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ウンゲツィーファ『旅の支度』音楽:松井文さんインタビュー

『旅の支度』初演時に音楽を担当し、ウンゲツィーファには俳優としても出演したことのあるフォークシンガーの松井文さん。ウンゲツィーファとの出会いや『旅の支度』の音楽への想いを聞かせてもらいました。

『旅の支度』稽古場で生演奏をする松井さん

――松井さんとウンゲツィーファの出会いについてお聞かせいただけますか?

松井 『転職生』(2018年2月)を初めて観にいきました。九龍ジョーさんがTwitter(現 X)でお勧めしていたのをみて、急遽チケットをとって観に行ったことがきっかけです。
九龍さんのことは以前から知っていて、九龍さんがべた褒めしてるからまあ面白いだろうなと思って。それまでは演劇をちゃんと観に行ったことがなくて、芸術教室とかそういう程度でしか見たことがなかったです。


本橋 九龍さんには元々僕がずっと招待状を送っていました。ある時ウンゲツィーファに来てくれて、そこから一番最初に僕を見出してくれてお世話になっている人です。

『転職生』(2018年2月)

――松井さんは『転職生』を観劇してウンゲツィーファにどういう印象を持ちましたか?

松井 今もそんなに変わらないですけど、“こういう演劇があったんだな”という新しい気づきがありました。観劇している現実の私は“ここ”に居ながらも、物語に没入して時間や場所を超える体験ができる一方で、びっくりするくらい観客との距離が近くて、演劇に自分も混ざってしまいそうな感覚がありました。
普段人がステージに立つ時は、お客さんと演者との間に境界があるように思うのですが、ウンゲツィーファにはそれがない。作品が実際に起こっていることのように感じました。

――今回『旅の支度』の音楽は、どんな流れやイメージで作られているのでしょうか?

松井 初演の時に私の曲をエンディングで使っていただいたこともあり、その時の『旅の支度』も観ています。他のウンゲツィーファ作品も好きなんですが、『旅の支度』はその中でも一番身近に感じられて、「この二人、本当にいそうだな」って思える話だったのでとっつきやすい印象がありました。
今回曲の依頼をいただいてからは、初演の脚本や映像を見返して、台詞の一部を歌詞に入れたりしながら曲を作りました。

――初演時の音楽とはまた違うものになっているということですか?

松井 そうですね。初演時にエンディングに使っていただいたのは、もともとリリースしていた「トンネル」という曲で、『旅の支度』の話の内容は知らずに作った曲でした。今回あらためて機会をいただいたので、新たに書き下ろしました。
実は前から、作品をイメージして曲作りをしてみたいと思っていたんです。以前『さなぎ』(2019年2月)に出演させてもらった後に、「さなぎ」という曲を作ったこともありました。今回もそれに近い感じで、自然に曲ができあがった気がします。

――音楽と演劇、楽曲制作の違いはありますか?

松井 そもそも依頼を受けて曲を作ること自体が少ないですが、自分が作った物語ではない物語がある中で作る、というのが大きな違いですね。
普段は人との会話や自分の経験から曲にすることが多いので、作品から影響を受けることはあまりないんですが、今回は物語の景色を浮かべて作りました。

――「景色を浮かべる」ということに関しては、ご自身の音楽作りと演劇の楽曲作りで共通している部分はありますか?

松井 自分の曲を作る時は、あまりビジュアルは浮かんでいない気がします。
今回はむしろ景色がくっきり見えている中で作るので面白いですし、もし途中で違う印象を受けても一旦立ち止まって作り直せる。そういう自由さも感じました。
普段は一人でゼロから作ることが多いですが、今回は「ウンゲツィーファの曲」という前提があったからか、すでにいろんなアイデアがある中から選んでいく作業でした。それがすごく楽しくて、世界が広がっていくような感覚がありました。

本橋 今回の音楽を作成する上で、何が最初に浮かんだんですか?メロディ、歌詞どっちなんでしょう?

