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【AI活用版】成功する投資:トレーディングのサイエンス

元記事:成功する投資:トレーディングのサイエンス

UKIです。
この記事は2020年に執筆したもので、早6年が経とうとしています。株式のデータ分析を行うために、当時の記事ではPythonを使った導入コードを記載しましたが、記事中のコードはライブラリのバージョンアップ等の要因で動作しなくなっており、改訂しなければと思いつつ現在に至ります。

有難いことに、この記事は現在でもたくさんの方が紹介してくれます。昨今はAIの進化により自身でコードを書かなくとも分析ができるようになり、このタイミングでようやく重い腰を上げて改訂することにしました。既に元記事をご覧頂いている方も、この機に初めて触れた方も、楽しんで頂けたらと思います。


改訂内容について

  • 原文は、基本そのままです。

  • 情報が古い場所などは、原文に取り消し線を付与して追記しております。

  • PythonではなくAIエージェントの使い方に変更しました。

はじめに

早速ですが、皆さんは投資をしているでしょうか。しているとすれば、どのような投資をしていらっしゃるでしょうか。

世の中には様々な投資対象が存在し、またその投資手法も様々です。投資に関する情報は世の中に溢れています。氾濫していると言ったほうがよいかもしれません。書籍を例に取ると、甘い文句で投資を奨励するライトな入門書から金融の専門書までずらりと並びます。またブログやSNSも重要な情報源となっており、最近では投資向けのYouTubeも人気を集めているようです。

しかしこれだけ多様な情報ソースが存在するにも関わらず、投資で成功を収めることができるのはごく一握りです。少し古いリサーチになりますが2015年の野村證券の個人投資家リサーチでは、通算で利益が出ている個人投資家の割合は9.3%とのことです。(情報が古くリサーチの内容にも指摘を受けたことがあったため、以下のように修正しました)

これだけ多様な情報ソースが存在し、NISAを通じた投資参加者が急増しているにもかかわらず、個人投資家が安定的・継続的に高い投資成果を上げることは依然として容易ではない。金融庁によれば、NISA口座数は2025年12月末時点で2,821万口座、累計買付額は71兆円に達しており、個人の投資参加は大きく拡大している。一方で、金融庁の投資信託共通KPIでは、運用損益がプラスの顧客割合は2024年3月末の約9割から2025年3月末には約6割へ低下しており、市況によって個人投資家の成果は大きく左右される。また、日本証券業協会の2025年調査でも、新NISA利用者のうち「資産が増えた」と回答した割合は22.7%にとどまり、「何に投資すればよいか分からなかった」とする回答も19.4%みられる。したがって、情報や制度へのアクセスは改善しているものの、それを一貫した投資成果に結び付けるには、銘柄選択、リスク管理、売買規律、投資期間の設計といった実践的な能力がなお重要である。

ChatGPTにより生成


どうしてこのような事態に陥ってしまうのでしょうか。投資の初級者の方はどのようなアプローチをしているのか、いくつか例を挙げてみましょう。

  • 流行りのテーマ株の高騰に飛びついて高値掴みをしてしまう

  • バフェットの真似をして四季報から割安成長株を選んでみる

  • 聞きかじった知識を元にPERやROEで銘柄をスクリーニングしてみる

  • 配当狙いで銘柄を保有してみる

  • 雑誌のアナリストが推していた銘柄を購入してみる

  • 企業決算や経済指標の発表に合わせて取引してみる

  • 流行りのESG企業を買ってみる

  • テクニカルを使ってチャートから上昇するか下落するか予想してみる

このような手法を鵜呑みにトレードしてしまい、勤労時間の昼休みが来るたびに含み損を見て落胆している方もいるのではないでしょうか。もう一度言いますが、なぜこのような事態に陥ってしまうのでしょうか。それは、そもそも初級者の方はどのようなトレーディングスタイルが本質的に優位であるか知らないからです

本記事の目的

本記事では兎にも角にも、初級者の方が持つ投資観に対して全く新しい気付きを与えることを念頭に置きました。トレーディングは科学です。科学的なトレーディングとは、すなわち計量的・実証的なトレーディングのことです。

本記事では統計的な考えに基づき、どのようなトレーディングスタイルが優位であるか示します。記事中では、初級者の方が平易に読むことができるようになるべく分かりやすい用語を選び、難しい数式や専門的な考察は可能な限り省略するようにしました。

