ナナニジ3期生・22/7_the 3rdはいかにして“歌うま”グループとなったのか④ 未来の主人公たち
アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)の3期生8人によるユニット・22/7_the 3rd(ナナブンノニジュウニ ザ・サード)が、今とにかく熱い。個々の力強い歌唱を押し出したスタイルは従来の22/7(通称・ナナニジ)のイメージを大きく覆し、新風どころか嵐を巻き起こしているのである。
ナナニジ3rdという、歌に力を入れたグループの誕生にはどのような背景があるのか。
前々回の記事では先輩メンバーから始まっていた変革について、前回の記事では2期生からの反動について語ってきた。
① ナナニジ3rdのここまでの歩み
② 変革の始まり
③ 2期生の辿ってきた道
最後に取り上げるのは、3期生そのものの資質と魅力について。
圧倒的な個性と支える実力者
このナナニジ3rdというグループを創っていくにあたっては、幸運なことに軸となる最高の人物がいた。南伊織だ。
ナナニジ3rdがお披露目後に早速世に送り出した楽曲、“the 3rdプロジェクト”第1弾「命の続き」は、3人のメンバーを中心に据えた作りだった。南伊織、吉沢珠璃、北原実咲。その中でも真ん中に置かれているのが南である。
オーディション時から得体の知れない、しかし強烈な存在感を放っていた彼女。合格を勝ち取り、デビュー後に見せたのはがむしゃらなまでにパワフルな歌とアクション=ダンスだった。
特に、その声が与えたインパクトは大きい。アイドルとは思えない叫ぶような発声と、身体的な強さを感じさせる声量、それでいてどこか憂いを含んだような声質。明らかに未完成、だからこそ感じられる底知れないポテンシャル。本人の独特なキャラクターも含めて、その圧倒的な個性と存在感はまさに逸材であった。方向性は違うが、かつてナナニジのセンター的存在であった西條和のように、グループの指針になるような存在だ。
そして、その脇を固めるように配置された吉沢と北原の存在も大きい。共に歌、演技、ダンスと全てにおいて高いスキルを持ったメンバーだ。
未完の大器と、それを支える即戦力級の実力者二人という構図は、デビュー作としては非常に強力なものだった。
それぞれが主人公
しかし、ナナニジ3rdはそこには甘んじなかった。ソロ歌唱で繋ぐ形式の次作「未来があるから」では、8人全員に均等に近いパートが与えられ、それぞれの持ち味を発揮。以降の作品でもこのスタイルが基本となっていった。
そして見逃せないのが、(失礼な言い方になるが)歌唱力が下位と見られるメンバーもここからメキメキと力をつけていった事だ。ある程度の差があるのは仕方ないにしても、その差を少しでも埋めるための努力の跡に胸を熱くさせられた。個々の歌声が魅力を増すことで、グループとしての歌はより強力なものとなっていった。
MV等においては南がグループのシンボル的なものとして扱われることが多いが、パフォーマンスはあくまでも全員が主人公。そうなれるようなものとなっている。
一丸となるということ
魅力的なコンセプトと、それを形にできる力。ナナニジ3rdは双方が上手く噛み合っている。
過去の楽曲を、メンバー一人一人の力強い声を生かして再構築するという、ただのカバーを超えたコンセプト。そして、それを実現するためのしっかりとした育成。コンセプト作りと育成の前後関係は分からないが、きちんと芯の通ったプロデュースだった。
メンバーにも恵まれた。南、吉沢、北原といった逸材はもちろんのこと、そこに追随しようとできる5人がいる。運営の示した方向へ向かって個人として高め合い、ユニットとして団結できる8人が集まった。
運営サイドとメンバーが同じ目標点を見据え、そこに向かっているのが感じられる。そんなところにナナニジ3rdの魅力の源があるのではないだろうか。
8人のボーカリスト
ここからはメンバーそれぞれの“歌”について簡単に紹介していきたい。
the 3rdプロジェクト第5弾「風は吹いてるか?」music videoでの担当箇所も記しておく。
南伊織
0:07〜 1:23〜 3:37〜
少年のような声に、ロックシンガーのようなシャウトスタイル。熱量の極めて高い魂の歌を響かせる、ナナニジ3rdの顔とも言うべきボーカリスト。
終始全力投球、かと思いきや、程よく力を抜いた歌唱も時折聴かせるなど、柔軟性も見せながら進化中である。憂いを秘めたエモーショナルボイスの力強い響きは唯一無二。

橘茉奈
0:17〜 1:12〜 2:50〜(セリフ) 3:44〜
ナナニジ3rdには珍しい、可憐で少女的な声質の持ち主。やや細く感じられる声だが、それを強く鋭く吐き出す術を身につけた、成長著しい存在。

