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Excel考古学④ 手入力Excelの謎

業務解読のために過去のExcelを掘り下げる「Excel考古学」を進めるうち、私はこの遺跡が抱える最大の矛盾に行き当たった。

会計システムのデータを出力して関数で集計すれば、ミスも減り、翌月も同じ手順で再現できる。
それなのに、このファイルはなぜかすべてが「手入力」で構築されているのだ。

たしかに、関数を組む手間を省き、電卓を叩いて数字を直接打ち込んだ方が「その瞬間は」早いこともある。
だが、いざその作業をもう一度やろうとしたとき、同じ結果を導き出せない。
さらに厄介なのは、前年のファイルを見るとシートの構造が微妙に違っていたことだ。
おそらく前任者は、過去のExcelをよしとせず「自分のやり方」で作り直したのだろう。

表層的な形は変わっても、手入力と出典不明という問題の本質は全く変わっていない。
画面を眺めながら、私は深く息を吐いた。

このExcelは、あくまで「作った本人が使うこと」だけを前提にしているのだ。
本人の頭の中にだけプロセスがあり、本人が分かればそれで完結してしまう世界。
しかし、担当者が変わった瞬間、そのExcelは誰にも解読できない遺跡と化す。

仕事とは、自分だけが分かればいいものではない。
先人たちは、なぜわざわざこの非効率で孤独な形を選んでしまったのだろうか。


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