また、科学的なトレーディングを実行に移すための具体的な手法について手ほどきします。計量的・実証的なトレーディングを行うためにはプログラミングは必須です。本記事ではPythonという言語を用いて必要最低限の検証を行うためのプログラムを記しました。プログラミングと聞いて身構える人も多いでしょうが、この機会に勉強を始めてみるのもよいでしょう。何事も目的意識をもって取り組むことが上達への近道となります。
今回は、Pythonコードは使わずにAIエージェントによる方法を紹介します。

筆者の投資パフォーマンス

記事のはじめに、まず筆者のこれまでの投資のパフォーマンスを紹介しておきます。いきなり自分が儲けたカネの話をしていやらしいと思われるでしょうが、結果を出していない人が何を言っても説得力はないのです。なお一言加えておきますが、投資において最も重要なことは結果ではなくプロセス管理です。なぜなら後述するように、投資のパフォーマンスは運に左右される部分が大きく、結果のみに基づいて判断すると間違った結論を招いてしまう場合が多いからです。

筆者はもともと本職のエンジニアの傍らで投資をしていましたが、2014年から本格的に資産運用を開始しました。このときのスタートアップ資金は5000万円でした。2016年に現在主力となっている運用システムを開発しました。この運用システムは運用開始から現在までにおよそ1億4000万円を稼ぎ出している我々の旗艦システムです。運用は日本株のTOPIX500と呼ばれる大型銘柄が対象で、直近4年間の平均利回りは40%程度となっています。

2020年までの運用パフォーマンス(元記事と同じ)

追記:このシステムの詳細は、松尾研究所主催のAIクオンツトレード講座にて私の担当回の教材として公開しております。

松尾研究所 AIクオンツトレード講座
2024年夏までのパフォーマンス(対TOPIX比較図、講座資料より抜粋)

問題提起

では冒頭に上げた初級者のアプローチではなぜ成功することができないのか、何が問題であるのか解説します。ここでいう成功とは、少なくとも5年以上の投資期間において途中で挫折することなく継続的・安定的に所望の利回りを得ることを指します。

まず冒頭の手法によって利益が出るのか出ないのか考えてみましょう。一例として割安でクオリティが高いと考えられる銘柄への投資を考えてみます。株の個別銘柄を選定するとき、証券会社のツールを使って銘柄をスクリーニングする方が多いでしょう。ここではPERが10倍以下でROEが10%以上の銘柄に1ヶ月間投資したときのパフォーマンスを見てみましょう。

集計期間は2017年4月から2020年10月であり、スクリーニングした銘柄を月初に購入して(正確には前月の終値で購入して)、当月の月末の終値で決済した場合の獲得利益の分布図(ヒストグラム)です。このとき、個別銘柄のリターンからマーケットのリターンを差し引いています。こうしなければ日経平均の急騰などの影響を受けてしまい、その獲得した利益が銘柄選定のスキルに依るものなのか、それとも運よくマーケット上昇の恩恵を受けただけなのか、切り分けできないからです。

スクリーニングした銘柄の損益分布

さて、この投資手法で利益は出るのでしょうか。

結論として、利益が出る場合もあれば出ない場合もあります。あなたの投資した銘柄は、上図の分布のうち、最も右端(つまり利益が出た銘柄)かもしれません。はたまた、分布の最も左端(つまり損失が出た銘柄)かもしれません。上図の分布に含まれている銘柄は全てあなたの基準にとって「割安でクオリティが高い」銘柄です。この中から最終的な損益を決定づけるのは「割安でクオリティが高い」という事実ではなく、対象となった数ある銘柄の中からその時期にその銘柄をピックアップした、いわゆるあなたの指運だと言えます。それは例えば、たまたまその企業の名称が気に入ったものであるだとか、たまたまスクリーニングの一番上の段に表示されただとか、雑誌を読んで急に投資を思い立っただとか、そのような些細なことでしょう。

投資は、つまりガチャのようなもの

投資の結果は運に左右されます。というよりも殆どが運で決まるのです。ここでいう運とはすなわち上図のような確率分布のことを指します。上記の事例から分かるように投資の結果だけに着目すると、その投資そのものが上手くいったかどうかという判定は決してできないのです。あなたの行ったトレードの結果はご自身のスキルに依るものなのか偶然の産物なのか全く区別は付きません。

このように結果を正しく判断できないということは、その手法に依存してよいかどうかは分からないということです。つまりビジネスでいうところの改善のプロセスを回すことはできません。冒頭のようなアプローチでは、改善プロセスを回すという考え方が抜けているのです。改善プロセスを回すためには、定量的な結果を短期間でフィードバックさせる仕組みが必要となるのです。

