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辞めるのをやめた管理者が辞めた

開設3周年を迎えた訪問看護ステーション。
でも、開設当初からいる看護師は、もう誰もいなくなる。
今日、3人目の管理者が辞めたのだ。

休業中の職員も、もう戻ってはこないだろう。
それでも──
この会社は、経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2025」に認定されている。
そんな優良企業のはずなのに。

中身は、不健康だ。

あの時の面談

あれは、たしか去年の9月頃だったと思う。
辞めるのをやめた後、ひとつの面談があった。
管理者主催の看護スタッフとの個別面談だった。

でもそれは、施設長も副主任も聞いていなかったらしく、後から「何を話したの?」と尋ねられた。
あれは管理者なりの、立て直しの一歩だったのかもしれない。

正直、よくわからない話だった。
だから、逆にこっちから面談してみた。

「なんで辞めようとしたの?」と、面談で尋ねてみた。

しばらく沈黙したあと、ぽつりぽつりと話しはじめた。
「つらい時期もあった」と。
それでも、「頑張ろうと思う」と言っていた。

僕は聞いてみたんだ。

「自分で、管理者やるって言ったんじゃないの?」って。
無理やりやらされたのかと思って。

でも、違うようだった。ちゃんと、自分でやると決めたらしい。

だから僕は、「やるって言ったんなら、お願いしますね」と伝えた。

そして、何をどう頑張るのか、具体的に聞いてみた。
現場や主任に協力してもらいながら、業務改善、コミュニケーションに力を入れていくと。

業務面では
・夜間対応マニュアルの整備
・施設内のグレーゾーンの洗い出し
を挙げていた。

正直、耳には入ってきたけれど、気持ちは動かなかった。
でも、「改善できるところは改善したい」と話していたのは覚えている。

今後つらくなったら?

「また辞めたくなったら、どうするの?」と尋ねると、

「つらい時は言葉にして表出する」と言っていた。

話す相手として、副主任や事務の人、施設長、数人の看護スタッフの名前が挙がった。
ただ、その事務の人はすでに去年辞めていた。

相談相手についても聞いてみた。

他の訪問看護事業所と横の連携をとりながらやっていく」と話していた。

それなのに──。

それから何かが変わったか?

何かが大きく変わったかといえば、そんなことはなかった。

指示は全体メールで届くくらいだった。
そしてそこには、「評価に反映する」という一文がついていた。
10月のことだ。

——辞めるのをやめた人からの評価?
そう思った。

本人が辞めようとした理由は、周囲には話していないらしい。
副主任に聞いてみたところ、施設長を交えて面談を行ったそうだ。
信頼を得るための行動についても話したという。

でも今では、僕個人への連絡も副主任経由で来る。
なぜか、全体メールに個人の記録への指導内容が書かれていたこともあった。

ああ、もう無理だなと思った。

健康経営とは、いったい何だったのか。

この職場も、経済産業省と日本健康会議により「健康経営優良法人」として認定されていた。
けれど──
評価されたのは制度であって、信頼関係ではなかった。

健康経営とは、いったい何だったのか

「健康経営優良法人」に認定された会社なのに
現場では
・相談できる雰囲気
・意見が届く経路
・信頼も整っていなかった。

誰かが辞めても、空いたポジションに人を当てることで回していく。
でも、そこに「人」は残らなかった。

そして今日、またひとり、管理者が辞めた。

この記事を投稿したのは、17時半。
ちょうど「今日の仕事、おつかれさま」と声をかけ合う時間だ。
でも今日は、その「おつかれさま」が、この職場との別れの挨拶になってしまった。

健康経営とは、本当に「優良」だったのだろうか。
──人が辞めていくこの現場を見ながら、そう問いかけずにはいられない。

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