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パンチパーマ、リーゼント

キャロルや清水健太郎
彼らの髪型に憧れた
寿命ひと月のパンチへの自由

中学時代、キャロルに憧れた。

キャロルのステージ上の髪型は、リーゼント、そして清水健太郎の健太郎カット。どちらも私にはカッコよく映った。

クラスのワルたちは最初揃ってキャロル派だった。校則を無視してアイパーをかけ、リーゼントにして、キャロルを、永ちゃんを気取っていたが、リーゼントを維持するのは難しく、次に健太郎カットを真似し始めた。

私も健太郎カットに憧れてはいたが、実際には髪は刈り上げ、前髪は何の工夫もなく、坊ちゃん刈りに毛が生えたようなもの。校則では髪にパーマなどは当然禁じられていた。

高校時代は、厳しい生活指導の教師がいて、坊ちゃん刈りからは卒業していたが、普通の七三分けみたいな無難な感じ。

それが大学に入学し、自由になった途端、髪型も見た目も大きく変わった。

パンチパーマである。

最初パンチパーマをかけたとき、あれ程、私に似合う髪型はないのではないかと思った。これこそ私だ!と感じた。

髪を短く切ってパーマ液を付け、焼きコテを使って髪を巻く。

怖い職業の方々は、もう少し髪を長い状態で巻くから膨らむが、私のは三週間程は膨らまない。その後は、急激に髪が膨らみ怖い職業の方と変わらなくなってしまうのだが…

高校時代にアルバイトして買った安い革ジャン。サングラス。この服装にパンチパーマ。革ジャンが安っぽいので、いかにもチンピラ風なのだが、ほぼ毎日、その格好で通学していた。革ジャンは夏も着ていた。

当然、女子からは敬遠されたようだが、それが理由だとは考えなかった。

国賓が来日している時など、四ツ谷近くを歩いていると、必ず警備の警察官に呼び止められたものだった。

何故、あんなにパンチパーマにこだわったのだろう。恐らく、やってみたくても出来なかった鬱憤が、弾けた感じだろうか。

よく、大人買いなんていう言葉があるが、子供の頃買ってもらえなかったものを、大人になってまとめ買いするように、私も中学高校時代、強烈に憧れていた髪型に出来ない理由であった校則からの解放による反動だと思っている。

この「大人買い」の考えって、見方次第では、正常な判断を狂わせる危険なものかも知れない。

考えればいくつもある。これも私だが、子どもの頃、チョコレートは1日ひと口、あとは「毒」などと言われて我慢していたのに、毒でも何でもないと分かると、いきなり板チョコを何枚も一度に食べた。

また例えば、毎月5万円の小遣いのサラリーマンが、親の遺産が入り、金回りが良くなると、急に気が大きくなって投資詐欺に遭ったり…

何かの拍子に、それまでずっとしたくても出来なかったことが、急に出来るようになる。嬉しい反面、危険なこともあることを認識しないと、思わぬ落とし穴にハマることになる。

あくまでも、叶えようとして出来なかった時点での欲求レベルと照らし合わせると、間違いは少ないのではないだろうか。

でも、子供の頃の憧れの気持ちを持ち続けるって、その純粋さは、大事にしたい。

そろそろ、会社の縛りからも解放される日が近い。

次はどんな憧れの実現をしてみようか?大人買いは、子供が出来なかった夢の実現だ。ただ次は、反動でも衝動でもない。サラリーマンが出来なかった憧れの生活。

もう一度パンチパーマもいいかも知れない。

今度は、髪が膨らむ前に、月に一度。
懐かしいからではない。

自分らしさが一番よく出る髪型だから。

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