もしも改善プロセスを回せないのであれば、あなたの投資スキルは未来永劫、決して向上することはないのです。これは中身の分からないガチャをひたすら回しているのと同じことです。あなたは年に数回ほど上記の排出分布の中から数個のガチャを引いて、その結果が良ければ歓喜し悪ければ落胆するという不毛な行為を繰り返しているにすぎないのです。

解決手段

ではこのガチャを攻略する方法はあるのでしょうか。当然、答えは「YES」です。

ガチャ台の素性

ガチャ台にも良いもの悪いものがあります。中身に当たりがたくさん入っている台は良い台、クズのようなものしか入っていない台は悪い台です。これらの台を排出分布で見てみるとどのようになっているのでしょうか。以下に3つの例を示します。

ガチャ台の排出分布の事例

まず一番左の台はどうでしょうか。この台の排出分布の中心は殆ど0となっています。すわなちこの台の期待値は0です。この台でいくらガチャを引いてもあなたの資産が伸びることはないでしょう。一時的に利益が出ても、それは偶然パフォーマンスが上振れしているだけのことです。長い目でみると獲得した損益の平均値は必ず0に近づきます。

続いて真ん中の台はどうでしょう。この台の排出分布をよく見てみると、わずかに右側(プラス側)にシフトしていることが分かります。これは「期待値がプラス」である状態です。トレードでは、「エッジがある」「アルファ(期待超過収益)がある」などという表現をします。この台は、ガチャを引き続けていくことで右肩上がりに資産を伸ばすことができます。しかし道中の資産の上下変動は激しく、もしかするとあなたは途中でやめてしまうかもしれません。

最後に一番右の台です。この台の排出分布は真ん中の台と同じようにわずかに右側にシフトしています。そしてさらに目を凝らして見てみると、そのバラツキ(中心からの広がり)が真ん中の台と比べて小さな範囲に収まっていることが分かります。期待値がプラスで且つバラツキが小さい、すなわち「シャープレシオ」の高い台です。このようなガチャ台を見つけることができ、さらにそれを引き続けていくことであなたの成功は盤石なものとなるでしょう。

とにかく何回もガチャを回し続ける

ガチャを1回か2回引いた程度では、ガチャ台の中身がどのようなものなのか傾向を掴むことはできません。従ってもしも本当に中身の傾向を掴みたいのであれば、とにかく何回も何回も回し続けるしかありません。ここで重要なことは、わき目をふらず1つのガチャだけを回し続けるということです。途中まで引いて、こっちのガチャはあまり当たりが入ってなさそうだからこっちのガチャに替えてみる、というやり方では一生かかっても傾向を掴むことはできません。

つまりトレードでは、1つの手法だけに基づいて一貫してトレードを継続しなければならないのです。それも10回や100回そこらでは足りません。1000回を超えるような多数回施行をしなければならないのです。雑誌などの投資手法に次から次へと目移りしてはいけないのです。投資の持つ不確実性と戦うためには、とにかく試行回数を稼ぐしかありません。我々が持つ唯一の武器は大数の法則なのです。

従って、優位なトレーディング戦略とは「数をこなせる」戦略となります。個人投資家が行うトレードに月次以上のスパンのものは不適です。少なくともトレーディングは毎日行う必要があります。その最たるものはスキャルピングでしょう。また、トレーディングの期間が短くなればなるほど、価格の動きの不確実性は少なくなりその傾向を掴みやすくなるのです(具体的には投資の不確実性は投資期間の平方根に比例します)。

ガチャを引き続けるとお金がなくなっていく

しかし、当然の話ですがガチャを引くためにはお金が必要です。引けば引くだけあなたの財布からお金は消えていきます。これはトレードでも同じことです。トレードでは1回の取引に必ずコストが掛かります。株式であれば銘柄購入の際の手数料や信用金利、FXであれば1回のトレードでスプレッドを業者に支払っていることになります。何回もトレードを繰り返すとあっという間にあなたの資金は尽きてしまうでしょう。

実弾投入しながらガチャの中身の傾向を推定するのは、正直全く割りに合わない行為です。そんなことをするよりも、予め割の良いガチャ台に当たりを付ける方法があります。

データから予めガチャ台の中身を推定する

投資の世界では、我々は予めガチャ台に使われているデータの一部を集めることができます。そしてこのデータを使ってどのようなガチャ台の素性が良いのか、すなわちどのようなトレーディング戦略にベットすべきか、ガチャを引く前に検証することができます。これが計量的・実証的と呼ばれるトレーディング手法です。取引コストに打ち勝つことのできる期待値をデータ分析によって探すのです。

