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「人と会ったあと、自分の振る舞いを何度も採点してしまうとき」|月綴堂 心読み

楽しかったはずなのです

たくさん話して
笑って
その場にいるあいだは
何も気にしていなかったのでしょう

けれど
家へ帰って
ひとりになった途端
今日の自分を
思い返し始めてしまうことがあります

「あれ、喋りすぎたかな」
「少しテンションが高かったかも」
「あの話、しないほうがよかったかな」
「もっと相手の話を聞けばよかった」
「私だけ浮いていなかったかな」

ひとつ気になれば
またひとつ
楽しかった記憶よりも先に
自分の振る舞いばかりが
心へ戻ってくる

そして
今日の自分へ
ひとつずつ
点数をつけ始めてしまうのです

けれど
人と過ごした時間というものは
本当に
そんなふうに採点しなければならないものなのでしょうか?



🌙 あなたは「今日の自分」を見ているのでしょうか

帰宅してから思い出す自分は
その場にいた
本当のあなたとは
少し違っていることがあります

「あのとき、相手の顔が少し曇った気がする」
「返事が短かったような」
「笑ってくれたけれど、本当は困っていたのでは」

思い返すたび
そのときには気にならなかったことへ
意味をつけ始めてしまうのです

そして
記憶の中の自分は
だんだん
失敗ばかりした人のようになってゆきます

けれど
その場にいたあなたは
本当に
そんなふうだったでしょうか

相手は笑っていたかもしれません
普通に話していたかもしれません
あなた自身も
楽しいと思っていたのでしょう
帰宅したあとの静かな場所で
今日という時間を
何度も作り直さなくてもよいのです

あなたが今採点しているものは
今日のあなたではなく

何度も思い返すうちに作られた「今日のあなた」

なのかもしれませんから🌙



🌙 「嫌われなかったか」を確かめたくなるのでしょう

自分の振る舞いを
何度も振り返ってしまうとき
本当に知りたいのは

「あの言い方は正しかったでしょうか」

ということではないのかもしれません

その奥には
「嫌われていないでしょうか」
「変な人だと思われていないでしょうか」
「また会いたいと思ってもらえるでしょうか」
そんな問いが
隠れていることがあります

だから
話した量も
笑い方も
相槌も
別れ際の言葉まで
ひとつずつ確認したくなるのでしょう

けれど
人と人との関係は
一度の会話を
完璧にできたから続くものではありません

少し喋りすぎる日もあれば
うまく話せない日もあります
聞き役になる日も
自分の話ばかりしてしまう日も
あるのでしょう

それでも
また会って
また話して
少しずつ
その人との関係は作られてゆくものです

一度の時間だけで
あなたという人すべてが
決められてしまうわけではないのです🌙


🌙 相手も、自分のことで精一杯なのかもしれません

私たちは
自分の失敗には
よく気づくものです

自分の声
自分の表情
自分の言葉
自分がどう見えていたのか
けれど
一緒にいた相手にも
同じように
その人自身の心があります

「あの話、つまらなかったかな」
「私ばかり話してしまったかも」
「ちゃんと楽しんでもらえたかな」

もしかすると
相手も帰宅してから
同じようなことを考えているかもしれません

そう考えてみると
少し不思議ではありませんか

お互いに楽しかったのに
帰宅してから
それぞれが

「自分は大丈夫だったでしょうか」

と心配している
そんなことも
案外あるものなのでしょう

あなたが思っているほど
相手は
あなたの小さな失敗を
細かく覚えていないのかもしれません

そして
あなたが「失敗」と思っていることを
そもそも相手は
失敗だと思っていないこともあるのです🌙


🌙 楽しかったなら、まずは「楽しかった」で終えてもよいのです

人と会った日の夜
反省することが
ひとつくらいあってもよいでしょう

次はもう少し
相手の話を聞こう
あの話題は
今度から少し控えよう

そんなふうに
明日へ持っていけることがあるなら
ひとつだけ
持って帰ればよいのです

けれど
今日の自分を
最初から最後まで
採点し直す必要はありません

楽しかったなら

まずは
「楽しかった」
それで終えてもよいのです

笑ったこと
嬉しかったこと
美味しかったもの
また会いたいと思ったこと
今日という時間には
反省点以外のものも
ちゃんとあったはずです

どうか
それらまで
採点表の下へ
隠してしまわないでください🌙


🌙 今夜も、今日の自分へ点数をつけているあなたへ

あなたは
誰かと過ごすたびに
満点の自分でいなくてもよいのです

いつも気の利いたことを言えて
いつも相手を楽しませて
いつも聞き上手で
いつも感じよく

そんな自分でいようとすれば
人と会うことそのものが
少しずつ
疲れるものになってしまうでしょう

人と過ごす時間は
試験ではありません
あなたが

誰かに採点される場所でも
あなた自身が
あなたを採点する場所でもないのです

少しくらい
うまく話せなかった日があっても
少しくらい
喋りすぎた日があっても
それも含めて
今日誰かと過ごしたあなたなのでしょう

もし今夜
また

「あれでよかったのかな」

が始まったなら
ひとつだけ
思い出してみてください

私は今日、楽しかったでしょうか

もし
「うん」

少しでも思えるのなら
今夜は
それを今日の答えにしてもよいのです

今日のあなたへ
点数などつけず
ただ

「お疲れさまでした」

とだけ言って
一日を終えてあげてください
それでよいのです🌙




🌙 今夜、もうひとつ月明かりを辿るなら…

「あの言い方、よくなかったかな」と、あとから何度も考えてしまうとき|月綴堂 心読み

楽しかった時間の中にも
ふと、ひとつだけ気になる言葉が残ることがあります
何度も会話を巻き戻してしまう夜に
その言葉を少し違うところから眺めてみましょう

【月夜の処方箋|第九帖】ひとりになった途端、いろいろ考え始めてしまう夜に|心を静けさへ戻す三つのこと

人と別れ、ひとりになった途端
始まってしまう心の反省会
今夜考えなくてもよいことまで
頭から離れなくなってしまった夜に
今夜のあなたに、もうひとつ心惹かれるものがあれば
どうぞ、その先へ🌙

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