退院、そしてReスタート
92日間の入院生活が終わった。
愛もあったし、笑いもあった。
涙もあったし、感動もあった。
出会いと別れも全部詰まっていた。
退院直前、リストバンドを切ってもらった瞬間、長いフェスみたいな時間だったと思った。
なんだか、夢から覚めたみたいなまだ夢が続いているような、しかし足はまだしっかり痛いしやっぱり本当です。
――さようなら、リストバンド。

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両松葉杖でのろのろ歩行の退院、
それでも外に出たらテンション上がりすぎるんじゃないかと思ってたけど、意外と静かに、落ち着いていた。
ただ――
外の世界は、むずかしすぎる。
リハビリで歩いていたコースは、完全に“初心者モード”だった。現実はトラップだらけ。
一歩進んでは止まり、確認して、
「前方クリア」と自分の中で報告しながら進む。
完全に挙動不審?。
近所の坂道はもう“坂”じゃない。
もはや山。
それでも、少し前まで動かなかった両足で進んでいる。
それだけで、ちょっと嬉しい。
街の中なのに、風も空気もちゃんと気持ちよくて、
草木の匂いにも、いちいち反応してしまう。
「ああ、春なんだな」と思った。
人間の感覚って、本当はもっと鋭いのかもしれない。
この“センス・オブ・ワンダー”、忘れないようにしたい。
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家に帰って最初に食べたのは「すし」。
わさびが、衝撃だった。
こんなに“つーん”とするんだっけ。
舌の上で、ばちばち弾けるような刺激。
辛いのか、美味しいのか、嬉しいのか分からなくて、
ちょっと泣いた。
ありがとう、生命。
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ただ、現実もちゃんと待っていた。
筋力、落ちすぎ。
ちょっと動くだけで腰が痛い。
「要」って書くだけあるな、と妙に納得する。
体もまだ途中。
足もまだ途中。
ひといき、ひとはき。
ゆっくり戻していく。
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そんな中、家族は容赦ない。
「今ヒマだから今から髪切りに来れば?」(美容師の息子)
→ 無理です、歩けません。
「おっそ!意味わっかんね!」(息子②)
→ こっちが意味わからん。
「あ、退院したんだーおめでとー」(ただいま地方在住の娘)
→ありがとー
「LUUPで行けば?」(妻)
→ それは病院逆戻りコース。
でも、こういうやり取りが戻ってきたのが、
ちょっと嬉しい。
軽く煽られながら、日常に戻っていく。
――ああ、生きてるなって思う。
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入院生活は終わった。
でも、体も、感覚も、生活も、まだ途中。
たぶんここからの方が長い。
それでも、この92日間で気づいたことや、
身についた小さな習慣、学びは確実に自分を強くしてくれてた。
一人じゃ無理だった。
家族、お医者さん、看護師さん、理学療法士さん。
本当に、ありがとうございました。
弱ったときには人に頼ることも必要だし
人はちゃんと、助け合える。
それを、体で知った。
――さて、ここから。
リスタート。