松井 最初の電車のシーンとかは、音楽が電車の音と一緒に流れるという設定があったので、こういうギターフレーズ入れたいなというアイディアがパッと浮かびました。歌詞も作品の内容を知っていたので割とすぐに書けました。

本橋 終わりの歌詞に「虫になってもいい」というフレーズが出てくるのがすごく面白いなと思ったんですけど、あれはどういう感覚なんですか?

松井 虫っていいなと思って(笑)。動物とはまた違って、虫の方が自由な感じがして。命が短くて儚い感じもいいなと思いました。

『旅の支度』ビジュアルイメージ

――俳優としてもウンゲツィーファの作品に出演したことのある松井さんからみて、俳優とミュージシャンとの繋がりはありますか?

松井
 繋がりとは違うかもしれないですけど、ウンゲツィーファとは別の演劇に参加した時に、“嘘をついてほしい”と言われたことがあるんです。俳優と音楽の両方をやる方はたくさんいますが、実際に自分が演技をしてみて、私にはそれができないなと思いました。それでくじけました。

――音楽をしている時は嘘をついていない?

松井 嘘をついてるつもりはないですね。たとえ嘘をついていたとしても、たぶんヘタなのですぐバレると思うんです。だから結局は素のまま、自分をそのまま出せばいいと思っています。

――『さなぎ』ではどうして俳優として出演することになったのでしょうか?

本橋 僕がお声かけしました。当時は、いわゆる俳優を専業でやってる人より、違う分野の人に出てもらいたいという気持ちがありました。僕はフォークミュージックがすごく好きで、ライブとか行くのも好きだったので、音楽のライブに演劇と隣り合わせの何かを感じていたんだと思います。だから松井さんが俳優をやってる姿を見てみたかったという想いも強かったのかなと思います。

松井 私と石指拓郎さん(フォークミュージシャン)は俳優として舞台に立つのが初めてでしたね。

『さなぎ』(2019年2月)

――実際に松井さんが俳優をやっている姿をみて本橋さんはどう思いましたか?

本橋 「あ、(俳優を)できちゃうんだ」と思いました。僕の感覚とズレがない部分もあって、本当にすごいなと感じました。
松井さんは、さっき自分でも嘘がつけないと言っていたように、そこに居る誰よりも正直に喋っているという印象があって感動したのを覚えています。それは俳優をやってる時に限らず、ライブをやってる時や、松井さんの音楽聴いている時にもそう感じます。僕は、松井さんの歌声は宇宙だなって思っているんです。歌がうまいなとかそういうことではなく、自分の何かとグッと結びついてしまう感じ。“懐かしい”という感覚だったりとか、”知っている”という感覚だったりとか、自分の世界が結びつく体験をさせてくれます。

『さなぎ』(2019年2月)

――それは松井さんがウンゲツィーファの作品に感じる感覚と近いかもしれないですね。

本橋 たしかに。近いかもしれないです。

松井 たしかに。今回のように一緒にやる機会ではなくても、ウンゲツィーファが頑張っていると私も頑張ろうという気持ちになります。

――『旅の支度』の稽古にも何度か足を運んでいただいていますが、今回の作品についてはどういったイメージを持っていますか?

松井 初演の時に一番ささったのは、父が母に別れを切り出すシーンでした。自分でも曲作りが上手くいかなかったりすると不安になって、いろいろなことがうまくいかなくなるんですけど、そういう状況で母が父に別れを切り出されるというのが、すごくささりました。周りの人からは「次の作品楽しみにしてる」と期待をされるけれど、それがプレッシャーでもある。私は作り手としての目線で見ちゃうけど、そういう仕事をされてない人でも楽しめるお話だなと。
姉弟という登場人物の設定がまずすごく面白くて、家族の物語は誰にとっても身近だと思います。登場人物が二人っていうのも気軽に観られる感じがして、かつ前向きな作品だなと思いました。

――何か松井さんからメッセージはありますか?

