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usausan
せりふ三題噺「自宅ハロウィン」
「トリック・オア・トリート!」
元気いっぱいにそう告げる少女を前に、俺は全く動けずにただ茫然と立ち尽くしていた。
「お菓子をくれないとイタズラしちゃうよ?」
改めてそう聞いてくる少女をよく見てみる。安っぽい魔女の仮装をしているが、どこからどう見ても俺の妹だ。こいつ一体なにしてるんだ。自分のうちにお菓子をねだりに来るなんて…ハロウィンというものを勘違いしているのではないだろうか。
俺が何も言わないので気まずくなったのか、もじもじとし始めた妹をみて深いため息を吐く。確かキャンディくらいだったらあった気がする。
「ちょっと待ってろよ」
そう告げて足早にキッチンに向かう。戸棚の奥からカラフルな包み紙の大袋を掴み取ると、急いで玄関に戻った。俺は袋から掴み出した数個のキャンディを、妹が差し出すカボチャのカゴの中に、そっと入れてやった。
「ありがとう! おにいちゃん!」
途端、妹の顔がぱっと輝く。 そして、くるりと踵を返すと、小さなマントを翻し、俺が止める間もなく夜の暗闇の中へと駆け出していく。
「あ、おい!」
その小さな背中が消えた暗闇を見つめ、俺はバスケットに入れ損ねて床に落ちたキャンディを一つ拾い上げる。
「…来年は、もう少しちゃんとしたお菓子を用意しておくかな」
最近は帰ってくるのが、盆だけとは限らないみたいだから。
こちらの企画に参加させていただきました。
なかなか思いつかず…ぎりぎりになっちゃいました。
素敵なお題をありがとうございました。
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