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「民具これなーんだ?」展より _ 九州のカゴ_その2

 前回に引きつづき、

    ↓


「民具これなーんだ?」展(武蔵野美術大学)の“Japanese Bamboo Baskets”の竹製品のなかから、今回は九州地方のおもに農用のカゴなどを見ていこう。


手籠 大分県別府市 KT001041


 ナバカゴ:
ナバ(きのこ)を採りに持って行く手籠。
製作地は大分県杵筑市。
ゴザ目編、筏底、
肩径225~280、高さ285、握手高さ140ミリ。

 長方形の底にはバッテン形の力竹が入る。そのような形状も展示からは伺えないのが残念。
ただ、柄が抜けないように、小さな竹クギを打っていたりと、写真では知れない箇所が確認できたりと、実物を目にするメリットは多い。
このような手籠類も、その呼称に採集される品名が入ると、使用される用途が具体的に浮かび上がってくる。


茶摘籠 鹿児島県姶良郡加治木町(現・姶良市加治木町) KT000788


 茶ツミテゴ:
茶摘みに使う上等の腰籠。
220×200×高さ320ミリ。

縁のこの編みは、なんという編み方なのだろう。
紐を通す箇所もそこだけゴザ目編から変えている。


三つ手籠(小) 大分県大分市 KT001060


 ミツデカゴ:
主に饂飩や団子をすくい上げるのに使う。
この大きさのものは、主に団子あげに使う。
盆には「ヤセウマ団子」を食べるので、盆前には見られなくなる程売れた。
径225×高さ38、握手高さ145ミリ。

T字型に渡された柄が、水嚢(すいのう)として掬う役割を兼ねる。
この地域の盆行事の習俗は、現在もつづいているのだろうか。


天秤籠 鹿児島県加世田市(現・南さつま市) KT000297


 イナイテゴ:
一荷。南薩地方、大浦、新川から川辺、知覧、伊作方面に売り歩く、魚売りの人が使う。製作地は日置郡吹上町入来。イナイバラをイナイテゴの上にのせ、その上にゼニバラを乗せて売り歩く。
径460×高さ240ミリ。

 天秤棒で“イナウ=担ぐ”という所作が呼称となっている。
水俣の竹細工師・井上さんのHPでは「いないメゴ」とあり、梅ぼしバラなどを蓋として担いでいるときは、その自重でぎゅっと蓋が締まりはずれないという。また、かっては水車での精米用に米を運んだので「水車メゴ」とも呼ばれたが、それが使われていたのは精米器が家庭に普及する以前の、明治から大正期にかけての時代という。

    ↓

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/inakamawari.htm

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/mukashi.htm


米揚げ笊 鹿児島県日置郡伊集院町(現・日置市伊集院町) KT000005


 米アゲ:
研いだ米を入れて水を切る。モチ米によく使う。
梅干しを干したり、食品入れにもする。
一般家庭、主に農家が多い。農家の人は「イジョケ」と呼んだりする。ヘギは面取りをしてある。
径500×高さ65ミリ

 見学されていた水俣の竹細工師・井上さんによると、このバラ(平籠)は、米を研ぐための米揚げではなく「梅干バラ」という。ただこのカゴを鹿児島で刊行されたもののなかに「イジョケ」と紹介している1例があり、誤記ではないかと疑問視されていたという。イジョケの“イ”は“飯(いい)”のことだろうか?
この鹿児島のカゴは、まずはヒゴを編んでいき、最後に輪にした縁にはめ込んで仕上げるが、井上さんのものは、ヒゴを一本一本内輪に練って噛ませて編んでいるので、重たいものを載せても底が外れることはないという。

それに反してこの鹿児島のカゴの縁仕上げだと、長らく重いものを載せて用いていると、縁が抜けるおそれが高いという。

井上さんの「二斗じょうけ」(米揚げ笊)と「梅干バラ」

   ↓

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/nitojoke.htm

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/pictures4.htm

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/umeboshi-bara.htm

“Japanese Bamboo Baskets”の解説では、The baskets is used to make a type of rice dish in the Kyoto-Osaka area. とあるが。このようなタイプの九州のバラが京阪で米揚笊として流通?していたのかどうかもはなはだ疑問である。

