に所属していた。
中学からクラリネットを続けていて、できることなら高校を卒業してからも吹いていたかった。音大に行きたいと考えた時期もある。でもレッスン代や受験にかかる金を調べて、親に言い出す前に諦めた。
まともなクラリネットは簡単に買える値段じゃない。リードだって消耗品だから、今だってそこそこ金がかかる。大学に進学したらバイトをする計画ではあるが、主に学費のためだ。何十万もする楽器に金を回す余裕はない。
だから高校の3年間だけは、真剣に打ち込むことを決めていた。吹けるだけ吹いて悔いを残さない。卒業したらクラリネットは終わり。それが高校生活の目標だった。
家はマンションで音を出せないので、放課後の練習時間は特に貴重だった。合奏が終わったあとも教室が使える日は、なるべく残るようにしていた。
ただ、吹部そのものはあまり好きじゃなかった。
同学年のクラリネットは俺を含めて4人で、残りは女子3人。3人は中学も同じらしく、高校に入ってからもずっとベッタリ一緒にいた。
俺が彼女達の会話に混ざろうとすると話が一度止まり、少ししてから俺の知らない中学時代の話が始まる。最初は、昔から仲がいい3人の中に途中から入るんだから仕方ないと流していた。
でも、2年になっても変わらなかった。
俺がミスすると3人で笑うのに、1人が同じところを間違えると「そこ難しいよね」で済んだ。合奏で使う譜面も「そこ置いといたから」と後から言われる。一番キツかったのは、パート練の開始時間が変わっても俺だけ知らされないことだ。
それで、合奏のない日は特別棟の3階にある空き教室を使うようになった。
廊下の一番奥にある教室。古い机が後ろへ寄せられ、黒板の隅には去年の日付が薄く残っている。
窓からは体育館の屋根と校舎裏の道路が見えて、晴れた日は西日が直接入って暑かったが、雨の日は照明をつけても部屋の隅が少し薄暗く感じた。
最初にそいつに会ったのは、空気が重くて暗い雨の日だった。
梅雨真っ盛りで、朝から細かい雨が降っていた。放課後になると湿気で制服のシャツが肌に張りつき、廊下には濡れた傘と上履きのゴムが混ざったようなにおいがしていた。
俺は1人で文化祭で演奏することが決まったばかりの曲を練習していた。
速い部分では何度も指がもつれて、同じ小節を5、6回やり直したところで、後ろから声がした。
「そこ、さっきの方がよかったよ」
驚いて振り向くと、男子が教室の後ろに立っていた。同じ学校の制服だった。俺より少し背が低く、前髪が濡れて額にくっついていた。
そいつは窓際の机に座ると、足をぶらぶらさせてジッとこちらを見てきた。そんなに見られると落ち着かない。
「お前何組のやつ? 吹部?」
「違うよ」
「なら黙って聞いてろよ」
「でも、そこ遅いなーって」
腹が立ったので吹き直したら、本当に少しテンポが遅れていた。
下校時刻が近づく頃には雨が少し弱くなっていた。クラリネットをしまいながら名前を聞くと、そいつは高橋と名乗った。
次の日は晴れた。
同じ教室で練習したが、高橋は来なかった。その次の日も来なかった。
別に吹部でもないならそんなものか。
1週間ほどして、また雨が降った。
放課後に空き教室へ行くと、高橋が窓際に座っていた。
「お前、先にいんなよ」
「そっちが遅いんだよ」
それが2回目だった。
それから、高橋は時々現れるようになった。俺が先に練習していると途中から入ってくる日もあれば、最初から窓際に座っている日もあったが、決まって雨の日ばかりだった。
最初のうちは、ほとんどクラリネットを吹いていた。高橋は楽器のことなんて知らないくせに、同じところを何度も間違えると「またそこ」と笑うし、うまく吹けた時は何も言わない。俺が「今のよくなかった?」と聞くと、「まあまあだったよ」と偉そうに答えた。
