宇宙と詩、そして人間の心
瞑想
天空へ
自我のGATEを 開放すれば
心に 宇宙の風が吹く
私は 宇宙 宇宙は 私
夜空に見える美しい星々、その一つひとつが、誕生から死へと向かう、それぞれの時間を生きています。ある星は生まれたばかりの煌めきをもち、ある星は赤く輝きながら死への旅路にあります。このような星の生の諸相は、膨張宇宙の壮大なドラマとして展開しています。
宇宙は、約138億年前のビッグバンによって始まったと考えられています。きわめて高温・高密度の状態から宇宙が膨張し、時空が展開するなかで物質が生まれ、やがて恒星や惑星、そして生命が誕生し、現在の宇宙へと至りました。
私たちを含め、宇宙に存在するすべてのものは、ビッグバン以来の宇宙の歴史と、その壮大なしくみの中に存在しています。そのしくみは、私たちの身体だけではなく、心のなかにも深く関わっているのではないでしょうか。
では、詩を生み出す人間の心は、宇宙とどのような関係にあるのでしょうか。
詩人が作品をつくるとき、自我(エゴ)からいったん自由になり、自分を超えた宇宙のしくみに身を委ねるようにして詩を生み出すことがあります。そのとき、詩人自身も意識しないところで、宇宙の中に生きる人間としての深い感覚が、作品のなかに現れてくるのかもしれません。
それが、ときに「美」として立ち現れてくるのではないでしょうか。
そして、その美に触れた読者の心が、同じ宇宙のしくみを共有する人間として、その美に共振する。こうして詩人の心から生まれた言葉が、波動となって読者の心へ伝わっていくのでしょう。
ここに、宇宙と詩、そして人間の心との交感が成立しているのではないでしょうか。
天空へ
自我のGATEを開放すれば
心に宇宙の風が吹く
私は 宇宙 宇宙は私
ここで、高村光太郎の『火星が出ている』という詩の一部を紹介します。
火星が出てゐる。
天がうしろに廻転する。
無数の遠い世界が登って来る。
おれはもう昔の詩人のやうに、
天使のまたたきをその中に見ない。
おれはただ聞く、
深いエーテルの波のようなものを。
さうしてただ、
世界が止め度なく美しい。
見知らぬものだらけの無気味な美が、
ひりひしとおれに迫る。
火星が出てゐる。
高村光太郎の詩人の心は、宇宙の波動へと向かっています。
