さよならの痛みが成長で、さよならの喜びが未来をつむぐ
vol.48【ワタシノ子育てノセカイ】
終わりが始まり。思考や行動のさまが変わるとき、これまでの何かが終わりをつげると、新しい何かが始まりだす。
「どうしてこれまでがダメなのか」「変えると何が変わるのか」を終わりに問わないと始まらないらしい。
続いていた何かを終わらせるのは、たぶん、心。終わりに「共感」できたとき、新しい世界が始まるのかもしれないな。
◇
ところで私には「実子誘拐」で5年以上離れて暮らす、10代のふたりの息子がいる。
◇
世間を賑わすジャニーズ問題は、日本を体現しているかのよう。日本国の道程を、ただなぞっているように映るから。
だからこそ虐待を見てみぬふりをして、子どもたちの命をカラッポにしつづけるどころか、虐待とすら理解できない。虐げているのが「未来」だなんて、これっぽちも気づけないんだ。
メンタリティの礎となる日本の親権制度は、親子断絶型システム。
社会システムによる親子断絶は、親子の命を吸いとる残忍な事象で、国の未来を断絶しようとしているんだ。そして日本国がほう助する虐待には加担者がいて、どうやら、私たち日本国民。なんせ、主権者らしいので。
だけど虐待に加担するのはイタシカタないんだな。私たち日本人は単独親権制度、つまり「家制度」の魔法にかかっているから。
国の根っこである「親子」のシステムエラーは、社会を歪める問題をとめどなく産んで、国民にまとわりつくように育ませてゆく。
◇
2023年9月、長男タロウの体育祭の入場行進。
23日ぶりの歩く姿は大きくて、おもわず私は二度見する。どうやら我が子は、まちがいなく中学3年生らしい。視界がぼやけてきた私はとりあえず、タオルを頭からふわっとのせた。
晴天なのににじむ景色を見つめていると、リレーで走る14歳タロウに4歳タロウの姿が重なる。まだバランスよく走ることができなかった、小さなタロウが現れたんだ。
こども園での運動会。1本道のある障害物競走で、タロウがつくった大行列はほほえましく、分岐点で飛びたつように放たれる子どもたちは、みんなみんな天使みたいだったな。
10年前の和やかな運動会とは裏腹に、2023年の体育祭のリレーは白熱している。重ねたくせに4歳の面影など見当たらず、タロウはグラウンドをさっそうと駆けていった。
タロウから「お母ちゃん、走るの競争しよ」とねだられたのは、何歳くらいまでだったかな。
今はもう、歩くのすら、ついてくと、息切れ。
◇
2023年の体育祭については、タロウから連絡がなかった。
どの種目にでるのか、どこにいるのか、順番はいつなのか、が謎のまま当日を迎える私。もちろん概要を知りたい旨はタロウに伝達済みで、前日にもLINEした。
お母ちゃんくんなってことか!?と1ミリほど頭によぎる。
とはいえこの程度で悩んでいたら、6年間も実子誘拐による分断親子をやってはいられない。とりあえずシレっと参加して、鬼滅隊の柱になるが如く、全集中してタロウを探す。
結果、コロナ過によって洗練された体育祭の工程に、今年も感謝。
◇
さて、体育祭の代休日、の前日。タロウからLINEがくる。
「明日ご飯食べに行っていい?」
体育祭の振り返りランチ会のオファーっぽい。私は1ミリの不安に負けなかった自分を抱きしめる。
ランチ会当日は会うやいなや、タロウは体育祭について弾丸お喋りを始めた。車での移動中も、食事の支度を手伝うときも、食べてるときも、食べ終わっても、タロウは体育祭の話で、ずっと、エクボ。
タロウが夢中になってお喋りする姿に、私も夢中のときをありがたく過ごした。
◇
タロウと私の明確な意思疎通は、タロウが8ヵ月の頃からはじまる。名前を呼んだら、手をあげてくれるようになったんだ。
当初、私は気づいてなくて、たまたま遊びに来ていた妹が、返事するタロウに気づいてくれた。ところが「まだ8ヵ月やで?返事するわけない」と毒親をのぞかす私。
だけど私が「タロ~」と呼びかけると、タロウは声をだして笑いながら右手をあげた。それでも信じられない私は、確かめようとくり返す。すると8ヵ月のタロウは、何度もなんどもお返事をくり返してくれたんだ。
しつこい母の呼びかけすべてに、眩しいほどの微笑みで。
一方で、3歳まで走れなかったタロウが、歩けるようになったのは1歳半を過ぎたころ。平均的な体格で生まれた体つきは、成長するにつれて12ヶ月分ズレこんでゆく。
成長ホルモンが気になり、診察を受けようか考えていたある時期、熱性けいれんで入院する。ついでに相談したら通院になったけど、医師はいつも「タロウくんはお喋りじょうずだから大丈夫」とタロウに笑いかけてくれていた。
タロウのお喋りはきっと、私のお守りなんだろうな。
◇
歩き始めたタロウは、ハイハイを終えた。お喋りを始めたタロウは、泣くだけを終えた。
成長するということは、これまでをコクンと吞み込んで、新しい何かを生みだすことかもしれないな。
これまでが、喉に引っかかっていたり、口にすら運んでいなかったりすると、新しい何かは生みだしにくい。芽を育み、花を咲かせ、実を宿らせ、種をつけるには、なにかしら栄養がいるから。
タロウのお喋りを堪能したのち、体育祭における返事について、私が感じたことをタロウに言及してみた。すると結末、私がぐうの音もでない言葉でタロウがしめる。
「お母ちゃんは、タロウがどこにおっても、すぐに見つけられるやろ?」
親権を譲った2021年、タロウ中1の体育祭。えぇ、5ヶ月ぶりをナシにして、タロウを一瞬で見つけました。2023年よりも校庭がにじんで、タロウがなんか5人くらいいましたよ。
私のしつこい呼びかけに、いくどもいくども、幸せみちる返事をくれた、8ヵ月のタロウ。今生では回収できないくらい、私はすでにお返事をもらっているのかも。
なのにタロウはいつだって私より先に、運動場で、私を見つけてくれるんだ。

父と母の母校でもある
山はたぶん、おんなじまま
JeiGrid株式会社さんのジーニマムオンラインサロンにお招きいただきました。後半のQ&Aでのご質問や感想が学び深かったので動画をご紹介。
子どもの連れ去り問題をアンコンシャスバイアスの観点から解説しています。6:00くらいから。資料は小中学生用の短縮バージョン約10分。(通常30分弱)。
意識のアップデートで子どもの虐待をほう助しない社会へ。企業、教育機関、自治体など、福利厚生や人権研修に◎