三雲遥加
0:27〜 3:00〜(セリフ)
真っ直ぐな歌唱で、ここぞというポイントでの力の込め方が熱い。高音部での声の伸びは密かな強み。
この曲では間奏でソロダンスを任されている関係か、残念ながら歌のパートは少ない。

吉沢珠璃
0:43〜 2:29〜 3:27〜 4:31〜
圧倒的な歌唱力と美声の持ち主。ライブにおいては、音程と声量の驚異的な安定感に感嘆させられることだろう。声色のコントロール力もあり、総合的に高い技術を誇る。

折本美玲
0:58〜 2:00〜 4:23〜
少年っぽさのある声と、安定した声量が持ち味。当初より声の伸びやかさが増して、表現の幅も徐々に広がっている。

黒崎ありす
1:05〜 1:52〜 2:40〜 3:54〜
落ち着いた低音ボイスによる安定感のある歌唱と、特徴的な節回しが生むエモーショナルな響きで高い存在感を示す。端的に言って上手い。

北原実咲
1:30〜 2:15〜 4:18〜
あらゆる状況で安定した力を発揮できるオールラウンダー。透明感がありつつも力強い歌声はナナニジ3rdの中核的存在。

桧山依子
1:46〜 2:57〜 4:02〜
声の力みが情感を生む、南や黒崎に次ぐエモ派シンガー。声量が安定すればさらに輝ける存在となるはず。

ライブを見よ
ナナニジ3rdはライブも凄い。いや、ライブこそ絶対に見てほしいものである。歌やセリフという“声”を届けることにこだわり抜いたパフォーマンスは、生の臨場感たっぷりで何物にも代えがたい魅力に溢れている。
「嫌われるということ」の迫力のポエトリーリーディング、「とんぼの気持ち」の吉沢&北原の圧巻のソロ歌唱と華麗な舞い、「未来があるから」の高カロリー&高密度の歌とダンス、「Rain of lies」の極上のユニゾン、「風は吹いてるか?」の音源版では味わえない“生ハモ”の響き、等々。
しかしながら、公式のYouTubeチャンネルに上がっているライブ映像はまだ少なく、曲単位では初ステージとなった『ANNIVERSARY LIVE 2025』からの2曲だけというのが非常に惜しい話である。
↓こちらのダイジェスト映像では、彼女たちの現在の姿に近いライブの様子が見られる。ぜひチェックしてほしい。
22/7 定期公演 『ナナニジライブ2026』#5 (2026.05.11) Digest
また、冠番組『22/7 計算外』の企画「ROAD TO 東京国際フォーラム!ナナニジPR旅」の一環で参加した「小田原大合戦2026」でのライブの模様が、観客の撮影による動画として残っており、その熱いパフォーマンスを見ることができる(折本美玲は怪我のため欠席)。
↓「小田原大合戦2026」まとめポスト
#ナナニジ3rd
— ユニコバルト (@uni_cobalt) May 31, 2026
in 小田原大合戦2026
「地下鉄抵抗主義」
続きありのフル https://t.co/V2szbIW6HS
ナナニジ3rdはいつまで?
ナナニジというグループ全体としての重大イベント『ANNIVERSARY LIVE 2026』が11月に控えているという状況の現在だが、ナナニジ3rdとしての動きは継続中であり、フェス等への出演予定もある。『TOKYO IDOL FESTIVAL 2026』にて桧山依子が体調不良で欠席したことを受けて「来年は8人で出たい」とメンバーたちが意気込んでいる様子を見ても、少なくとも突然終わるということは無さそうな雰囲気ではある。
この魅力的な8人組の活動が、可能な限り続いていくことを切に願う。
15人の中の8人
目下の注目ポイントは、ナナニジフルメンバー15人体制の中で、3rdの8人がどう輝けるかである。4月のライブ『15』から始まり、その後も何度か行われてきた先輩メンバーとのパフォーマンス。残念ながら3期生がその強み=歌唱力を発揮できる場面は非常に少ない。「乳酸菌たち」といった15人用の新曲ではまだ良いが、それより過去の楽曲となると先輩メンバーが目立つ構成になっていて、3期生はかなり控えめなポジションに置かれてしまっている。
3期生を中心部に組み込むということは、各楽曲の持つ性格に大きな影響が出てしまうため、迂闊な改造はできないというのも分かる。しかし、今のままでは何のための「主人公募集(3期生オーディションのテーマ)」だったのかとなる。『ANNIVERSARY LIVE 2026』では、未来の主人公たちの躍動をぜひとも見せてもらいたいところだ。
