映画「ニトラム」感想とはらぺこ柴犬
ジャスティン・カーゼル監督作品。1996年4月28日にオーストラリアのタスマニア島の観光地で起こった銃乱射による大量殺人事件、通称「ポート・アーサー事件」の犯人ニトラムことマーティン・ブライアントが主人公が主人公である。
物語は少年がカメラの前で「事故って火傷しただけだよ」と語るシーンから始まる。いじめられっこが「ぼくいじめられてないよ、大丈夫だよ」と母親の前で言う。ありがちではあるがキツイシーンだ。
ニトラムの主観のシーンが多い。合間に写し出されるタスマニア島の美しい自然と対照的にニトラムのどん詰まり感が写し出される。
この主人公ニトラム、まぁ生きづらそうな男である。我々観客はドキュメンタリー映画「どうすればよかったか?」でカメラを回していた藤野知明監督のような気分でニトラムを眺める。観客は眺めるだけですむけどニトラムの両親は実際に相手をしているので心労が重くのし掛かる。
しかし、ニトラムでも銃が買えるって…。えらいことになるぞと思ったら案の定である。
父親が買おうとした家に乗り込みパン、パン!この時カメラはニトラムを追わない。車の中から惨劇を「目撃」するのである。その後ニトラムはポートアーサーへ向かう。その後の更なる惨劇は直接映画には出てこない。テレビで報じられる場面がでるのみである。テレビがニトラムの起こした事件を報じる中、ニトラムの母親は外でタバコを吸う。その表情は深い諦念があるように感じられる。
事件の後、オーストラリアでは銃規制法が成立した。だが現在、1996年当時よりも多くの銃がオーストラリアにはあるという。
思えば、諦念で始まり諦念で締め括られた映画である。どうにかしようとしたが結局どうにもならなかった。「どうすればよかったか?」である。少なくとも個人個人ではどうにもならなかったように思う。
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