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明け方の月とわたし

 実家に帰省しているとき。時々、
明け方になるとカラカラと玄関を開ける音に
目が覚めることがある。
そのまま布団の中で目をつむり
まどろんでいるとまたカラカラと今度は
玄関を閉める音が聞こえる。
静かな足音と茶の間を開けてまた閉める音から
外へ出たのは母なんだな、と分かる。

 私は朝活で5時頃にウォーキングに
出かけるのだが9月も半ばになると
朝は涼しくなり東京でも虫の声が聴こえる。
見上げる空はうっすら朝焼けがあり、
まだ月がのぼっていた。
今朝は三日月。その三日月から離れたところに
星があり、井戸と釣瓶のように思えた。

 そういえば数年前のお正月だっけか、
帰省した時の事。2階の階段を上る音がして
「いま、月がキレイだから起きて見てごらん」
と起こされむくっと起き上がると、
冷え切った部屋にぶるっと目が覚める。
それから母と階段を下りて玄関を開けて
空を見上げるとまだ紺色の空に細い細い月があり
寄り添う金星を見たことがある。

そうか。母は明け方、外に出て月を見ているのか、なんて思った。

むかし、ってほどむかしでもないけれど。

 あるご夫婦は私のことを〈月夜野サン〉と
夫婦間では呼んでいるらしい。
私の生まれが月夜野だかららしいけれど。
そうなると私の母は生まれた時から
ずっと月夜野なので正真正銘の
月夜野サンかもしれない。

はて、今朝の三日月と星を母も見ていただろうか。

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