言葉にならない問いをひもとき、価値が流れはじめる瞬間をつくる
幾星霜 ikuseisou 主宰|Tony Yamadaの仕事を見る
自慢ではないですが、僕は、ビジネスマンとしては、そこそこ終わっている方だと思います。
まず、人の機嫌を取るのが苦手です。
20代〜30代を霞ヶ関で官僚として育ったので、他人に頭を下げるのも、あまり得意ではありません。
自分が本当だと思ったことを、黙って飲み込むこともできません。
実際、少しうるさくしすぎたのか、いつの間にかプロジェクトから外されていたこともありますw。
それでも、独立起業して10数年、なんとか仕事を続けてこられました。
理由の一つは、僕が言っていることが、あながち間違っていなかったからだと思います。
そしてもう一つは、その厄介な言葉を「うるさい」で終わらせず、受け止めてくださる懐の深いお客様に出会えたからです。
本当に、ありがたいことです。
僕がどんな道を通ってここへ来たのかは、自己紹介の記事にまとめていますので、良かったらご覧ください。
もちろん、「本当のことを言う」というだけでは、仕事にはなりません。
本人が本当だと思っていることが、本当に正しいとは限らない。
単に自分の好き嫌いや、個人的な正義感を振り回しているだけかもしれません。
率直であることと、無礼であることも違います。
そこで、僕を少しだけ使いものにしてくれたのが、哲学でした。
人間とは何か。
僕らは、なぜそれを正しいと思うのか。
その言葉は、どのような前提から生まれているのか。
目の前で起きていることを、自分の感覚だけで断定せず、先人たちが積み重ねてきた知恵へ照らしてみる。
西洋哲学、現代思想、老荘思想、唯識。
あるいは、発達心理学、システム思考、各種の占学。
それぞれが異なる場所から、人間と世界を眺めています。
それらを学ぶことで、自分の意見が正しいという確信を強めたわけではありません。
むしろ、自分が見ているものも、数ある見方の一つにすぎないと知りました。
本当のことを言えば、価値になるわけではない。
ただ、本当のことを言うしかない人間が、哲学によって少しだけ使いものになった。
僕にとっては、そのくらいの話なのだと思います。
現在、僕の仕事には、大きく二つのまなざしがあります。
一つは、人を見つめることです。
経営者やリーダーと一対一で対話し、本人の内側でまだ言葉になっていない問いを扱う。
経営判断は、合理性だけで決められるとは限りません。
情報を集め、専門家の意見を聞き、リスクを計算しても、なお答えが出ないことがあります。
そのとき最後に問われるのは、
自分は何を守りたいのか。
何を失う覚悟があるのか。
どのような経営者でありたいのか。
その結果を、自分の名前で引き受けられるのか。
経営判断は、最後は経営者ご本人の、自分自身の問題になります。
その場所へ一緒に立つのが、僕のエグゼクティブ・コーチングです。
もう一つは、組織を見つめることです。
経営者やリーダーを丁寧に見ようとすると、その人だけを切り離して考えることはできません。
なぜ、その人はそこで立ち止まっているのか。
どの制度と現場のあいだを翻訳しているのか。
誰の期待に応え続けているのか。
その人が踏ん張ることで、組織の何が維持されているのか。
個人を深く見れば見るほど、まなざしは自然に、その人を取り巻くシステムへ向かいます。
反対に、組織の問題を辿っていくと、最後には、一人ひとりが何を見て、どのように判断しているかへ戻ってきます。
制度だけを変えても、人の見方が同じなら、組織は元の動きへ戻っていく。
人だけを変えても、仕事のつながり方が同じなら、別の誰かが同じ場所で苦しむ。
人の内面だけへ回収しない。
組織の構造だけへ回収しない。
そのあいだを行き来しながら、組織として考え、価値を生み出す力を育てるのが、組織知性の開発です。
その二つの仕事を支えているのが、僕が「業務用哲学」と呼んでいるものです。
哲学というと、難しい思想を学ぶことだと思われるかもしれません。
でも、僕が扱いたいのは、知識としての哲学ではありません。
顧客が当然だと思っている前提を捉え直す。
いつもの問題設定を、別の場所から見てみる。
正解を増やすのではなく、正解を探している位置そのものを動かす。
その結果として、意思決定や対話や、仕事の進め方が変わっていく。
哲学を現場で実用に耐えるものとして使い、自分のものの見方を耕していく場が、Philosophy Guild|業務哲学実践の場です。
ただ、人はいつも成長し、深く考え続ければよいわけでもありません。
がんばること。
意味を見つけること。
自分を高めること。
それらに、少し疲れるときもあります。
何かを学ぶのではなく、少し緩む。
背負っていた役割を下ろす。
おいしいものを食べ、好きな人たちと話し、自分へ還っていく。
人間には、見方を変える時間だけでなく、意味そのものを休ませる時間も必要です。
そのためにつくっているのが、Wines|余白のサロンです。
こうして並べると、いろいろなことをしているように見えます。
経営者へのコーチング。
組織知性の開発。
業務用哲学。
そして、余白のサロン。
ただ、僕の中では、すべてつながっています。
一人の人間を深く見つめること。
その人を生み出している組織や関係を見ること。
見えている世界を、別の角度から捉え直すこと。
そして、ときには考えることをやめて、ただ自分へ還ること。
人がすでに持っている力が、無理なく流れ始める場所を探しているのだと思います。
どの入口がご自身に合うのか、最初からわからなくても構いません。
僕自身も、どこまで見てよいのか、しばしば手探りです。
たまに見すぎて、うるさい人になりますw
それでもよければ、どこかの入口からお会いできればと思います。
詳しい活動内容は、Flora Partners公式サイトにまとめています。
