第6話「夢の続きへ ── 世界一周の船に乗った話」
介護福祉士の資格を手にして、ずっと心の奥にあった夢を思い出した。
世界一周。
世界一周船旅に申し込んで、大金を振り込んだ。
インドやアフリカへ一人旅するよりも、ずっと緊張した。
でも「今行かないと、一生行けない気がする」
そう思って、勇気を振り絞った。
2014年4月6日、関空を発った。
まず飛行機でドバイへ飛び、そこからヨルダンへ。
アカバ港で世界一周の船旅に合流する前に、ペトラ遺跡へ向かった。
岩を削って作られた遺跡への道は、
まるでインディー・ジョーンズの世界にワープしたみたいだった。
壮大すぎて、言葉が出なかった。
船に乗り込んでスエズ運河を通航した。
エジプトは、入国禁止でスルーするしかなかった。
「あ、世界ってそういうこともあるんだ」と思いながら、デッキから陸を眺めた。
同じ部屋になったのは、看護師さんとPTさん。
同じくらいの年齢で、程よい距離感で過ごせた。
船の中は思っていたより豊かだった。
ヨガ、ベリーダンス、フラダンス、太極拳、英語、スペイン語、麻雀。
次に訪れる国のことを教えてくれる講義があって、
ピアノの流れるバーで夜を過ごして、
さまざまな年齢の方々と飲んで語り合った。
船の中で出会った人の中に、石橋さんという80代のおじいちゃんがいた。
世界一周船旅はこれが3回目だと言っていた。
「今回で最後にするよ」と笑っていた。
その笑顔が、忘れられない。
80代で、3回目の世界一周。
そんな人生があるんだと、ただただ眩しかった。
ミコノス島の白い街並みと青い空。
クロアチアのドブロブニクは、町全体が絵のようだった。
モンテネグロ、スペイン、ジブラルタル、モロッコ。
パナマ運河を通って太平洋へ出た。
ペルーでは、マチュピチュへ向かった。
この世のものとは思えない絶景の前で、ただ立ち尽くした。
イースター島では、現地の人たちと一緒に料理を作り、踊り、暮らしを見せてもらった。
言葉は通じなくても、あたたかさは伝わった。
タヒチのパペーテ、ボラボラ島。
シュノーケルで潜ると、カラフルな魚が群れていた。
砂浜が白すぎて、目が開けられないほどだった。
ハワイを経て、横浜に帰ってきたのは6月24日。
約80日間の船旅だった。


夢のような時間だった。
でも、帰ってきたわたしには、
もうひとつの現実が待っていた。
つづく
海乃ゆら


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