Excel考古学② フォルダ迷宮
過去の担当者が残したExcelファイルから業務の全貌を解読する、いわば「Excel考古学」。
意を決して、フォルダに乱立する「最終」ファイルの中から、一番新しいものを開いた。
画面下部には「集計」「作業」など、いかにも怪しげな名前のシートが10枚ほど並んでいる。
あるシートを開き、勘定科目と金額が並ぶ数十行のデータ群をクリックして、私は息を呑んだ。
数式が、ほとんど入っていない。
大半が無機質な「手入力(ベタ打ち)」の数字だったのだ。
他シートへの参照リンクもなければ、計算の痕跡もない。
経理実務において、これは最大のホラーである。
「この数字がどこからやって来たのか」が全く分からないのだから。
「……これは、ゼロから作り直すことになるかもしれない」
頭を抱えつつ、まずは先人の意図を解読すべくメモ欄に目をやると、そこには『前年同様』という短い言葉だけが残されていた。
淡い期待を抱いて前年のファイルに遡ってみるが、状況は同じ。
やはり手入力のオンパレードだ。
さらに前々年のファイルを開くと、今度はシートの構造そのものが違っていた。
数式を追い、途切れたリンクを探し、謎のメモを読み解きながら、ひたすら過去へ過去へとファイルを遡る。
一見整っているように見えるファイルの裏側は、再現性が全くない迷宮だった。
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