雨が強くて帰るのが億劫な日は、練習後も教室にだらだら残って喋った。
高橋は自分のクラスのことをほとんど話さないので、自然と俺の話が多くなる。そのうち、吹部の3人のことも話した。
「辞めないの?」
「何回か考えたけど、クラリネットできるのも今だけだしな」
「吹部辞めても吹けるでしょ」
俺は「吹部の備品だから辞めたら吹けねーよ」と高橋を小突いた。
俺にとっては結構大きな問題だったが、高橋の飄々としている様を見ると小さなことで悩んでるように思えて、少し気が楽になった。
それから少し経って、合奏で俺が入りを間違えて、顧問に「ちゃんと周りの音を聞け」と叱られた。それだけなら良かったんだが、パート練の大切さを説教されたのはキツかった。3人もくすくすとバカにするように含み笑いをしていた。
普段のパート練では俺だけ外されているのに、合奏になれば合わせろと言われる。なんだこれ理不尽だろ。
その日は部活が終わっても帰らず、雨音の中を特別棟まで歩いた。
高橋はいつもの机にいて、俺は先程の苛立ちをぶつけるように、自分が吹きたいようにクラリネットを吹いた。
「今日なんか下手じゃない?」
「うるせえ」
吹き直してもまた失敗した。
もう一度吹いたところで途中でやめた。リードを外して机に置き、そのまま椅子の背にもたれた。
「俺、向いてないのかもなー」
「何が?」
「クラリネット」
高橋は少し考えてから「そうなの?」と首を傾げた。
「なんだそれ、高橋はどう思うよ」
「知らないよ。他の人のちゃんと聞いたことないし」
そこで終わるかと思ったら、高橋は俺のクラリネットを指した。
「でも俺、それ聞くの好きだよ」
言った本人はすぐ窓の外を見た。
校庭を走っていたサッカー部が、急に強くなった雨から逃げるように校舎へ戻っていく。
最後のひとりが校舎に駆け込むのを見送って、俺はもう一度リードをつけた。
「んじゃ聞けよ」
「うん」
その日は下校時刻ぎりぎりまで吹いた。
高橋について知らないことは多かった。
クラスを聞いてもまともに答えないし、昼休みに見かけたこともない。ただ、高橋も俺のことを名字と吹部であることくらいしか知らない。
それでも、あいつは毎回俺の演奏を聞いて、前に引っかかった場所まで覚えていた。それで十分だった。
やけにミステリアスな高橋のノリにも慣れた頃、部活帰りに1年の女子2人が廊下で七不思議の話をしているのを聞いた。
うちの学校にも昔からいくつかあるらしく、音楽室のピアノが勝手に鳴るとか、旧校舎の階段が1段増えるとか、そういうありがちなものだった。
聞き流していたら、特別棟の話が出た。
「3階の空き教室って知ってる?」
俺は足を止めた。
雨の日の4時44分に、特別棟3階の空き教室に1人でいると男子生徒の幽霊が出る。13回会うと帰れなくなる。
それだけの話だった。
俺はその場でスマホを出した。時刻は4時51分だった。少し前まで、高橋と話していた。
何回会ったか数えようとしたけれど、無理だった。最初に会った日と最近の何回かは覚えている。でも梅雨だったから雨そのものが多かったし、高橋が来なかった日もある。
8回くらいにも思えるし、10回を超えていてもおかしくない。そもそも今まで4時44分を意識したことがなかったから、どの日を数えればいいのかも分からなかった。
翌日は雨だったが、空き教室へは行かなかった。次の雨の日も行かず、その間は吹部のパート練に混ざった。3人は俺が戻ってきた理由なんて聞かなかったし、俺も何も言わなかった。
その次の雨の日、文化祭の曲を4人で合わせることになった。俺も譜面台を出して準備していたが、3人は俺を入れずに吹き始めた。