松井 初演の時から脚本も少し変わっていると聞いているので、まだ全容はわかっていませんが、それも楽しみにしています。音楽としても、色々と一緒に関わって、いい作品にしたいなと思っています。

インタビュアー:はましゃか
文:山中美幸


松井文
何げない情景から、人と人との関係性を鮮やかに描き出すシンガーソングライター。
大胆なのに繊細、頑固かと思えば軽やかで、そっけないのに愛が深い。嘘の言えないその歌で、聴く人に確かな足跡を残す。


本橋龍
1990年生まれ。さいたま市出身。
演劇ユニット「ウンゲツィーファ」主宰。
リアルな日常描写と潜在意識にある幻象を、ひとつの舞台空間で重ね合わせ、
複数のシーンやキャラクターが交錯することで、新たな景色や感情を生み出していく
「撹拌(かくはん)される会話劇」として独自の作風を確立。
執筆戯曲『動く物』が平成29年度北海道戯曲賞にて大賞を受賞。
上演作品『湿ったインテリア』がCoRich舞台芸術まつり!にてグランプリを受賞

ウンゲツィーファ旅公演『旅の支度』

作・演出:本橋龍
出演:黒澤多生 / 豊島晴香

【スタッフ】
音楽: 松井文
演出助手 / 音響:はましゃか
照明(東京公演):渡邉結衣
舞台監督:黒澤多生
宣伝美術:一野篤
写真:中村寛史
宣伝映像:ろみお / megzo
制作:山中美幸 / 山下悠
記録映像:河野恭平

協力: 青年団、点と、レトル
主催: 一般社団法人PAL(秋田公演) / ウンゲツィーファ(東京公演)
企画・制作:一般社団法人PAL / ウンゲツィーファ

【秋田公演】
国際舞台芸術祭『踊る。秋田』Vol.10 ~秋~ 参加作品
▶詳細はこちら

■ 会場
ココラボラトリー(秋田県秋田市大町3丁目1-12 川反中央ビル1F)

■ 日程
8/30(土)19:00〜
8/31(日)15:00〜
※8/27(水)には主宰本橋のワークショップがあります!

■ チケット料金
一般前売り:3,000円(前売・当日共通)
当日券:3,500円
PAL会員券:2,500円
高校生以下:無料(要予約)
※全席自由/日時指定制
※未就学児入場不可

■ 主催
一般社団法人PAL

【東京公演】
▶詳細はこちら

■ 会場
ムリウイ(東京都世田谷区祖師谷4-1-22-3F)

■ 日程
9/4(木)14:00〜◎ / 19:00〜
9/5(金)14:00〜 / 19:00〜◎ 
9/6(土)14:00〜 / 19:00〜★
9/7(日)13:30〜◎ / 17:30〜◎

★はアフターイベントあり
◎は終演後に「ウンゲツィーファへのミニ質問コーナー(15分程度)」あり
※上演時間約75-80分を予定
※受付開始、開場は各回開演の30分前
※9/5(金)は記録映像の撮影がございます。
※9/4(木)・5(金)は「前半チケット」として割安でご観劇いただくことが可能です。

■ チケット料金 
※ワンドリンク制(ドリンク代別途)
予約前半(9/4・5):3,200円(事前決済) / 3,300円(当日精算)
後半(9/6・7):4,000円(事前決済) / 4,100円(当日精算)
学割:2,500円(事前決済) / 2,600円(当日精算)

事前決済はこちら
当日清算はこちら

当日券(前半・後半一律料金)前半・後半:4,500円
学割:2,900円

※ワンドリンク制(ドリンク代別途)となります。
※公演が中止となった場合を除き、お客様都合での払い戻しや他公演への振替対応はできかねます。あらかじめご了承のうえ、ご予約ください。
※学割をご利用の方は、入場時に学生証のご提示をお願いいたします。
※当日精算でのご予約をキャンセルされる場合、キャンセル料が発生することがございます。詳細はチケット予約サイトにてご確認ください。事前決済の場合はキャンセルは承っておりません。

■ 主催
ウンゲツィーファ

お問い合わせ
メール: ungeziefer23@gmail.com
電話: 070-2167-2137
公式サイト: https://ungeziefer.site/

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