 今回の“Japanese Bamboo Baskets”の写真の再現展示では、ちょうどこの米揚げ笊が展示されていた“盛りザル類”のコーナーでは、写真では佐渡あたりの蕎麦タメ笊(返し巻縁)と思わしきもののかわりに、天秤籠(京都府丹後町)の蓋部分の平カゴ(こちらは巻縁)が置かれていたので。この鹿児島の米揚げ笊も、ひょっとしたら資料のとり間違えかも知れない。手元にコピーしてあるものの写真からは柾割り当縁の巻きの素材は判然としないが、この鹿児島の米揚げ笊に用いられている葛(つづら)の巻きの数も縁の厚みも若干異なっているように見受けられる。


煮籠 鹿児島県加世田市(現・南さつま市) KT000275

 

 ジャコバラ:
ジャコを煮干しにするときに煮る。
径515×高さ40ミリ


天秤籠 鹿児島県姶良郡加治木町(現・姶良市加治木町) KT000792

 

 草キリテゴ:
細長の六ツ目、径460×高さ480ミリ

 二本一組のヒゴを、粗く周して編んだカゴ。その呼称から、草を天秤棒を使って運ぶものと知れる。いわゆる草カゴ、苗カゴ、飼葉カゴ、枯葉カゴ、堆肥カゴ、のような雑多な用途に汎用的に使われるカゴだろうけど、粗い編みながらも強度はなかなか高そうだ。いったいどのぐらいの重量になるものを振り分けて担ぐのだろうか。関東の、堆肥を作るための落ち葉を山や平地林から集める大型のクズハキカゴ(背負籠)では一俵分・60㎏ほどの重量を背負うから、この天秤籠も一荷でそのぐらいの重量まで担ぐのが可能なのだろうか。





© Akihiro FUNAKAWA
ethnologist, folklorist in Japan.











● 手籠 大分県別府市 KT001041

 ナバカゴ:
ナバ(きのこ)を採りに持って行く手籠。
製作地は大分県杵筑市。
ゴザ目編、筏底、
肩径225~280、高さ285、握手高さ140ミリ。

 長方形の底にはバッテン形の力竹が入る。そのような形状も展示からは伺えないのが残念。
ただ、柄が抜けないように、小さな竹クギを打っていたりと、写真では知れない箇所が確認できたりと、実物を目にするメリットは多い。
このような手籠類も、その呼称に採集される品名が入ると、使用される用途が具体的に浮かび上がってくる。

● 茶摘籠 鹿児島県姶良郡加治木町(現・姶良市加治木町) KT000788

 茶ツミテゴ:
茶摘みに使う上等の腰籠。
220×200×高さ320ミリ。

縁のこの編みは、なんという編み方なのだろう。
紐を通す箇所もそこだけゴザ目編から変えている。

● 三つ手籠(小) 大分県大分市 KT001060

 ミツデカゴ:
主に饂飩や団子をすくい上げるのに使う。
この大きさのものは、主に団子あげに使う。
盆には「ヤセウマ団子」を食べるので、盆前には見られなくなる程売れた。
径225×高さ38、握手高さ145ミリ。

T字型に渡された柄が、水嚢(すいのう)として掬う役割を兼ねる。
この地域の盆行事の習俗は、現在もつづいているのだろうか。

● 天秤籠 鹿児島県加世田市(現・南さつま市) KT000297

 イナイテゴ:
一荷。南薩地方、大浦、新川から川辺、知覧、伊作方面に売り歩く、魚売りの人が使う。製作地は日置郡吹上町入来。イナイバラをイナイテゴの上にのせ、その上にゼニバラを乗せて売り歩く。
径460×高さ240ミリ。