最初は何か確認しているのかと待っていた。曲の途中で止まって相談し、また同じところから3人だけで始める。それを何度か繰り返したところで、俺も楽器を構えると、リーダー格の女が「ちょっと」と声をあげた。
「今3人で合わせてるから入らないで」
「俺も同じパートだけど」
「まずこっち揃えたいから待ってて。あとでやってあげる」
やたらと上から目線で提示された、その「あとで」は結局来なかった。
窓の外では雨が降り続いていて、校庭の端にできた水たまりを陸上部の生徒が避けながら走っていた。教室の中では3本のクラリネットが同じフレーズを何度も繰り返している。
俺はクラリネットをケースにしまった。
「どこ行くの?」
「別で練習する」
「は? 今日パート練なんだけど?」
俺は返事をせず、ケースを持って教室を出た。どの口が言ってんだ。
特別棟の3階まで上がったところで、七不思議を思い出して足が止まった。
スマホの時計は4時42分。
3人のところへ戻る気はない。でも、これが13回目ならどうなるのかは分からない。
二の足を踏んでいると、教室の中から椅子か机を引く音がした。
扉を開けると、高橋がいつもの窓際にいた。
「……久しぶり」
「最近来なかったじゃん」
怒っているわけではなさそうだった。ただ、俺が意図して来なかったことには気づいていたらしい。
俺は教室に入り、いつもの場所に譜面台を出した。時計の秒針が1周して4時44分になったが、何も起こらなかった。
少し練習してから、楽器を膝に置いた。
「七不思議をさ、聞いたんだよ」
「なにそれ?」
「雨の日の4時44分にここにいると、男子生徒の幽霊が出るってやつ」
高橋は「あーね」とだけ返した。
「お前が、その幽霊なの?」
「そうだよ」
あっさり答えられて、一瞬何も言えなくなった。
「……13回会うと帰れなくなるらしいけど、俺もう何回目?」
「そんなの数えてない」
少しくらい否定してほしかったが、高橋はしばらく窓の外を見ていた。雨粒がガラスを斜めに流れ、道路を走る車が水を跳ねるたび、遠くでタイヤの音がした。
やがて、ポツリと「次来る時さ」と話しかけられた。
「誰か連れてきてくれない?」
「なんで?」
「頼むよ。俺、お前以外に友達いないんだ」
それ以上、高橋は何も言わなかった。俺も何も聞けなくて、「できたらな」と言った。
下校時刻が近づき、俺はクラリネットをケースにしまった。高橋に「じゃあな」と言って教室を出て、3階から1階までいつもの階段を下った。昇降口では運動部の連中が濡れた傘を振っていて、外からは車が水たまりを踏む音が聞こえていた。
傘を開いて校門を出てから、1度だけ後ろを振り返った。特別棟の3階には同じ形の窓がいくつも並んでいて、どれがあの教室なのか、外からだとよく分からなかった。
高橋はどの窓にもいなかった。
次の雨は、1週間後だった。
朝からかなり強い雨が降っていて、昼休みには特別棟の廊下に雨漏り用の青いバケツが2つ置かれていた。放課後になると、3人がパート練に使っていた教室でも天井から水が落ち始め、顧問から使用禁止と言われた。
3人は空いている教室を探していて、嫌々だろうが俺にも声がかかった。
「ねえ、いつもどこで練習してんの?」
俺は窓越しに特別棟の方を見た。
「あのへん、3階の空き教室」
「いつも空いてる?」
「空いてるよ」
「じゃあ今日だけ一緒に練習やってあげる」
その言葉を聞いた時、高橋に頼まれたことを思い出した。
「いいよ。こっち」
クラリネットをケースに戻し、3人を連れて特別棟へ向かった。
3階は人が少なく、雨の音が下より大きく聞こえた。窓枠の隙間から湿った風が入り、廊下の端まで細かい水滴が飛んでいる。
