フィヨルド・クルーズ(1/3):リュクスな旅
2年前、「フィヨルドを見たい」と思いついたのです。
昔地理で習った、太古の氷河が削ったU字谷。それが海に沈んだ、雄大で複雑なフィヨルド海岸…見てみたいじゃありませんか!
フィヨルドへの憧れとクルーズ選び
まだ東京にいた頃(つまりCOVID前)に、誰かが「クルーズってお得だよ!3食付きのいいホテルに泊まって綺麗な街をいくつも巡る旅が10万円台だから」と言っていたのが頭の片隅に残っていて。
調べたら、ロンドンから電車で3時間ほど南下した先の南の港・Southampton発のクルーズが選択肢豊富で、フィヨルドに行く旅もいろんな船会社から出ていました。
値段はインフレのためか北欧が高いのか聞いてたほど安くはなかったけど、寝ているうちに自分で行きにくい僻地(しかも複数)に楽々連れて行ってもらえる移動は魅力的です。
色々ある会社のなかからクルーズに詳しい友達からおすすめされたのは、Cunard。船の名前に英国女王の名前を冠する船会社で、豪華な内装、使われている紅茶やアメニティも王室御用達のものであるなど、英国伝統を踏まえたハイエンド感が魅力のようです。
ノルウェーフィヨルドに行くのは比較的新造の「クイーン・アン号」でしたが、調べると、なんと!家族の夏休みに合わせて取れる日程のパッケージ、次の夏はすでに売り切れてました。(厳密には、数倍の値段のスイートしか残ってなかった。)
他の会社のフィヨルド・クルーズはまだ空きがあったけど、せっかくお金を出すなら人気のものがいいと軽く考え、翌年のこの夏を予約しました。
我が家はいつもの家族族旅は基本的に完全自己手配です。広さ重視でホテルよりもアパート。洗濯機をぶん回し、スーパーで仕入れた地元の食材で自炊し、クロワッサンの美味しいカフェを探したりしながら、トレッキングなども自分で地図を調べて、時間に縛られず気ままに行くのが好きです。
でも、クルーズって、何も考えなくても美味しいものがどんどんでてきて、部屋も掃除してもらえて、プールやシアターやスパなどのエンタメが揃っているらしい。ええやんええやん。
クルーズ・ブルーとガラ・ナイト
というわけでだいぶ前に予約して、この夏、いよいよ待ちに待ったクルーズの日程が近づいて具体的な準備を始めた時、ハタと、7泊8日の旅の中で2回も正装(男性はタキシードに蝶ネクタイ、女性はカクテルドレス)推奨の「ガラ・ナイト」があることに気が付きました。
これは他のカジュアルなクルーズラインにはないキュナードの特徴で、いやむしろこの英国的ポッシュな夜が、キュナード人気の理由だったかと今更気がついたけど、時すでに遅し。

登山靴とリュックでトレッキングする準備ばかりしていた私は「えっ、カクテルドレスとハイヒールも持ってかないといけないの?」と焦り、旦那も「スーツだるい・・・」となって、1ヶ月前くらいからマリッジ・ブルーならぬクルーズ・ブルーに陥ってました。
しかし、ガラのテーマが「Black and White Night(黒と白)」と「Red and Gold Night(赤と金)」と言う色縛りだったので、なんとか手持ちの服を荷物に加えて対応する腹をくくりました。新しく買ったのは、ボロボロになってた子供の学校用の革靴くらい。
これがもし「Victorian Night」(映画タイタニックみたいな?)とか「Mmasquerade Night」(仮面舞踏会?)とかだったら、最初から諦めて、ルームサービスで部屋に閉じこもることにしたかもしれません。
でも、蓋を開けてみると、ガラでお洒落した人たちを眺めるのはなかなか楽しかったです。特に「Red and Gold」の日のインドの女性のサリーは、綺羅びやかで目を引きました。やる気があれば日本人の和装も良さそうでした。
ちなみに船の中で他の日本人家族には一組しか会わず、夕食の席も離れていたため、その方がどんな服を着ていらしたかは未確認です。乗客だけでなく、スタッフにも日本人はいない感じでした。実は「クイーン・アン」には日本食レストランがついているのですが(他の船には無いらしい)、そこのスタッフも、全員非日本人である感じでした。
英国人って仮装が好きで、小学校の低学年など月に一回くらい、なんかテーマ揃えて着ていく日があるんですよね。それの大人版だなって感じで、別にハイブランドのドレスじゃなくていいのです。なかにはカジュアルウェアで歩き回っている人もいたし子どもは特になんでも許されている感じでしたが、やはりみんなでテーマを揃えて楽しみましょうという夜にはノったほうが自分も楽しめます。キュナードの船旅に行く方、自分で着られるなら是非、正装とみなされる国民服の色留袖や振袖で主役を張ってください!
リュクス OR エクスペディション?
それに、カジュアルに堕ち切ってくつろいているロンドン生活の中では滅多に機会のないフォーマル・ディナーで、ナプキンやカトラリー、フィンガーボールの使い方などのマナーを子どもに教えることができたのも、まあ、良い機会でした。
ごはんも毎食最高に美味しくて、スタッフも皆大変感じ良く、狭いかもと心配していたステート・ルーム(キャビンのことをキュナードはそのように素敵な呼び方をするのです)も隅々まで清潔で気の利いた設計で湯船までついてて、居心地が良かったです。全体として、楽ちんの極みでした。

