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【ギターソロ物語】 It Makes No Difference(同じことさ) / The Band

1975年リリースのアルバム「南十字星(Northern Lights – Southern Cross)」に収録されていた、ロビー・ロバートソン(Robbie Robertson)の名曲。

【泣き節】
失恋男の捨て鉢なバラード。切々と歌うのはベーシストのリック・ダンコ(Rick Danko)だ。この曲はクラプトンも歌っているが、泣き節度ではリックに軍配を上げたい。「お前が去ったあとは、どこに行こうが、何をしようが同じことさ。夜も昼も暗い影は俺から去らない。もう俺に太陽は輝かないし、心のドアには雨が降るばかり」。この完全な負け犬ソングを、ロビー・ロバートソンの乾いたギターとガース・ハドソン(Garth Hudson)のサックスが最後に包み込む。ギターは、吃音気味なトレモロに、想定外のタイム感、そして無骨な溜め。そこに祈りのような木管が絡む。

この曲を聴く度に、The Band が、ロックというジャンルにカテゴライズされていることに疑問を抱いてしまう。ブルース、カントリー&ウエスタン、ロックンロール、演歌。いや、カテゴリー分けなど、The Band には意味が無い。この曲のソロについて語った、ある音楽雑誌のライターの言葉が全てを言い尽くしている、『ロバートソンの奇跡のプレイを、録音物として永遠に残してくれたことに感謝したい』。オリジナルメンバーが、全員鬼籍に入ってしまった今、CDやレコードで彼らの演奏を聴き直せるだけでも幸運なことだ。

【77年製のテレキャスター】
ロビー・ロバートソンといえば、やはりフェンダー系のギターが思い浮かぶだろう。なので、ほぼ死蔵状態であった1977年製のテレキャスターを引っ張り出してきた。四半世紀ぶりに東南アジアから日本に戻り、気温の変化に晒されたせいか、フレットのバリが酷くなり過ぎていたが音は出る。このギターは、私が18歳のギター少年だった頃、「ライブハウスで演奏出来るようになったので、人前でも恥ずかしくないメーカーのギターが欲しい!」と、母親に懇願して買ってもらったものだ。保証書の購入日を見ると、昭和52年7月26日となっている。当時、195,000円もするギターを、丸井の月賦とは言え、子供に買い与えることは、親としても相当な覚悟が要った筈だ。

この演奏をYouTubeにアップロードした後、自宅近くのギターショップで、フレットのバリを削って、ついでにネックの反りも調整してもらった。元来、モノに執着心がまったく無い私だが、このギターだけは別格、謂わば「母親の形見」なので手放せないのだ。

(イラスト by Hiromi Maekawa 妻)

(2026年1月24日)

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