ル・コント「この世界に19文字の文章など存在しない」観戦記
6月、大阪のブリーゼホールで小林賢太郎さんが作ったル・コント「この世界に19文字の文章など存在しない」を見た。2階席だっただけど最前なのでよく見えた。
(内容に関する具体的なネタバレなし)
メンバー発表があった時から楽しみにしていたのが、なだぎ武さんの参加。以前も小林さんのコントに参加していたが、生で見れる機会があるとは思わなかった。
2丁目劇場で千原兄弟が若手全盛の時代のメンバーで、スミス夫人として独特の存在感を出していた。考えるとオンエアバトルで知ることになるラーメンズよりも前に知っていたことになる。
今回のコントも、小林賢太郎さんのレトリカルに構築された不思議な世界の中での計算された笑いと、そんな世界だからこそより生きるバカバカしいアドリブの笑いが重なり合っていて大満足な公演だった。
5人の演者の方々が強烈な個性を生かしながら、まとまりながら素晴らしいチームとなっていた。
折しもワールドカップで日本中が盛り上がっている時季でもあり、僕はそのチームワークをサッカーのフォーメーションのように見ていた。
まず、なだぎ武さんの小林賢太郎さん作品への親和性が高さといったらなかった。例えるならどんな体勢からもシュートを繰り出しゴールを量産するストライカー。
ドラマや映画で見ないクールはないほど忙しいだろう野間口徹さんは、どっしりと物語世界の重心としてそこに欠かせない役として居てくれていた。線は細いが危険予知能力が高い守りの要のセンターバックだ。
竹井亮介さんは小林組の代表としてこのコントを成立させるために舞台内外で重要な役割を果たしていた。チームを屋台骨として支えながら的確に前線へもパスを供給して舵取りをするボランチだろう。腕にCマークを巻いているのが見えた気がする。
うらじぬのさんは何度かテレビで拝見したことがあった。今回もその独特の存在感が面白かった。なだぎさんや竹井さんに気を取られているとヌルッとサイドから抜け出してゴールに絡むウインガーのようだ。
ダンス畑出身の平原慎太郎さんはこのチームに一味違う要素を足していた。元々存じ上げなかった方で地味な守備的役割が多いのかと思っていたら、急にオーバーラップしてアクロバティックで強烈なシュートを決めて行く魅惑的なサイドバック的存在だった。
舞台上にはいないが司令塔はもちろん脚本家の小林賢太郎さん。
監督は演出家の小林賢太郎さん。
(誰がどのポジションだというのは異論は認める。)
僕たち観客は、このチームを応援するサポーターであると同時に、笑いのゴールをズバズバと決められる仮想相手でもあった。
カーテンコールでは笑わせられまくった相手に敬意をたたえると共に、素晴らしいチームワークを見せてくれた味方を賞賛する惜しみない拍手を贈った。
さあ、もうすぐ。次の小林作品にも期待しよう。
