「第二の恩納村」はもう探すな。伊是名・伊平屋、地元しか知らない地価のバグと、外資に売らない要塞の設計図
沖縄の観光投資が、一つの転換点を迎えている。
恩納村の海岸線は外資系ラグジュアリーホテルによって埋め尽くされ、地価は高騰を続けている。
総事業費1,000億円を投じて上陸したフォーシーズンズ沖縄の資本の論理は、以前この記事で解析した通りだ。
宮古島や石垣島はオーバーツーリズムの波に呑まれ、かつての「手つかずの楽園」という純粋な価値は急速に摩耗しつつある。
投資家たちは血眼になって「第二の恩納村」「次の宮古島」を探している。
しかし、その視線はなぜか常に南へと向かっている。
那覇から遠く離れた八重山諸島や、橋で繋がった周辺離島だ。
だが、沖縄の地政学とローカルの力学を長年見てきた私から言わせれば、スマートマネーが次に向かうべき「真の空白地帯」は、真逆に位置している。
沖縄本島北部からフェリーで渡る、伊是名(いぜな)島と伊平屋(いへや)島だ。
なぜ、誰もこの二つの島に気づかないのか。
あるいは、気づいていても手を出せないのか。
この記事では、沖縄在住のいち投資家としての肌感覚をもとに、外資系ファンドや東京のデベロッパーが絶対に越えられないローカルの壁の正体と、その壁を逆手に取ったうえで最後は誰にも奪われない要塞をどう作るか、完全な思考実験(妄想)として書き記していく。
第1章|バグのような地価と「不便さ」という究極のモート
投資において、最も強力な参入障壁(モート)とは何か。
それは「不便さ」である。
伊是名島と伊平屋島には、民間定期便が就航する空港がない。
フェリーで1時間以上揺られる必要がある。
この物理的なアクセスの悪さが、マス向けの大規模リゾート開発を根こそぎ弾き返してきた。
その結果、何が起きているか。地価の「バグ」である。
伊是名村の基準地価は、平均で坪単価1万円強。
恩納村や宮古島の狂乱めいた地価を知る人間からすれば、タダ同然の価格設定と言っても過言ではない。
しかもここ数年、変動率はほぼゼロ。時が止まっている。
時代は変わった。
世界の超富裕層が求めているのは、アクセスの良い巨大リゾートでの画一的なサービスではない。
誰にも邪魔されない絶対的なプライバシーと、手つかずの原風景である。
フェリーでしか行けないという不便さは、大衆ツーリズムを遮断する最強のフィルターになり得るのだ。
第2章|中華資本の足音と、本物の「因縁」
この「手つかずの島」に、すでに外部の資本が静かに手を伸ばしている事実をご存知だろうか。
2021年2月、伊是名村に属する無人島・屋那覇島の土地の約半分(約74万平方メートル、東京ディズニーランドとほぼ同規模)を、東京に本社を置く中国系コンサルティング企業が取得した。
これが世間に知れ渡ったのは2023年2月、中国人女性のSNS投稿がきっかけだった。
手付かずの自然が残る屋那覇島や具志川島といった無人島は、日本の資本がモタモタしている間に、外資がすでに「純粋なリゾート価値」に目をつけている証左だ。
「でも、やっぱりフェリーで行くのは富裕層にはキツいのでは?」
そう考えるのは、庶民の移動手段しか知らない人間の発想だ。
伊是名島には伊是名場外離着陸場がある。
地元では「伊是名空港」と呼ぶ人もいるが、正確には航空法上の空港ではない。
滑走路は610メートルしかなく、定期便もない。
プライベートジェットで乗りつける、というのは盛りすぎた表現だ。
現実的な導線は、那覇空港からのヘリコプターチャーターである。
那覇からの直線距離はおよそ100km。
同じくチャーターで結ばれている与論島(那覇から56分)の実績から逆算すれば、30分前後で島に降り立てる計算になる。
沖縄県には座間味・渡嘉敷・渡名喜といった離島向けに、実際にヘリコプター交通を後押しする補助事業まである。
伊是名・伊平屋への定期便は今のところないが、チャーターという手段自体は絵空事ではない。フェリーの時刻表など、彼らには関係ない。
そして、ここに一つ、面白い史実がある。
この場外離着陸場は1998年、伊是名村が単独事業として整備したものだが、実はその裏に「伊平屋村との空港誘致競争を有利に進めたい」という思惑があったと伝えられている。
皮肉なことに、この単独整備が逆に伊是名の誘致を不利にしたという経緯まである。
しかも2005年には、両村の合併の是非を問う住民投票が行われ、伊是名側の反対多数でこの話は流れている。
つまり、これから書く二島の因縁は、投資家が妄想で作り出したものではない。
この島々には、空をめぐって張り合い、一度は一つになる話さえ蹴った、本物の歴史がすでにあるのだ。
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以下の内容は、沖縄の地政学とローカルルールを熟知した匿名の投資家・オブザーバーによる、極上の思考実験(妄想)です。
実在の企業や団体、政治家をモデルにした表現が含まれますが、特定の組織・個人の行動を断定したり、不正行為を唆したりするものではありません。
ここから先を読むかどうかは、あなた次第だ。
ただ、あの島の「掟」を知らないまま資本だけ持ち込んでも、一歩も前には進めない。
フェリーでしか渡れない島に、地図とお金だけで乗り込もうとする東京の投資家と、私は同じ轍を踏むつもりはない。
第3章|古民家の罠と、高台ヴィラという解
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