(ショートショート)今日はハロウイン🎃
真っ暗闇に紛れるように、一組の魔女が人間界の街に降り立った。
今日は、この日を心待ちにしていたハロウィンだ。
子どもの魔女は、ドレスのポケットにいっぱいキャンディを忍ばせる。
人間たちの賑やかな仮装を見下ろし、彼女は小さく鼻で笑う。
本物の魔女なんだからコスプレはしない。
「だって、ハロウィンはコスプレ祭りじゃないんだから」
(まったく人間は。ほうきにも乗れない魔女の格好ばかりして)
とあきれながら、子どもの魔女はお母さんの魔女と一緒に、楽しげな街を闊歩する。
「トリック・オア・トリート!」
あちこちで、興奮した子どもの声が弾ける。
子どもの魔女は、その賑わいに胸を躍らせ、お母さんを見上げた。
「ねぇお母さん、今日だけは、人間みたいに、魔法を使わずに思いっきり笑ってはしゃごうよ!」
「ええ、迷惑かけずにね」
ポケットいっぱいのキャンディが軽くなった頃、二人の魔女は満足した。
夜も更け、街の灯がまばらになり始めた頃、魔女たちは名残惜しむように振り返りながら、ゆっくりと暗闇にのまれ、楽しい街を後にする。
次の朝、街のキャンディ売り場から、誰も見たことのない色のキャンディが、ほんのわずかだけ消えていたことに、人間たちは誰も気づかなかった。
おしまい。
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ありがとうございました。