空き教室の前まで来ると、時計は4時43分だった。
「ここ? こんなとこ使ってんの?」
「埃っぽーい」
嫌そうな声を無視して、俺は扉を開けた。
高橋はもう窓際に座っていた。俺を見ると片手を上げて、それから後ろの3人を見て、嬉しそうに「わ」と声を上げた。
「ほんとに連れてきたんだ」
3人のうち1人が俺に「誰?」と聞いた。俺が答える前に、高橋が机から降りて名乗った。
3人は変な奴だと思ったのか、それ以上は聞かなかった。譜面台を出してクラリネットを組み立て始め、俺もいつもの場所に椅子を置いた。
カチ、と小さな音を立てて、時計の針が4時44分を指した。
何も起きなかった。
結局、俺を含めた4人で30分ほど練習した。高橋が見ているせいなのか、その日は3人も俺を外さず、普通に4人で合わせた。
5時を過ぎた頃、雨がさらに強くなった。窓ガラスを水が流れ続け、校内放送で雨のため下校時は気をつけるようにと流れた。
「もう帰ろ。雨やばい」
3人は楽器を片づけ、先に教室を出ていった。廊下から話し声が遠ざかり、階段を下りる足音も聞こえなくなった。
高橋と駄べりながらクラリネットをしまっていると、数分してまた廊下から声がした。
扉が開き、さっき出ていった3人が戻ってきた。
「ねえ、こっち階段なくない?」
苛立った声で言われて廊下を見ると、突き当たりにはいつもの階段があった。
「あるじゃん」
「さっきなかったんだけど」
別の1人が笑って、「見間違えたんじゃない?」と言った。3人はもう1度教室を出ていった。
今度は俺も扉のところまで行って背中を見送った。3人は廊下を歩き、階段を下りていった。俺は教室に戻って、残っていた荷物を片づけ始めた。
しばらくすると、また扉が開いて3人が戻ってきた。
今度は誰も笑っていなかった。
「なんか、変なんだけど」
1人がスマホを握ったまま言った。3人で「下まで行ったよね」「行った」「なんでまたここ?」と確認し合っている。
「俺も行くわ」
俺が先に廊下へ出ると、3人もついてきた。3階から2階、2階から1階へ、いつも使っている階段を下りる。後ろからは上履きが床を踏む音と、3人が小声で話す声がずっと聞こえていた。
1階へ着く少し前、その声が途切れた。
振り返ると、後ろには誰もいなかった。
俺は階段を数段上がって踊り場を覗き、3人の名前を呼んだ。返事はない。さっきまで持っていたクラリネットのケースもスマホも、落とした物ひとつなく、階段には俺しかいなかった。2階まで戻って教室や廊下を覗いたが、3人は見つからなかった。
階段の窓には雨が張りつき、下の昇降口では何人かの生徒が傘を開いて外へ出ている。その普通の光景のすぐそばで、ついさっきまで後ろを歩いていた3人だけが消えていた。
俺は3階まで駆け戻った。
空き教室の扉を開けると、高橋はまだ窓際に座っていた。
「なあ、3人は?」
「あ、いなくなった?」
「どこにも、いなくて……もしかして、おれも」
高橋は一瞬きょとんとして、それからいつもの調子で噴き出して笑った。
「お前は大丈夫、帰れるよ」
帰れると聞いても、すぐには動けなかった。
3人が消えたことより、高橋がいつもと同じ顔をしていることの方が理解できなかった。何度も俺のクラリネットを聞いて、一緒にくだらない話をしていた高橋が、3人が消えたことには何も驚いていない。
そのことが急に怖くなった。
俺はクラリネットのケースを持って教室を出た。階段を下りながら何度も後ろの足音を確かめたが、誰もついてこなかった。1階には普通に着き、昇降口にはまだ部活帰りの生徒が何人もいた。傘立てから自分の傘を抜き、いつもの校門から外へ出た。
翌日、3人は学校に来なかった。
放課後に顧問から呼ばれて、昨日は一緒に練習していなかったかと聞かれた。
