広瀬川は、ほんとに白かった。萩原朔太郎の故郷前橋にて。
今年の始めの頃、萩原朔太郎のお孫さんの朔美さんの話を聞く機会があって。私は、昔から朔美さんが大好き。
なんと言っても、寺山修司さんの演劇実験室「天井桟敷」の旗揚げにも参加していて、あの当時の濃い空気をたくさん吸っている人。だから、もうお話が面白すぎて。
寺山さんはもちろん、三島由紀夫さん、谷川俊太郎さんなど、私にとってものすごい人たちのエピソードを、
「谷川俊太郎さんにさぁ~。詩って何ですかって聞いちゃったら・・・」
みたいに話すので、ずっとわくわくしていた。

10年前にお祖父さん(と言っても朔美さんが生まれた時にはもう亡くなっていたから会っていない)の朔太郎さんの故郷、前橋にて文学館の特別館長になったニュースを見て、びっくり。
いずれ行きたいと思っていたところ、年始のお話を聞いてそれが「ぜひ」に変わった。仕事の合間を見て、突如当日にホテルを予約して一泊で出かけた。
お話の中で、
「朔太郎は、広瀬川白く流れたり、と表現してるけど川が白いわけないだろう~ってずっと思ってたんだけど」
と朔美さん。
このようなお話は、聞いているだけじゃリアリティが伴わない。前橋文学館を訪ねたら、入口前にとうとうと流れる広瀬川があって、朔太郎橋を渡ってエントランスまで行く。

それまで川の話は記憶の彼方にあったのに、急に思い出した。町中なのに何これ? どうしてこんなに流れが速いの? 台風か何かの後みたいだけれど、そんな天候ではなかったし、波打ってるけれど、道行く人は誰も注目していない。
もちろん風景としての広瀬川を眺めている人はあちこちにいるのだけれど、いたって平和な顔。つまり、この急流は日常なわけで。

前橋文学館を満喫して、川沿いに歩いてみるとこんなのが!! まさに「広瀬川白く流れたり」としか表現できない風景。朔美さんも私も深く納得してしまった白さです。
言葉ってのは、すごいなぁ~。
あの日聞いた話が、記憶の片隅に残っていてこの流れを見た途端、まるで点と点が繋がるように、
「あ、このことだったんだ。白いって」
とするするとその思いが井戸の底からつるべを伝わってあがってくるような感じ。

急遽思い立ってやってきた前橋。
この流れを見られただけでも、来た甲斐があると言うもの。
しかも私は東京方面から新幹線も特急列車も使わずに乗り継いできたので、旅情緒たっぷり、日常から切り離された一コマでした。
嬉しい。
