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【ショートショート】スウェーデンウインク

サウナ熱はとどまることを知らない。

サウナーたちはより汗をかける場所、より整える場所、よりディープな場所を探して靴底をすり減らす。

新大久保の一角に、そのサウナ店はひっそりとオープンした。スウェーデンの本格サウナという触れ込みだ。

「どんな世界におれをいざなってくれるのか、ワクワクが止まらねー!」

サウナ歴3年。サウナインフルエンサーの肩書で、登録者数252人のチャンネルを持つ男「Neppa−」こと新井勝は、店の前に仁王立ちしていた。

すでに家からサウナ帽を被ってくるほどの気合の入りようである。

全国各地のサウナを渡り歩いた自分を満足させられるのか……新店舗に行く際は勝負のような心持ちである。

「いらっしゃいマセー」

白人女性のお出迎えに少し緊張の度合いを上げた勝は、いそいそと服を脱ぎサウナへと続く扉を開けた。

むわっと白い蒸気が全身を包み込む。前を窺うこともできないほどの蒸気をかき分け、男たちの隙間へと体を滑り込ませた。

至って普通のサウナである。物足りなさを感じていると、扉が開いて先ほどの白人女性が入ってきた。熱波師か?

彼女は1人ずつ顔を近付け、しばらくじっと見つめ合っている。なんなんだ?
いぶかしく思っていると、勝の前に彼女がやってきた。

綺麗な顔立ちの彼女に真正面から見つめられ、体温は急上昇。ドギマギしているとそよそよ、と心地の良い風を感じる。

彼女が私の顔を見つめながら、ウインクを繰り返している。長いまつ毛から送られる風はまさにスウェーデンの風。


家路に着く勝は整っていなかった。
あんなの、熱波でもなんでもない。おれのサウナ道に反する。

そう思いながら年間パスポートを財布にしまう。その足取りは軽やかだった。




昔サウナから出て気絶したことがあるので、それ以来サウナは怖くて入れません。好きなんですけどねー


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