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特別編 ケガを繰り返しても練習することは、本当に「頑張った」ということなのか

少し、重いテーマについて書きたいと思います。

小学生や中学生が、疲労骨折するまで練習する。

それは、本当に「頑張った」ということなのでしょうか。

陸上競技を経験してきた私自身も、昔は、

「強くなるためには、ある程度の厳しい練習が必要。」

そう考えていました。

苦しい練習を乗り越える。

きつくても頑張る。

他の選手より練習する。

そうやって強くなる。

もちろん、競技力を高めるためには、努力は必要です。

簡単にできることばかりではありません。

でも、

「努力」と「無理をすること」は、同じではありません。

ここは、子どもを指導する大人も、応援する親も、一度立ち止まって考えてみる必要があると思います。

「痛いけど頑張ります」は、褒めるべきなのか

中学生くらいになると、

「ちょっと痛いけど大丈夫です。」

と言って練習を続ける選手がいます。

指導者からすると、

「それでも頑張るなんて、根性があるな。」

と思うかもしれません。

親も、

「よく頑張っている。」

と思うかもしれません。

でも、その痛みが身体からのサインだったらどうでしょう。

無理を重ねて、長期間練習できなくなってしまったら。

大会に出られなくなったら。

大好きだった陸上そのものが嫌になってしまったら。

それでは、本末転倒です。

痛みに耐えて練習を続けることが、必ずしも強さではありません。

「休む」という判断も、選手に必要な力だと思います。

小学生・中学生は、まだ成長の途中

大人の選手と、成長期の子どもは違います。

身体はまだ発達しています。

筋肉だけではなく、骨や関節なども成長の途中です。

だからこそ、

「大人と同じように練習すればいい」

とは限りません。

同じ距離を走る。

同じ本数をこなす。

同じ強度で練習する。

それだけではなく、

「今、この子の身体はどんな状態なのか」

を見る必要があります。

特に小学生や中学生は、成長のスピードにも個人差があります。

同じ学年だからといって、同じ身体ではありません。

同じ練習をしても、疲労の出方は違います。

だから、

「みんながやっているから、自分もやらなければならない」

という考え方には、少し注意が必要だと思います。

疲労骨折は「勲章」ではない

これは、強く言いたいところです。

「疲労骨折するまで頑張った。」

「それだけ練習した証。」

「強い選手はそれくらいする。」

そんな言葉を、もし子どもたちが聞いていたら。

私は少し心配になります。

疲労骨折は、

頑張ったことの勲章ではありません。

身体が「もう無理だよ」と出しているサインを見逃してしまった結果かもしれない。

もちろん、スポーツをしていれば、どれだけ注意していてもケガをすることはあります。

だから、疲労骨折した選手を責める必要はありません。

「頑張りすぎたから悪い。」

という話でもありません。

大切なのは、

「なぜそうなったのか」を大人が考えること。

ではないでしょうか。

「休む勇気」を教える

陸上選手にとって、

練習する勇気は大切です。

でも同じくらい、

休む勇気も大切です。

「今日は疲れている。」

「痛みがある。」

「いつもと身体の感じが違う。」

そう感じたときに、

「休んでもいい。」

と思える環境があるか。

これが、とても重要だと思います。

特に子どもは、

「休んだらレギュラーから外されるかもしれない。」

「練習を休んだら怒られる。」

「みんな頑張っているのに、自分だけ休めない。」

そんな気持ちを持つことがあります。

だからこそ、大人が、

「身体の状態を伝えていいんだよ。」

と言ってあげる必要があります。

親ができること

ここで、保護者の役割も大きいと思います。

「今日も練習頑張ってきた?」

だけではなく、

「身体、どこか痛くない?」

「疲れは残ってない?」

と聞いてみる。

そして、もし子どもが、

「ちょっと痛い。」

と言ったら、

「それくらい大丈夫。」

