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気づかれすぎてんねんけど

最近やたら耳にするのが「(へんいち)さん、髪染めた?」の言葉。

始まりは、今月初めに行った大阪の人事の仕事で担当営業から掛けられたひとことだった。
「あれ? (へんいち)さん…で合ってますよね?」
その営業さんはおよそ1年ぶりの再会だった。
「事前にリストでお名前だけ見て久々の(へんいち)さんやなとわかってたんすけど、いざ会ってみたら自信なくなってもて…」
「へ? どういうこと?」
「髪、染めたんすか?」
1年前の記憶があやふやになるほど、僕の髪色は変わったらしい。

その数日後の東京で、大学時代の友人と3人で飲んだ。
魚を食べるのに忙しい僕をおいて、友人2人が話している。
「そろそろ白髪増えてきた?」
「いや、学生時分から若白髪で真っ白やってん。その頃からずっと黒染め」
あぁ、たしかに当時も実は真っ白て言うてたな、と思い出した。
「(へんいち)はどう?」
お、話がこっちに来た。
「耳の上あたりが少し白くなってきたくらいかな」
「え、ほななに、それはオシャレで染めとん?」
「オシャレかどうかは知らんけど、必要に迫られて染めてるわけちゃう」
どうやら僕のカラーの理由が知りたくて、遠回しに友人2人だけで会話を始めたものらしい。
そんなに知りたくなるほど、僕の髪色は変わったらしい。

そして昨日。
また人事の仕事で今度は京都に行き、初めましての同僚からこう訊かれた。
「その髪、オシャレ染め?」
「まぁそうです。でもキャリア支援で大学へ行くことが多くて、学生との間に垣根ができないという意味では役に立ってますよ」
「らしいね。学生からしたら、黒髪のオッサンよりは自分たちと同じフィールドにいるように見えて話がしやすいって」
「ですよね」
「ただ、こっちの人事の仕事はクライアントによって基準がまちまちで、たとえば銀行さんが相手だとその茶髪は確実にアウト、クレームもの」
クレームが出そうなほど、僕の髪色は茶色らしい。

すべて今月の話だ。
これだけ状況証拠が揃えば、先月末にサロンで染めたことが原因であることは疑いようがない。

とはいえ、僕はこれまでもほぼずっと染めてきたし、ハイライトを入れてシマシマにすることもあるのだが、こんなに口々に「染めた?」などと言われるのは今回が初めてだ。
なぜ…?

先月末のサロンといえば、変わったこともなかったけどな。
いや、そういえば美容師のお姉さんが僕にキャリアの相談をしながらカラーしてくれたんやったな…
もしかして悩ましい相談を受けて髪色が一気に抜けたとか?
いやいや、そんな玉手箱のようなキャリア相談はない。
うーん、いったいなんで?

相談に一生懸命になった美容師のお姉さんのミス?
いや、あの真剣な眼差しを思い出せば、それもないことは断言できる。

ほな、相談を受ける前?
髪切ってもらいに行ったのにこちらが相談されるという経験があまりに新鮮すぎて、その前のことがなかなか思い出せない。
それでもひとつずつ行動を思い返していくと…

あ!

「いつも誰も気づかへんので、もっと明るくしてもろてえぇですか?」

言うてるやん、この口が。
気づかれすぎてんねんけど。

(2026/8/28記)

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