計量的・実証的なトレーディングに関する研究は長年行われています。特に最近では、これに機械学習を用いる事例も多数見掛けるようになりました。機械学習はデータの持つ統計的な有意性を確認できるだけではなく、誰も知らないような隠れた市場特性を抽出するためにも非常に有用です。プログラミングのライブラリは充実しており、データをダウンロードするためのAPIも整備されつつあります。個人投資家にも充分なデータ分析はできるのです。

そして運用へ

実際の運用では検証結果に基づいて可能な限り条件を固定して機械的にトレードを行わなければなりません。そこに人間の感情を挟んではいけないのです。そしてどうせ機械的に多数回のトレードを繰り返すのであれば、これを自動化しない理由はありません。このようなトレーディングスタイルは、包括的に「システムトレーディング」とも呼ばれています。

実際には、事前の検証(すなわちバックテスト)と実際の運用のパフォーマンスを比較しながら改善のプロセスを回すことが成功する投資のアプローチとなるのです。データ分析などしたことがないという人のために、以降の章ではPythonを使ったデータ分析の方法について紹介します。

AIエージェントによるデータ分析

本章では、AIエージェントを使って元記事にあるような分析を行わせる手順を紹介します。今回はWindows PCでCodexアプリを使用します。

STEP1. Codexアプリのインストール

Codexアプリをインストールします。

STEP2. 作業場所を決める

どこでもよいので、作業場所としてフォルダを作成します。私はD:/直下に以下のフォルダを作りました。

D:/nihonkabu

STEP3. Codexアプリでプロジェクトを指定する

プロジェクトの横の+ボタンで、「既存のフォルダーを使用」から先ほどの作業フォルダを指定します。これで準備完了です。

Codexのプロジェクトの作成

STEP4. プロンプトで指示を与える

以下のプロンプトを使って指示を与えましょう。これで分析は完了です!(今回は、5.6 Terra、非常に高い、を使用しました)

日本株のデータ分析を行います。
以下の記事の手順に従い、割安でクオリティが高いと考えられる株(PERが10倍以下、ROEが10%以上)への投資したときのリターンのヒストグラムを作成してください。

# 記事
成功する投資:トレーディングのサイエンス(https://qiita.com/blog_UKI/items/f782fb86747e0bae89a9)

# 留意事項
- 作成したコードは、src/に保存してください。
- データの取得はyfinanceを使用してください。また取得したデータは、data/に保存してください。
- 作成したグラフは、img/に保存してください。

プロンプトの事例
Codexが作成したグラフ

STEP5. 自由な世界へ

ここから先はアイディア次第で何でも分析することができます。アイディアが思い付かなくとも、AIに聞けばよいのです。週間レート上限まで使い倒しましょう!

最後に

本記事で示した検証は、まだまだ計量的・実証的なトレーディングの入り口に過ぎません。この記事には「成功する投資」と銘打っていますが、実際にこの記事を読んで投資で成功する方は殆どいないでしょう。それは、記事を読んで頂いた方の大多数が行動にまで移すことがないからです。ここでいう行動とは、単にこの記事を読んで付け焼刃のトレーディングを行うことではなく、この記事から受けたインスピレーションを元に自らが創意工夫して計量的・実証的なトレーディングの検証を行うまでに至ることを指します。

この記事はできるだけ分かりやすくまとめていますが、それでも読者の方が単に記事を読んだだけでは、その過程に生じた細かで有用な知見を決して理解することはできません。これを自身のものにするためには、自分自身が手を動かすしかないのです。

筆者はこれまでにトレーディングに関する自身の知見をブログやnoteに書き綴ってきました。この記事を読んで、もしも読者の方が計量的・実証的なトレーディングに本気で取り組もうと考えているのであれば、以下の参考記事が必ずその道標になるでしょう。

この6年間で、特にソフトウェア界隈の事情は激変しました。これまでは個人のスキルに合わせて「できる」「できない」の基準が支配的でしたが、その垣根は取り払われ、「やるか」「やらないか」の基準へ移行していると思います。ただし、依然としてファイナンス予測がタフな問題であることは変わりません。これから先も研鑽が必要な分野だと思いますが、確実に敷居は低くなっています。

繰り返しになりますが、トレーディングはその殆どが運で決まります。筆者がこれまで好成績を収めてこれたのも、そのパフォーマンスが運よく下振れすることがなかったからです。あなたにも幸運のご加護がありますように。

2026年7月
UKI

この記事は noteマネー にピックアップされました

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