 天秤棒で“イナウ=担ぐ”という所作が呼称となっている。
水俣の竹細工師・井上さんのHPでは「いないメゴ」とあり、梅ぼしバラなどを蓋として担いでいるときは、その自重でぎゅっと蓋が締まりはずれないという。また、かっては水車での精米用に米を運んだので「水車メゴ」とも呼ばれたが、それが使われていたのは精米器が家庭に普及する以前の、明治から大正期にかけての時代という。

    ↓

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/inakamawari.htm

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/mukashi.htm

● 米揚げ笊 鹿児島県日置郡伊集院町(現・日置市伊集院町) KT000005

 米アゲ:
研いだ米を入れて水を切る。モチ米によく使う。
梅干しを干したり、食品入れにもする。
一般家庭、主に農家が多い。農家の人は「イジョケ」と呼んだりする。ヘギは面取りをしてある。
径500×高さ65ミリ

 見学されていた水俣の竹細工師・井上さんによると、このバラ(平籠)は、米を研ぐための米揚げではなく「梅干バラ」という。ただこのカゴを鹿児島で刊行されたもののなかに「イジョケ」と紹介している1例があり、誤記ではないかと疑問視されていたという。イジョケの“イ”は“飯(いい)”のことだろうか?
この鹿児島のカゴは、まずはヒゴを編んでいき、最後に輪にした縁にはめ込んで仕上げるが、井上さんのものは、ヒゴを一本一本内輪に練って噛ませて編んでいるので、重たいものを載せても底が外れることはないという。

それに反してこの鹿児島のカゴの縁仕上げだと、長らく重いものを載せて用いていると、縁が抜けるおそれが高いという。

井上さんの「二斗じょうけ」(米揚げ笊)と「梅干バラ」

   ↓

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/nitojoke.htm

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/pictures4.htm

https://kago-zaru.sakura.ne.jp/umeboshi-bara.htm

“Japanese Bamboo Baskets”の解説では、The baskets is used to make a type of rice dish in the Kyoto-Osaka area. とあるが。このようなタイプの九州のバラが京阪で米揚笊として流通?していたのかどうかもはなはだ疑問である。

 今回の“Japanese Bamboo Baskets”の写真の再現展示では、ちょうどこの米揚げ笊が展示されていた“盛りザル類”のコーナーでは、写真では佐渡あたりの蕎麦タメ笊(返し巻縁)と思わしきもののかわりに、天秤籠(京都府丹後町)の蓋部分の平カゴ(こちらは巻縁)が置かれていたので。この鹿児島の米揚げ笊も、ひょっとしたら資料のとり間違えかも知れない。手元にコピーしてあるものの写真からは柾割り当縁の巻きの素材は判然としないが、この鹿児島の米揚げ笊に用いられている葛(つづら)の巻きの数も縁の厚みも若干異なっているように見受けられる。

● 煮籠 鹿児島県加世田市(現・南さつま市) KT000275

 ジャコバラ:
ジャコを煮干しにするときに煮る。
径515×高さ40ミリ

● 天秤籠 鹿児島県姶良郡加治木町(現・姶良市加治木町) KT000792

 草キリテゴ:
細長の六ツ目、径460×高さ480ミリ

 二本一組のヒゴを、粗く周して編んだカゴ。その呼称から、草を天秤棒を使って運ぶものと知れる。いわゆる草カゴ、苗カゴ、飼葉カゴ、枯葉カゴ、堆肥カゴ、のような雑多な用途に汎用的に使われるカゴだろうけど、粗い編みながらも強度はなかなか高そうだ。いったいどのぐらいの重量になるものを振り分けて担ぐのだろうか。関東の、堆肥を作るための落ち葉を山や平地林から集める大型のクズハキカゴ(背負籠)では一俵分・60㎏ほどの重量を背負うから、この天秤籠も一荷でそのぐらいの重量まで担ぐのが可能なのだろうか。



© Akihiro FUNAKAWA
ethnologist, folklorist in Japan.

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