ただ、寄港日のツアーも様々なことを考えると船を通して予約するしかないのですが、保険の関係か、激しめのエクスカーションへの参加の年齢制限がローカルのサービサーに直接予約するよりだいぶ厳しく、結果として、バスやボートで巡るツアーや、平たいところを歩くトレッキングくらいしかできず(それらも勿論、素晴らしかったですが)いつも子供と一緒にガンガン歩いてる私としてはすこし物足りない気がしました。なのに、帰宅後なぜか、どっと疲れが出ました。
去年、クルーズのかわりに行ったアイスランドでは、鍵もないロッジやキッチン共用のゲストハウスなど泊まりつなぎ、ほぼ全て自炊で悪路をガタガタ運転していったけど、不思議とエネルギー満タンになって帰ってきたのと対照的。
ええ、キュナードのクルーズは文句なく素晴らしかったのです。船内は広々していて窮屈感はなく、最終日のスタンドアップコメディが満席で入れなかったことを除いてやりたいことは全部できたし、誰でもお気に入りの場所で楽しめるかんじでした。
船の機材のトラブルで一つ港をスキップした(同じ港に延泊した)日があったのですが、それはちょうど私好みのソグネフィヨルドの奥地だったので、夕刻や早朝に静かな自然の中を散歩できて、むしろ嬉しいくらいでした。
旅に求めるものって、人によって全然違うんですよね。
行ってみてわかったことだけど、キュナードのゴールは、いかに乗客に楽々リュクスな時間を過ごしてもらうかということなのでした。
高級時計や宝石やハイブランドのブティックやアート・ギャラリーもあったのですが、船内のパンフレットでそれらは「リテール・セラピー」として紹介されていました。高いお買い物をセラピーと呼ぶとは、目から鱗!

だから私は「1回でいいな」という感じでした。次は、足腰弱ってからでいいかな。思えば子供が小さい時に行ったオールインクルーシブもそんなにハマらなかったしな。
で、子供たちに「いつもの旅行スタイルとクルーズどっちが好きだった?」と聞いたら、11歳息子は「どっちも」で8歳娘は「クルーズ!」という答えでした。毎日プールで泳いたり、キッズクラブで同じ年頃の子たちと遊んだり、好きな時に美味しいアイス食べられたりするクルーズは子供にとっては大変楽しかったようです。また、いつも忙しく仕事をしている旦那にとっても、多分移動の負担なくのんびりできる旅は楽だったと思います。
だから行ったことのない場所を自力で苦労して踏みに行くのが趣味みたいな私がレアなのだと思いますが、いつものように写真をペタペタっと選んで旅行記の骨格を作って、さてそこから何を書いていいか、筆が進まずですね・・・やっとやり方の目安がついたので、公開します。
このあと、船の中のことと寄港地のツアーのことの2回に分けて、雰囲気をお伝えできたらと思います。お楽しみに〜!

