ギリシア出身の大作曲家テオドラキスの命日である9月2日に、代表作の “Axion Esti” と《交響曲第3番》を聴く

東ドイツの演奏家による演奏で聴く
Theodorakis:
① “Axion Esti Lobgepriesen sei · Praise Be ”
Oratoriun nach Worten von O.Elytis · Deutsche Nachdichtung D.Mandel
I. Genesis
II. Passion
1. Und hier, so sieh! bin ich
2. Lesung: Der Marsch an die Front
3. Nur Diese eine Schwaibe
4. Berge um mich her mein fester Grund
5. Mit dem Lüster der Sterne
6. Lesung: Der große Exodus
7. Höre, reine Sonne der Gerechtigkeit
8. Intermezzo
9. Perpum färbte mich das Blut
10. Kirchen, gestickt ins Lichtmuster des runden
Himmelsdoms
11. Lesung: Weissagung
12. Ich öffne den Mund
13. Ich ziehe in ein Land hinab
III. Lobgepriesen sei
② Sinfonie Nr. 3
Für Sopran. Chor und Orchester nach eine Text von D. Solomos. einer byzantinischen Hymne und Strophe von K. Kavafis
1. Satz
Adagio · Presto · Andante · L'istesso Tempo ·
Andantino · Coda
2. Satz (für Chor und Orcheste)
Allegro moderato ·Presto · Presto
3. Satz
Adagio · Allegretto · Andante · Adagio
4. Satz
Allegro vivace · Presto · Largo · Andante
①Gothart Stier, Bariton
Gunter Emmerlich, Baß
Friedrich Wilhelm Junge, Sprecher
Lakis Karnezis, buzuki
Erik Kross, sanduri
Beethoven-Chor des VEB Elektromachinenbau Sachsenwerk Dresden
FDJ-Chor der EOS Kreuzschule Dresden
Kinder-Kammerchor derDresdner Philharmonie
Orchester Hochshule für Musik “Carl Maria von Weber”, Dresden
Lehrkrägte der Bezirksmusikschule “Paul Büttner”
Dresden
Mikis Theodorakis, conductor
②Els Bolkestein, Sopran
Rundfunkchor Berlin
Orchester der Komischen Oper Berlin
Heinz Rögner, conductor
①Recording data unknown ②Mitschnitt der Uraufführung am 29. April 1982 in der Komischen Oper Berlin〈Live〉
edel CLASSICS 0002802CCC “THEODORAKIS Axion Esti · Canto General · Liturgie Nr.2 · Sinfonie Nr. 3 · Sadduzäer-Passion” 6CD BOX
9月になりました。
この月の特に上旬は4日が作曲家ブルックナーの誕生日、6日がソ連・ロシアの指揮者エフゲニ・スヴェトラーノフとイギリスのロック・ミュージシャンであるロジャー・ウォーターズ(とワタシ)の誕生日になります。ですので、この4日はブルックナー、6日はスヴェトラーノフにちなむCDを採り上げる予定です。
ですが、その前に本日9月2日が命日になる作曲家のCDを先に採り上げることにしました。
その作曲家とは、ギリシア出身のミキス・テオドラキスと言います。1925年に生まれ、2021年の今日この日にこの世を去っています。享年96歳でした。
テオドラキスという作曲家についてとか、今回採り上げる作品についてはレヴュー本文に詳しく書いていますので、演奏評ともどもレヴューをどうぞ。
「レコード芸術誌(音楽之友社)の最新号(2021年10月)を読んでいたら、ギリシアが誇る大作曲家ミキス・テオドラキスが去る9月2日に96歳でこの世を去ったとの記事があった(同日スイス出身の合唱指揮者ミシェル・コルボも87歳で他界)。1925年生まれというから、同年生まれで2016年に90歳で他界したフランス出身の作曲家・指揮者のピエール・ブーレーズよりも長生きしたことになる。
テオドラキスはけっこう大柄な体格だったそうで、これくらいのヴァイタリティがなければ1968年に起きた故国の軍事クーデターに対抗することは出来なかったと言われている。またギリシア政府の閣僚や国会議員を務めていたこともあり、政治にもかなりコミットメントしていたようだ。その姿勢は左派寄りの政治家だったらしい。
その音楽作品はクラシック音楽から始まってポピュラー音楽、映画音楽、果てはオペラまでという幅広い分野で200曲を超える作曲活動をおこなっている。特に映画音楽では、『Z』や『その男ゾルバ』などが有名である。
