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【SB】ワイルド・ブラッド:第2章 8 解呪なるか


▼前回▼


「痛ッ‼︎」
 グールに血を吸われている。
 美紅は思う。
(わからない。これが、愛なの?)
 でも。
 気づけば、何度も、この<グール>に助けられてきた。

「ググググ、グググググ?」
「『すみません、俺、吸いすぎました?』」
「い、いや、大丈夫、私、増血体質だから……」
「若木?」
 牙が言う。
「……戻らないね」
「ググググ」
「『ほんとだ』」
《ふん》
「じゃ、ねーちゃん、吸うしか……」
「ええぇ〜やだよ〜。
 男の血なんか、吸いたくない!」

「美紅!」
 牙が美紅の頬を叩く。
「美紅ねー(ちゃん)。それは、ないだろ⁈」
 怒りに目が染まっている。

「牙……あんた、知ってるっしょ?
 男の血を吸うと……私……」
「だからどうした? 僕の友達を━━美紅ねーのために、こんな姿にまでなったこいつを、見捨てるのかっ!」
「牙……」
 美紅がグールを見る。
 グールが美紅を見つめている。
「しかたない、吸うわよ!」
「グ、グググ……ググググググ……」
「『痛くしないでくださいね。俺、実は噛まれると……』」

 美紅は着ていたベビドンコートを脱ぎ捨てる。
 チャイナ服は置いてきた。
 いまは、ミニドレスにコルセット。
 髪をハーフツインに。
 そして、いつもの厚底ブーツで、グールに歩み寄る。
「男なんて考えられないど、仕方ない。
 許して、スウィーティ」
 美紅は半ば強引にグールの体を傾け、首筋に牙を立てた!

「グググ…いやだぁぁぁぁ‼︎  ごめんなさ、やっぱ噛まれるのダメぇぇっぇ!!!」
 途中から、少女の声になる。
 双葉は落涙すさまじく、泣きじゃくった。

「成功⁈」
 牙の顔が明るくなる。
「赤羽……」
 だが、なぜか、左手だけ、グールのときのまま、鋭い爪が生えている。
「どういうことだ?」
《ざんねーん。愛が足りなかったみたいだよーん》
「そ、そんな、俺はこんなに美紅さんを」
《君、諦めなさい、片恋だ》
「かタコ??」
「若木……」
 つらそうに、牙が見ている。
《完全封印には愛が足りないよーん。ざまぁ!》
「とーちゃん! じゃあまた泣いたら、どうなるんだ? この子の体質はかくかくしかじかで」
《ふむ。
 グールにまたなるね》
「そんな」
《奇跡的その少女の姿の時は、左手以外はちゃんと解呪されたよーん》
「左手以外?」

 双葉は囁いた。
「あの、赤羽……見ないふりしてたけど、美紅さんが……」
「あぁ、ねーちゃんは、男の血を吸うと、急性ダンス中毒になるんだ」
「な……」
 美紅の急性ダンス中毒。それは……別名<YXZ>。
 ①Y字上戸じょうご
「ヒャッハー!!!」
 テンション・アルティメット爆上がり!
 両手をYの字に広げ、
 「ヒャッハー!!!」状態(Y‼︎)
 ②X上戸。
 まるで、ドジョウすくい。(X‼︎)
「ヒャッホー!」
 ③Z上戸。天空描画《スカイダイビング》モード。
「キャツハー!」(Z‼︎)

「み、美紅さん……」
 双葉、泣きそう。
「な、泣くな、若木!」
「だって、俺の上行くよ、これ」
「?」
「赤羽、仲良くなったら教えるって言った、泣ける方法があるって言ったの、覚えてる?」
「おう」
「実は……」
 双葉が口元を牙に近づける。
 牙はさりげ、赤くなる。
「え〜〜〜?! くまのぬいぐるみと踊ると、秒で泣ける〜〜〜⁉︎」
「あぁ、ばらしてんじゃねー!」
「どゆこと??」
「だーかーらー。ぬいぐるみを<青空園>でもらったんだ。一緒に踊ると、みんなのことを思い出すんだよ」
「変なのー」
「あぁ⁈ てめーみたいな、二重人吸血鬼には言われたかない!」
「そうかな?? て、あれ? くまのぬいぐるみって、どこかで見たような??」

「……みなさん、キャラ濃すぎですわ」
 立花が呟いた。


▼次回▼


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