【ショートショート】幼馴染はじめました#2
国境を接する国というのは大なり小なり争うものだ。ご多分に漏れず、この国も隣国との戦争の真っ最中。時は西暦2066年、元はひとつだった国が分かれ、争いあっていた。
「浜松で捕らえた敵兵は5千は下らんのだろう?」
「ええ、まさに大漁ですね」
空調の効いた室内に、男と女が会議用のテーブルを挟んで座っている。
「今回はどうするのだね?」
「……そうですね。男は【恋人】のデータを入れると64%、女は【親子】を入れると96%ですが、年齢の許容値に齟齬が生じたりで破綻することが多いのが現状です」
「そうそう万能な洗脳手段はないということか。破綻は戦線に混乱を招く。【恋人】の64%でも十分実用的と考えるべきか」
「……そうですね」
*
「前線は浜松を越え名古屋まで押し進められた。理由はもちろん、例の捕虜たちだ。いったいどんな手品を使ったんだい?」
「実は古い文献にヒントを見出しまして」
そのとき会議室の扉が開き、ひとりの兵士が入ってきた。
「報告します!名古屋基地の──お、ミナミやんけ! またお前のオカンに……失礼しました。報告を続けます」
男は報告を終えると、名残惜しそうに退出していった。
「彼は、例の捕虜だよね?いったい、なんのデータを入れたらああなるんだい?」
女は微笑みを浮かべた。
「ただ昔から知っている。それだけで信頼してしまう魔法のような関係、【幼馴染】です」
終
こちらのアイデアも捨てがたく、もうひとつ書いてみました。
実際そんなにいいものじゃないとか言われますけど、やっぱり幼馴染って憧れます。
田原にかさまの毎週ショートショート【幼馴染はじめました】に参加させて頂きました。
同じお題でもう1本
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