今手元にあるテオドラキスのCDは国内盤でシャルル・デュトワ指揮によるバレエ音楽《その男ゾルバ》他(Decca)を持っている他、後はすべて輸入盤で、ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィル他による交響曲第7番《春の交響曲》(Arioso)、ルーカス・カリティノス指揮による交響曲第4番、《アンティゴネ》、《エレクトラ》&《メディア》というギリシア悲劇に基づくオペラ3作のセット、そして《レクィエム》(以上Intonition)、ギリシア出身のメゾソプラノ歌手アグネス・バルツァの《我が故郷ギリシアを歌う》(DG)に何曲かあったか。後は① “Axion Esti Lobgepriesen sei · Praise Be” と②交響曲第3番以下全5曲が収録されている当輸入盤6枚組セットといったところか。
こうしてみると、純然たる管弦楽曲より声楽が導入されている作品が圧倒的に多く、当6枚組セットに収録されている全5曲ともすべて声楽付きの作品ばかりである。
今回はテオドラキスの追悼の意味を込めて、Berlin原盤のテオドラキス作品集6枚組よりの2曲を聴いた。
まず①だが、この作品の “Axion Esti Lobgepriesen sei · Praise Be” というタイトルの意味は皆目分からない。と言うより、何語なのかも不明だ。一応オラトリオとなっているが、語りの割合がけっこう多い。またギリシアの民俗楽器であるブズーキなどもフィーチャーされており、何となく現代ギリシアの作曲家マルコプーロスの《オルフェウスへの典礼》(Naxos)を思い出させないでもなかった。
曲は I. Genesisが5'50、II. Passionが48'26、III. Lobgepriesen seiが16'10となっている。I. Genesisは創世記だろうし、II. Passionは受難? この II が一番長く、13曲よりなるが、トラックリストではすべてドイツ語らしく、何のことやら分からない。また歌詞はO.エリティスによって書かれているらしいが、この人物のこともさっぱり知らない。そしてD.マンデルのドイツ語訳詞で歌われているらしい。
オーケストラも含めて音楽学校かアマチュアの団体による演奏だと思われるが、このクレジットもすべてドイツ語表記のため確実ではないが、おそらく間違ってはいないだろう。他の演奏を聴いたことなどないので比較は出来ないが、作曲家自身の指揮ということもあって、当CDを聴く限り決して悪い演奏ではないと感じた。
ただギリシア人の作曲家特有の“クセ”と言うか、“アクの強さ”を感じるのも事実である。それは前記のマルコプーロスの作品もそうだし、かのシンセサイザー奏者として著名なヴァンゲリスの合唱を大々的にフィーチャーした作品にも通じるものである。その“クセ”が苦手な向きにはテオドラキスの作品は向かないと思われる。
この①はライヴ録音らしく、最後に拍手が入っていたが、録音データは記載されていなかった。それに対し、②は1982年4月29日、ベルリンのコミッシェ・オーパーでの世界初演時のライヴ録音と記載されている(そのクレジットは英語も併記されていた)。
この交響曲第3番は全4楽章で70分近い大作だが、これはギリシア語での歌唱らしい。この作品の歌詞はD.ソロモスとビザンティン聖歌、それにK.カヴァフィスの詩を使っているようだ。これらの人物も何も分からない。
ここでは東ドイツの指揮者ハインツ・レーグナーの指揮するベルリン・コミッシェ・オーパーのオーケストラとベルリン放送合唱団他による演奏だが、これが世界初演とは思えないほどの完成度が高いことに驚かされる。これだけの演奏で聴かされれば、他のCDはいらないだろう。
一つ気になるのが、朝鮮人作曲家で西ドイツに亡命した尹伊桑もそうだったが、テオドラキスもなぜか東側・共産圏との親和性が強いのは偶然なのだろうか。テオドラキスのオペラや声楽曲はサンクトペテルブルクのオーケストラと合唱団による録音だし、何より当セットに収録された5曲もすべて東ドイツの演奏家によるものだ。前記のように、テオドラキスの政治姿勢はかなり左派だったそうなので、そうしたところも理由なのかも知れない。
当セットには後3曲が収録されているが、この作曲家を知りたければまず食指を伸ばしても良いのではないだろうか。せめて “Canto General” ぐらいはレヴューしたい。 2021年9月28日(①)&29日(②)
評価:★★★★(①)、★★★★☆(②)」
以上がギリシア人作曲家ミキス・テオドラキスの作品2曲を東ドイツの演奏家が演奏したCDのレヴューでしたが、いかがでしたでしょうか。
今思えば、テオドラキスの代表作としては本当はレヴュー最後にも書かれていた “Canto General” を採り上げた方が良かったのかも知れません。この作品はチリ出身のノーベル文学賞を受賞した詩人のパブロ・ネルーダの詩に曲を付けたもので(1曲のみテオドラキス自身の詩)、CD2枚にもなる大曲です。
この曲は《人民の歌》とか《大いなる歌》と訳されますが、左派の政治家としても活躍したテオドラキスの面目躍如たる作品と言えるでしょう。
じゃなぜこの曲を採り上げなかったかというと、理由は単純で、ワタシがテオドラキスの訃報を知った時に採り上げた作品が今回レヴューした2曲だったからです。
ですので、 “Canto General” はいずれ別の機会に記事にしたいと思います。と言っても、ノートへのレヴューはしていないはずなので、もし記事にするなら直接レヴューすることになるでしょうね。
今回はレヴュー本文に演奏評以上に作曲家のことや作品のことを書いてあるので、前文は極力短くしたつもりですが、それでも5,100字を超えてしまいました。ですが、うち1,000字近くはドイツ語による各種クレジットなのですが。
こんなメンドくさいワタシの記事を最後まで読んで下さってありがとうございます。
お目汚し失礼しました。
