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『跳躍の向こう側』 第8話       炎の向こう側


大型配信作品の撮影が始まった。
都内近郊のオープンセット。
廃工場を再現した広大な舞台には、照明車、カメラクレーン、美術スタッフの姿が並ぶ。
高柳麻耶は控室で耐火インナーを身につけていた。
今日の撮影は、この作品でも最も注目されるアクションシーンの一つ。
炎に包まれた通路を駆け抜け、負傷した仲間を助け出す場面だった。
もちろん、安全対策は徹底されている。
耐火スーツの下には保護装備。
耐火ジェルを肌の露出部分に塗布し、消火スタッフが周囲に配置される。
消防との連携も確認済み。
一つひとつの工程を確認しながら、リハーサルが進んでいく。
監督が現場全体を見渡した。
「焦らなくていい。安全確認を最優先でいこう。」
スタッフ全員がうなずく。
主演女優も麻耶のもとへ歩み寄った。
「今日もよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
二人は固く握手を交わした。
作品を支える者同士の信頼が、その一瞬に込められていた。
撮影開始。
通路の両側で特殊効果用の炎が立ち上がる。
麻耶は合図と同時に走り出した。
視線は前だけを見る。
決められたラインを外さない。
倒れている仲間役のスタントマンを抱え上げ、出口へ向かう。
監督の声が響く。
「そのまま!」
最後の数メートル。
麻耶は一定の速度を保ったまま走り抜けた。
「カット!」
すぐに消火スタッフが確認を行い、耐火装備を外していく。
異常なし。
現場に安堵の空気が広がった。
モニターには、炎の中を駆け抜ける迫力ある映像が映し出されていた。
監督は静かにうなずく。
「いいシーンになった。」
佐伯も笑顔を見せる。
「積み重ねてきたものが、そのまま出ていた。」
麻耶は深く息を吐いた。
派手な場面ほど、裏では数え切れない準備と確認がある。
それを改めて実感した一日だった。
撮影を終え、夜風に当たりながら空を見上げる。
浜松で見た星空とは違う。
東京の空は明るい。
それでも、自分が目指す場所は少しずつ近づいている。
麻耶は静かに歩き始めた。
新しい現場へ向かうために。
【フィクションの断り書き】
本作はフィクションであり、登場人物・団体・出来事などはすべて架空のものです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
©ChatGPT & 宇都宮幸宏

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