#595 竹内義晴さん講演レポート──コミュニケーションは才能ではなくスキル
先日、今をときめく半導体企業の社員の皆様を対象に、竹内義晴さんのオンライン講演を実施しました。
テーマは、「心理的安全性を高めるコミュニケーション術」。
今回はフルリモートでの開催で、55分間のご講演と5分間の質疑応答。私は司会としてご一緒させていただきました。
竹内さんは、NPO法人しごとのみらい理事長として、組織づくりやコミュニケーションについて長年活動されている方です。そして竹内さんの講演の大きな魅力だと感じたのが、机上の空論ではないこと。
今もサイボウズで働きながら、ご自身も組織の中に身を置いています。また、これまでの仕事の中では大変な経験もされています。実際の職場で悩み、試行錯誤してきたからこそ、言葉にも人間味があります。
実際にお話しすると、とても柔らかい印象の方でした。
Ⅰ.心理的安全性を、具体的な行動に落とす
「心理的安全性が大切」という言葉自体は、今では多くの企業で聞くようになりました。
ただ、「では明日から何をすればいいのか」となると、意外と難しいものです。
今回の講演では、1on1ミーティングをはじめ、日々のコミュニケーションで実践できる方法が具体的に紹介されました。
中でも印象に残ったのが、「定期的なザツダン」と「肯定的な伝え方」です。
何か問題が起きてから話すのではなく、普段から話せる関係をつくっておく。1on1も単に制度として実施するのではなく、日常的なコミュニケーションの積み重ねがあってこそ意味を持つのだと思います。
そして、相手の言葉を繰り返して確認する「バックトラッキング」や、物事を見る枠組みを変える「リフレーミング」など、具体的なコミュニケーションスキルについても紹介されました。
竹内さんがおっしゃっていた、「コミュニケーションは才能ではなく、スキル」という言葉も印象的でした。
話すのが得意な人だけができるものではなく、トレーニングによって誰でも身につけていくことができる。そう考えると、職場のコミュニケーションは「相性」で終わらせるものではなく、改善できる余地があるということでもあります。
Ⅱ.ストレスの根本にあるものを見る
もう一つ印象に残ったのが、職場のストレスについてのお話です。
どれだけストレスチェックをしても、それだけでは対症療法になってしまうことがあります。もちろん状態を把握することは大切ですが、その背景にある職場の関係性やコミュニケーションそのものに目を向けなければ、根本的な解決にはつながりません。
だからこそ、普段から話せる関係をつくっておく。
心理的安全性というと大きな組織論のようにも聞こえますが、突き詰めていけば、日々どのように声をかけ、どのように相手の話を聞き、どのように関係をつくっているのかという、一つひとつのコミュニケーションにつながっていくのだと感じました。
Ⅲ.「ブロック塀ではなく、石垣」
そして、個人的に非常に分かりやすかったのが、「ブロック塀ではなく、石垣」という表現です。
ブロック塀は、同じ形のブロックをきれいに並べてつくられます。一方の石垣は、大きさも形も違う石を組み合わせながら、それぞれを生かして全体をつくっていきます。
組織も同じで、全員を均一な人材にする必要はありません。一人ひとり得意なことも違えば、考え方や個性も違う。その違いをなくすのではなく、それぞれの特徴を生かしながら組織をつくっていく。
心理的安全性とは、単に「何でも言える職場」をつくることではなく、それぞれの違いを持ったまま働ける環境をつくることでもあるのだと、改めて考えさせられました。
Ⅳ.5分間で3つの質問
今回は55分間の講演後、質疑応答は5分間のみでした。
短い時間でしたが、講演終了後には次々と質問が寄せられ、結果的に3つの質問に答えていただきました。
オンライン講演の場合、講演を聞いて終わりになることもあります。それだけに、短時間でもこれだけ質問が出てくるのは、聴講された皆様が竹内さんのお話を自分たちの職場に引き寄せながら聞いていたからではないかと思います。
私自身もフルリモートで司会を務めながら、改めて1on1や普段のコミュニケーションについて考える時間になりました。
心理的安全性を高めるために、何か大掛かりな制度を導入することも一つかもしれません。でも、その前にできることもある。
定期的にザツダンする。相手の話を聞く。肯定的に伝える。
そして、コミュニケーションは才能ではなく、誰でも磨いていけるスキルだと考える。
竹内さんの柔らかい語り口と実体験を通して、心理的安全性を「概念」で終わらせず、日々の職場で実践するためのヒントをたくさんいただいた60分間でした。
竹内義晴さん、ありがとうございました。
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マイプロフィール:土橋昇平(㈱ペルソン エバンジェリスト)