「途中までは……いつも使ってる空き教室に案内したんですけど、汚いから嫌だって言われて、3人は別の場所、探しに行きました」
高橋のことなんて、言えるわけなかった。
顧問は「そうか」と頷いて、話はそれで終わった。普段から俺が3人と別で練習していることは知っていたのだろう。
次の日も3人は来なかった。その次の日も、教室の3つの席は空いたままだった。
俺は空き教室へ行かなくなった。
雨の日も普通の教室で練習した。3人がいなくなったので、もう俺だけ外されることはない。後輩と一緒に吹いて、合奏にも出て、前よりずっとやりやすくなった。
それでも、1人で残って練習していると、吹き終わったあとに窓際を見る癖だけが残った。同じところを何度もやり直して、ようやくうまく吹けても何も聞こえない。前なら「今のよくなかった?」と聞けば、窓際から適当な返事が返ってきた。
何週間か経ったある日の放課後、また雨が降った。
合奏が終わったあと、俺は1人で教室に残って文化祭の曲を吹いていた。前に高橋から遅いと言われたところまで来て、少しテンポを上げる。何度かやり直して、ようやく最後まできれいにつながった。
顔を上げた先には、誰もいなかった。
卒業すれば、このクラリネットは返す。残っている時間まで、誰もいない教室で吹き続けるのは嫌だった。
高橋が何をしたのかは分からない。3人が消えた時、あいつが何も驚かなかったことも覚えている。怖くないわけがなかった。
それでも、高橋は俺が吹くのを好きだと言った。
俺はクラリネットをケースにしまい、特別棟へ向かった。
3階の廊下は前と変わらず湿っていて、窓の外では体育館の屋根に雨粒が跳ねていた。空き教室の前まで来ると、すぐには扉を開けられなかった。廊下の時計の秒針だけが動いていて、下の階から吹部の音がかすかに聞こえていた。
中から椅子を引く音がした。
扉を開けると、高橋がいつもの窓際に座っていて、俺を見て少し驚いた顔をした。
「来たんだ?」
「……雨だから」
高橋は「そうだな」と笑った。
俺はいつもの場所に譜面台を出して、クラリネットを組み立てた。
「前に遅いって言ったとこ、直した」
「どこだっけ?」
「覚えてねえのかよ」
「聞いたら分かるかも」
吹き始めると、高橋は黙って聞いていた。
それから卒業するまで、雨の日は必ずあの教室へ行った。13回はとっくに超えてて、高橋は「大学でもクラリネットやればいいのに」とか、「音楽の教師になってここ戻ってきなよ」とか、テキトーなことを言っていた。
「宝くじとか当たったらできるかもな」
高橋は嫌そうな顔をした。どうやら宝くじは無理らしい。
卒業式の日は朝からよく晴れていて、雨の気配はなかった。
式が終わって教室に戻ると、クラスの連中は写真を撮ったり、制服に寄せ書きをしたりしていた。俺も何人かと写真を撮って、担任に挨拶をした。
クラリネットは顧問に頼み込んでギリギリまで借りていて、卒業式のあとに返した。最後にケースを開けて、中を軽く拭いた。何年も触ってきたキーを指で確かめてから蓋を閉じ、音楽室の棚に戻した。
それから特別棟へ向かった。
3階の空き教室は、窓から入る午後の日差しで明るかった。雨の日より机の傷も黒板の汚れもよく見えた。
高橋はいない。
俺は窓際の机まで行き、鞄から朝書いてきた手紙を出した。
卒業する。
クラリネット聞いてくれてありがとう。
楽しかった。元気でな。
それだけ書いた紙を、高橋がいつも座っていた机の上に置いた。
窓を閉めて、教室を出た。
どうだった?
25こめ、おしまい。
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