見出し画像

【経済学×ゲーム】(超)試作ゲーム:パレート改善ゲーム

今回は超試作ゲームを恥ずかしげもなくご紹介します。本当に超試作段階なので、白カードにラベル印刷ペタペタ&一部手書き(修正履歴もあり)です。もちろんゲームを作るのは初めてなので、カードゲーム作りの段取りとして何が正しいのかも分からないのですが、このnoteではプロセスも赤裸々に、興味を持って頂けた方にはご意見やご指導も頂きつつ、と思っていますので、よちよち歩きですがご紹介します。

ちなみに経済学のゲームという話をすると、「投資教育?資産運用?金融リテラシー?」みたいな反応を頂くことが多いのですが(それはそれで重要ですが)、そういうゲームはモノポリーを筆頭に結構あるし、このプロジェクトでは別のところに焦点を当てています。初歩的かつ本質的な(高校生〜経済学部の一年生くらいで学ぶような)経済学のアイディア、「なるほど!そう考えるのか!」といったような学問としての面白さを伝える、みたいなところを目的にしています。

そんなわけで、第一弾として、ミクロ経済学で必ず学ぶ「パレート改善」を題材とするゲームを作ってみました。繰り返しますが、「作ってみました」と言いつつ超試作品なので、手仕事で非常に素朴な仕上がりです。

とても素朴です。

パレート改善とは「誰の効用も悪化させずに、少なくとも一人の効用を高めることができるように資源配分を変更すること」を指します。簡単に言うと、「他の誰も不幸にせずに、誰かが今よりも幸せになるんだったら、それって社会全体としては今よりも良くなったと言えるよね」という考え方です。

イタリアの経済学者(社会学者、哲学者としての顔もあります)、ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Pareto)氏が『経済学講義』(Cour d'Economie Politique, 第一巻が1896年、第二巻が1897年に出版されています)等の著書で示した概念です。

とても明快で素敵なこの考え方をゲームを通じて伝えられないか、というのが今回の趣旨です。

目指すところは、給食の時間に小学生達が
「オレヨーグルトいらないから誰かあげるー!」
「え、いいの!?やったー!パレートかいぜんじゃん!!」

みたいな会話をしている世界線を生み出すことです。(壮大な野望です。)

ルールは以下のようにシンプルです。

①「目標カード」を各自一枚ずつとる。

目標カード:目標とそれを達成するために必要なアイテムが書かれています。

②「アイテムカード」を各自三枚ずつとる。

アイテムカード:アイテムが書いてあります。修正テープが大活躍しています。

③他のプレイヤーとアイテムカードを交換しながら、目標カードに書かれたアイテムを揃えることを目指す。

簡単です(小学校一年生からプレイできることを目指しています)。なぜこれがパレート改善なのか。以下の重要なルールが追加されます。

相手が欲しいもの(相手の目標カードに書かれているアイテム)を渡すような交換をすると、カードを渡したプレイヤーが「パレート改善ポイント」を受け取ることができる。

パレート改善!カード:相手が欲しいものを与える交換をするともらえます。

この追加ルールがパレート改善ゲームたるゆえんで、僕たちは勝手にこれが結構革新的なんじゃないかと思っています。僕が学生メンバーにこのアイディアを示したとき、メンバーは皆「これは新しいですね!」と言ってくれて、早起きして考えた意味があったなあと喜びを嚙み締めました。

ちなみに僕たちはまったくゲーム作りのプロではないし、こういうコンセプトを持つゲームが存在しているのかも実のところあまりよく分かっていません。(もしご存知の方がいたらぜひ教えてください。)

このルールの意味するところは、「自分の目標アイテムでないカードを受け取って、相手の目標アイテムを渡す」という交換を行った場合にも、パレート改善ポイントを得られるということです。つまり、「自分は特に不幸になっていないけれど、相手を幸せにしている」(他の誰かが不幸にならずに、誰かが幸せになっている)ので、パレート改善したことになります。

勝敗は目標達成ポイント(早く目標アイテムを揃えたプレイヤーほど高得点)とパレート改善ポイントの合計点で決まります。つまり、自分の幸せを達成すること(=早く自分の目標を叶えること)と、他人(or社会)を幸せにすること(=パレート改善ポイントを多く稼ぐこと)の両方が勝敗を決めます。ここには、「自分だけ良ければ幸せっていうのは寂しいじゃん」という作者達(僕達)の想いも入っています。

このゲーム、学生達と相談しながら作ったのですが、実は対面でのテストプレイをきちんと出来ていないので、次回はその模様をレポートできたらなあと思っています。


いいなと思ったら応援しよう!