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関係人口ってなんだろう。わたしの関わりしろを探して


「住む」でも「観光」でもない、そのあいだの関係

最近、「関係人口」という言葉をよく聞くようになった。
移住でも観光でもない、もう少し曖昧な、そのあいだにある地域との関わり方。

総務省が2017年頃から使いはじめた言葉で、
地方創生の流れの中で、少しずつ浸透してきた。

地域に「住む人」を増やすだけではなく、
「関わる人」をどう育てていくか。
そんな視点が求められている。

暮らし方や働き方が多様になってきた今、
「住まないけど関わっていたい」
そんな人の存在が、少しずつ見えるようになってきた。




関係人口って、どんな人たち?

たとえば、アンテナショップで地域の食材を定期的に買っている人。
旅先で出会った土地を応援したくて、ふるさと納税や寄付をする人。
お気に入りの地域のクラフトビールをオンラインで取り寄せて、友人に薦めている人もいる。

一方で、副業で地域のプロジェクトに関わったり、
オンラインでまちづくりに参加するような人もいる。
短期滞在を繰り返しながら、人との関係を育てていく人も。

「そこに住んでいないけれど、継続的に関わっている」
その在り方は、関係の深さや時間の長さによって、実にさまざま。

そんな多様なかかわりのかたちを、
まとめて「関係人口」と呼ぶ。


関係人口を表す図:総務省のポータルサイトより引用




移住はしない。でも、地域とつながっていたい

私自身も、移住という言葉にはずっと違和感があった。
今の暮らしでは、家族の仕事や子どもの学校もあり、
定住を考えるタイミングではない。

二拠点生活も勧められたけど、
出張や1〜2週間の滞在のほうが、性格的にもしっくりきた。

それでも、地域と関わることには惹かれていた。
人や空気、土地の手ざわりに触れるたび、
自分の中の何かが静かに動いていく。




「募集の役割」と「関わりたい気持ち」のズレ

副業人材のマッチングサービスに登録して、
いくつかの案件に応募してみたこともある。

けれど、地域の人と話すところまではいけなかった。
書類選考で落ちたのだと思う。

企業名や職歴では伝えきれないこともあるし、
地域側も、知らない人を迎えるにはリスクもある。

違和感を覚えたのは、募集内容と自分の関わり方のズレだった。

私は、与えられた施策の一部を担うよりも、
地域の人と一緒に、課題の根っこから考えていきたかった。

でも実際には「インスタ投稿」みたいな、
役割があらかじめ決まっている仕事も目立った。




スキルでは測れない「関わりしろ」

副業人材として地域に関わろうとしたとき、
求められていたのは、すでに用意された施策の一部を担う役割だった。

けれど私は、もっと手前の部分――
たとえば「どんな課題があるのか」や「誰に届けたいのか」から、
地域の人と一緒に考えていきたいと思っていた。

SNSの発信やデザイン制作など、専門性が求められる業務は
得意な人に任せた方がいい。
自分が本当に力を発揮できるのは、課題を言語化して、
チームの動きを整えていくような場面なのかもしれない。

そう思ったとき、そもそもこの仕組み自体が、
「型にはまりやすい人材」を前提に設計されているように感じた。
でも、制度が悪いわけではない。
制度には制度のリズムがあるし、選考にも理由がある。

ただ、それだけではすくいきれない関わり方もきっとある。

最近では、越境学習や関係人口に関連するようなプロジェクトに、
ご一緒させてもらう機会が少しずつ増えてきた。

都市と地域をつなぐ人や仕組みづくりを考える場に関わるなかで、
「関係人口」という言葉が持つひらかれた可能性を、あらためて感じている。

地方の企業の中には、
単なる作業や施策の実行ではなく、
事業戦略の構想から伴走してくれる“右腕”のような存在を
求めているところもある。

でも、そうした関わり方は、
資格やスキルといった目に見える指標だけでは測りきれない。

課題をともに掘り下げ、関係性の中で信頼を育てながら、
地域の人たちと一緒に「どうするか」を考え続けること。

そういった見えにくい力にこそ、
今の地域には、必要な関わり方があるのかもしれない。




海外にも、似たような考え方がある

最近読んだ本の中で、人と地域の関係を
「コミットメントのスペクトラム」として捉える考え方を知った。

関わり方には、訪問、交流、協働、定住など
いろんな段階があるという社会学の視点だ。

この考えに触れたとき、自分の感覚と重なって、少し安心した。

海外にも似たような考え方がある。

たとえば「トランスローカリズム」。
アメリカやヨーロッパの社会学で生まれた言葉で、
複数の土地をまたいで関わりながら暮らす生き方を指す。

一つの場所に縛られず、またがって関係を持つことを
前向きに捉える考え方だ。

「非居住者的シビックエンゲージメント」という言葉もある。
これは、住民票がない場所にも市民として関わろうとする姿勢のこと。

寄付やボランティア、意見表明などを通じて、
暮らしていない土地と関係を持とうとする人がいる。




日本にも、そんな関わりが少しずつ芽吹いている

こうした考え方は、特に移民文化が根づいた国々で育まれてきた。

複数の土地と関わりを持つことが
当たり前だった人たちがいたからこそ、
非居住でも「関係がある」と言える視点が育ったのかもしれない。

日本では、定住を前提とした地域との関係が長く続いてきた分、
こうした考え方はまだ新しく見える。

でも、「関係人口」という言葉が生まれたことで、
ここにもまた、ちがう形のつながりが少しずつ芽吹いているように感じる。

自分にとっても、誰かにとっても、
無理のない関わり方がそっと見つかっていくといいなと思う。

そんな世の中を目指して、これからも活動していきたい。




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