見出し画像

人はいさ・紀貫之

人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
                                (百人一首)
紀貫之さんの代表作ですね。
大意はこうなります。

人の心はさあどう変わってしまったか分かりませんが、昔馴染みの梅の花は昔通りに香っていますね。

成程、上手いっすね。
都にいる貫之さん、奈良の長谷寺にお参りした帰りに詠んだ歌とか。
長谷寺参り、流行ってたみたいですね。ええと、鎌倉にも長谷寺ってありますけど、あれって奈良の長谷寺の観音様が嵐で流されて鎌倉に漂着したのがはじまりとか。あそこ甘酒旨いっすよね。
今だと京都・奈良は、近鉄特急で30分くらいすか。鈍行でも40分かな。電車だと近いです。
でも、当時は歩きっすからね。足腰の弱い貴族はんですから、京から一息に奈良までは行けません。で、途中で泊まる。知り合いの家なんかに。
したら、 
「あれ? どなたでしたっけ」
なんてすっとぼけられて、家に入れてくんない。で、歌った歌らしいですね。
 これ、女性ですよね。たぶん。それなら、よう分かります。学校で習った時、先生が、「これは知り合いの人や」しか言わないんで、どうも納得いきませんでした。
女の人なら、よう分かります。
「今日、泊めてくれへんか」
「おや、どなたですのん」
「そんなイジワル言わんといてよ。昔馴染みのワシやないけ」
「あれまあ、よう言いますな。アテが泊めんでも、泊まるあては、ぎょうさんあるんと違いますか」
てな、言われようで、ピシッと玄関閉められて。
こりゃあかんと、貫之さん、歌を詠む。

昔馴染みの梅の花は昔通りにアテを迎えてくれますなあ。そんな、拗ねてないで、あんたも昔通りに、アテを迎えてくれんかな。

「もう、いくらアテが美しいからって、梅の花と比べるやなんて、あんた狡いわ。もう、せんない人やわ。入り。とっとと入りって」
てなことがあったやも。

男と女の駆け引きですな。

いいなと思ったら応援しよう!