気付いてしまったかも。バイブコーディングは優秀なエンジニアしか使えない?
バイブコーディングは頭の中で全ての開発工程を完結できるレベルのエンジニアしかメリットを享受できない
AIを利用したシステム開発、いわゆるバイブコーディングやAI駆動開発と呼ばれる開発手法が広がっています。
私も自社のAI駆動開発環境である「Waterfall Boost」の紹介と拡販のためにいろいろなカンファレンスに登壇していますが、最近よく聞かれるのが、「AI駆動開発のウォーターフォール型への回帰」です。
これ、当社はもう昨年の夏くらいから言っていて、Waterfall Boost はまさにそれを実現する目的で構築されているんですが、最初は鼻で笑われるくらい理解されませんでした。
なので、現在、色々な所で名称はともかく、AI駆動開発でも上流工程が重要とか、品質を担保して大規模開発をするには単純なバイブコーディングでは無理とか言われているのを見聞きすると、少し嬉しくなってしまいます。
ただ、まだ本質が語られてないことも多いので敢えて書いておきますが、その原因はVibesのノリがダメなんじゃなくて、エンジニア側の能力に問題があるからなんです。
つまり、バイブコーディングでも優秀なエンジニアはある程度の規模のシステムでも単独で開発仕切ってしまいます。出来ないのは、スキルの足りない、または上流工程の経験の浅いエンジニアです。
結局のところ、バイブコーディング、AI駆動開発の最大のメリットの享受者は出現率数%の優秀なエンジニアだけだなんです。
なぜ優秀なエンジニアだけがバイブコーディングのメリットを最大享受できのか?
それは、システム開発のすべての工程について対応できるスキルがあるからです。
こちらは私がよくカンファレンス等に登壇する時に使っているページですが、バイブコーディングというのは、開発の全ての工程が同時進行していくようなもので(極端に言うと)、つまり全ての工程のスキルがないと対応できないというか、最大のパフォーマンスにならない。または足りてない工程が完了せずにシステムが完成しない、という事態が発生します。

つまり、簡単なWebアプリ程度だったら、スキルの浅いエンジニアや、それこそシステム開発をやったことがない人でも頑張れば完成まで行けるはずです。ただ、ある一定規模の、ビジネスユースのレベルになってくると、それなりにやらなければならない工程や作業があるので、それを理解している必要があります。そこのスキルが足りてないと、無限ループ開発に進んで、一人デスマーチを奏でることになります。
これまでの、例えばウォーターフォール型の開発だと、経験があってスキルの高いエンジニアは要件定義と基本設計を担当して、それより劣るSEは詳細設計とコーディングを担当。ジュニアのエンジニアは先輩にレビューしてもらいながらソースコードを書いて、あとはテストをやらされる、って感じで、良いか悪いかは別として、エンジニアそれぞれのスキルに応じて担当できる工程があったんですよね。
それが、バイブコーディング、AI駆動開発では、一気にそれらが同時進行していくことになるので、当然それらの工程すべての知見が求められるわけです。
その結果、本当にバイブコーディングで一定レベルのシステム開発を完遂できるのは、それら工程のスキルをすべて有しているエンジニアのみ、ということになるわけです。
なんか、世間的には下流工程(という表現は嫌いですが便宜的に使います)のエンジニアはいらなくなるって言われていますが、元々下流工程だけのスキルしか持ってないエンジニアの需要なんてなかったはずなんです。
ただ、優秀なエンジニアを単価の安い工程にアサインさせるわけにもいかないし、本人の志向も新規テクノロジーや上流に向いていくので、仕方なくそこだけを担当する(そこのスキルしかない)エンジニアがアサインされていただけであって、元々全ての工程を優秀なエンジニアがやったほうが早いし品質も高かったんです。
バイブコーディング、AI駆動開発は、図らずもそれを実現してしまったというのが現在の状況なのであって、下流工程しか出来ないエンジニアは何も悪くなく、彼らは昔からそこに居たし、これからもそこに居るんです。そっと。
でも世の中には優秀なエンジニアなんて限られている
じゃぁ、AI駆動開発でシステム開発をやるために優秀なエンジニアだけを採用しよう、育成しようってことになりますが、そんなことが出来ていたら、AI云々と言われる前に採用しているし、育っています。
結局、パレートの法則ではないですが、優秀なエンジニアなんて上澄みでしかなく、絶対数を増やすためには底辺の拡大も必要になり、そうすると下流工程しか出来ない、下流工程しか好まないエンジニアも大量発生する可能性があります。
私たちは、バイブコーディング、AI駆動開発の本質的な課題である、そこの課題解決に挑戦しました。
上流工程もAIで出来るようにしちゃえばいいじゃん
これ、言葉で書いたり言うのは簡単なんですが、実行は難しいことでした。今までは。でも、今のAIの能力だと、下流工程しか経験してないエンジニアでも、そこそこ上流工程を対応出来るように仕組み化できるんじゃないの?
そんな考えから誕生したのが、トランスコスモスとトランスコスモス・デジタル・テクノロジーが提供している「Waterfall Boost」という、大規模システムを、上流工程の経験の浅いエンジニアでもAI駆動開発で対応できる環境です。

ということで、今回はここまで。
次回はこの Waterfall Boost の仕組みについて説明をしていきます。
