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靴下、サイズ合ってるのに「なんか気持ち悪い」?― 靴下サイズの正しい選び方、プロが完全解説 ―

ヘッダー、なんかわちゃわちゃしてかわいい~

こんにちは。 靴下工房Toréを運営しているアクルです。
これまで大手アパレルOEMの現場で、中国工場と一緒に数百万足の靴下を作ってきました。

このnoteでは、その経験をもとに 普段あまり意識されない靴下の仕組みをできるだけ分かりやすく書いています。



靴下のサイズ、気になったことはありませんか

靴を買うとき、サイズは1cm刻みです。
25cm、26cm、27cm。いや、0.5すら刻む。

でも靴下売り場を見ると
「25〜27cm」
と書いてある。
3cmも幅がある……
なぜこんなに大雑把なのか。 適当に作ってるのか。
そして表示サイズで買ったのになんかしっくりこない。

その違和感にはちゃんと理由があります。
今日はその理由と、靴下サイズの本当の選び方を整理します。


くっそなんかアゴが伸びた

なぜ「25〜27cm」で3cmも対応できるのか

答えはシンプルです。
靴下はニット構造だから伸びる。

靴は足の形に合わせて作られた立体ですので伸びません。
伸びたら困る、までありますね。
靴下は編み物ですので、横に伸びて、足に沿います。
この伸縮性があるから 一つのサイズで複数の足をカバーできます。

メーカーはこの特性を使って サイズ展開を絞っています。

ただ、ここで一つ疑問が生まれます。
なぜ靴下はこんなに伸びるのか。 昔からそうだったのか。


昔の靴下は単サイズだった

実は靴下が「よく伸びる」ようになったのはそれほど昔のことではありません。

1950年代以前の靴下は ウールやコットンが主体でした。
伸縮性は限定的で 主に履き口に使われる程度でした。

だからサイズは現代ほど広いレンジではなく より細かく分かれていました。
フィットというより 「包む」感覚の靴下でした。

転換点は1958年頃です。
アメリカのデュポン社が ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)を開発しました。

軽くて強く、劣化しにくい。 伸縮性能が安定している。

この素材が靴下に使われるようになり、さらにポリウレタンを芯にして外側を別の糸で巻いた「カバーヤーン」が 1970〜80年代に一般化します。

リブの時もした話ですね。それだけカバーヤーンは重要な発明でした。
ポリウレタンは伸びるのはいいんですが、ちぎれやすかったんです。
それをポリエステルで巻いたことで耐久力が上がりました。

ここから「よく伸びてフィットする靴下」が標準になった。
そして「25〜27cm」という 幅のあるサイズ表記が生まれました。

なぜか英語

カバーヤーンとは何か

少しだけ構造の話をします。
(このへんの話とまらん)

カバーヤーンとは ポリウレタンなどの弾性素材を芯にして、その外側を別の繊維で巻いた糸のことです。

芯が「伸びる力」を担い、外側が「肌触りと見た目」を担う。
機能と快適性を両立した構造です。

今では当たり前すぎて意識されませんが、この技術がなければ 靴下のサイズ文化はまったく違うものになっていたはずです。

靴下のサイズが「25〜27cm」で成立しているのは、人間の足が単純だからではありません。
カバーヤーンという技術が 足の個体差を無理やり吸収しているからです。

何度でも言っていく おれはカバーヤーンが好きなんだ

そもそも足は「長さ」だけではない

ここが、靴下選びで見落とされがちな本質です。
靴下のサイズ表記「25〜27cm」は あくまで足長、つまり足の長さの話です。

でも実際の足は 長さだけでできていません。

足幅、甲の高さ、かかとの大きさ、指の長さのバランス
同じ26cmでも これらはひとりひとり全然違います。

つまり靴下は 長さの差だけでなく形状の個体差まですべて伸びで吸収している製品です。

だからこそ伸びる靴下なら問題なく履けても、伸びない靴下では一気に「合わない」が起きる。


伸びない靴下の正体

伸びる・伸びないは 素材だけで決まるわけではありません。
編み構造とポリウレタンの有無・量・配置で決まります。

主なパターンは4つです。

① ポリウレタンが少ない・ない
綿100%や天然素材主体の靴下に多い。
高級ブランドの、ドレッシーなものなど。
ゴム糸が入っていないか、ごくわずか。
横方向にほぼ伸びません。

② ローゲージ・甘編み
糸が太く編みが粗い。
形は変わるけれど 反発して戻る力が弱い。
ローゲージ靴下は全体がゆるく編まれているので、ある種のゆとりはあります。
ただし履き口のゴム部分だけを締めようとするとバランスが難しい。
全体がゆるくなりがちです。
それ自体がローゲージ靴下の味でもありますがフィットという観点では注意が必要です。
おしゃれなんですけどね。けっこう設計が難しいです。
だるだるになりやすい。

③ リブが弱い・ない(平編み)
履き口のリブ構造が弱いと足首で止まらない。
ずり落ちやすくなります。
これも難しいとこですね、履き口きつすぎてもいけませんし。

④ サイズ設計が大雑把
伸びで吸収する前提の設計なのに肝心の伸びがない。
フィットが崩壊します。
これはまあ…品質の問題としか言えないですね。
あまりにも安いものは、ゴム糸が劣化したまま使用していたり、いろいろと闇があります。


伸びない靴下を選ぶときの注意

伸びない靴下は 「逃げ場がない」靴下です。
伸びる靴下なら、多少サイズが合わなくても生地が足に沿ってくれる。

でも伸びない靴下はサイズミスが致命傷になります。
小さすぎると 圧迫・血流の阻害・痛み。
大きすぎると 靴下の中でシワができる。 ずれる。 靴擦れが起きる。

さらに足の形状差を吸収できないので、クッションの位置がずれたり機能が発揮されなかったりします。

洗濯後の変形にも注意が必要です。
伸縮性がある靴下は、洗濯しても概ね形が戻ります。
伸びない靴下は一度伸びると戻らないことがある。
ローゲージのものなんかは、もともとゆるく編んであるので形がどんどん変わります。
(余談、そういう意味では服ってなるべく洗わないほうがいいんですが、靴下はそれが無理なんだよなあ)


伸びない靴下がダメなわけではない

ただし伸びない靴下が すべて悪いわけではありません。
向いている用途があります。

室内・リラックス用途
締め付けがなく血流を邪魔しない。 家でくつろぐときに向いています。
革靴×ドレス用途
細身の設計なら見た目が美しく仕上がる。
ただしサイズは慎重に選ぶ必要があります。
天然素材の風合いを楽しむ
ウール・コットンなど、素材そのものの質感を優先したいとき。

伸びない靴下は 「フィットで機能する靴下」ではなく 「余白で成立する靴下」です。
用途を理解して選べば 十分に活きる靴下です。


靴下の選び方、3つのチェックポイント

特に伸縮性が気になる場合 この3つを確認してください。

① サイズ展開があるか
フリーサイズのみの場合は注意。
サイズが分かれている靴下の方がフィットの精度が上がります。
② ポリウレタンの有無・量・配置
素材表示を見て、ポリウレタンやスパンデックスが入っているか確認する。 量だけでなく、どこに使われているかも重要です。
③ 履き口にリブ構造があるか
リブがあると足首でしっかり止まる。
ずり落ちにくくなります。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

靴下といってもほんとに色々です。
ただしく違いを知ることで、買い物の失敗も防げると思いますので、
今後もこういうnoteを上げていこうと思います。

靴下工房Toréでは 「派手ではないけれど 毎日履ける靴下」をテーマに こうした設計を大切にしています。
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