と決めつけない。

まず話を聞く。

必要であれば、指導者や医療機関などに相談する。

「練習を休ませること=甘やかすこと」ではありません。

むしろ、長く競技を続けるための大切な判断です。

指導者に求めたいこと

そして、これは指導者の方にも伝えたい。

子どもたちは、大人が思っている以上に、

「期待に応えたい」

と思っています。

先生に認めてもらいたい。

コーチに褒めてもらいたい。

仲間に負けたくない。

だから、痛くても言えないことがあります。

「痛いなら言えばいい。」

それだけではなく、

「痛いと言える雰囲気をつくる」

ことが大切なのではないでしょうか。

練習量を増やすことより、

選手の身体の変化に気づくこと。

厳しくすることより、

必要なときに休ませる判断をすること。

それも、指導者の専門性だと思います。

「もっと練習すれば速くなる」は、本当なのか

これは陸上経験者として、自分自身にも問いかけたい言葉です。

練習すれば強くなる。

これは間違いではありません。

でも、

練習量を増やせば増やすほど、必ず速くなるわけではない。

練習して、

疲労する。

回復する。

身体が適応する。

そして、また練習する。

この繰り返しの中で成長していく。

だから、

「休むこともトレーニングの一部」

なのだと思います。

練習量を競うのではなく、

「どれだけ良い状態で練習を積み重ねられるか」

を見る。

そのほうが、長い目で見れば競技力につながるのではないでしょうか。

小学生・中学生の「今」だけを見ない

ここが一番伝えたいことです。

小学生、中学生の大会で勝つこと。

自己ベストを出すこと。

県大会、全国大会に出ること。

もちろん素晴らしい。

親としても嬉しい。

指導者としても嬉しい。

でも、

その先には高校生の陸上があります。

その先には大学生の陸上があります。

そして、競技を終えた後の人生があります。

だから、

「今、速い選手をつくる」

だけではなく、

「長くスポーツを楽しめる選手を育てる」

という視点も持っていたい。

中学生で全国大会に出た選手が、高校でも大学でも陸上を続ける。

高校で大きく伸びる。

大学で初めて大きな記録を出す。

そんな選手もいます。

成長のタイミングは、人それぞれです。

だから、

中学生の今の記録だけで、その子の可能性を決めない。

これも大切だと思っています。



頑張ることを否定したいわけではない

誤解のないように書いておきます。

私は、

「子どもに厳しい練習をさせてはいけない。」

と言いたいわけではありません。

競技力を高めるためには、苦しいことに挑戦する必要があります。

自分の限界に挑戦することも必要です。

時には、

「もう少し頑張ろう。」

という経験も大切です。

ただ、

「ケガをするまでやった=頑張った」

という価値観には、疑問を持っています。

本当に強い選手とは、

「限界まで練習できる選手」

だけではない。

自分の身体の状態を知り、

練習する。

休む。

相談する。

必要なら勇気を持って立ち止まる。

そして、また戻ってくる。

そんな選手も、本当に強い選手だと思います。

親として、指導者として、大人として

子どもが、

「全国大会に行きたい。」

「もっと速くなりたい。」

と言ったら、

私たちは全力で応援したい。

その気持ちは、とても大切です。

でも、その夢を叶えるために、

子どもの身体を犠牲にしてはいけない。

全国大会に出るために無理をする。

記録を出すために痛みを我慢する。

チームのために休めない。

そんな環境になってしまったら、

大人が一度立ち止まるべきです。

子どもたちに必要なのは、

「もっと頑張れ」

だけではありません。

「今日は休もう。」

「身体のことを教えて。」

「無理しなくていい。」

「また元気になったら走ろう。」

そんな言葉も必要です。



陸上競技は、短距離なら数秒。

長距離でも数分。

跳躍や投てきなら、一瞬の勝負です。

でも、

競技人生は、その一瞬よりずっと長い。

だから私は、

「今、この大会で勝つこと」

だけではなく、

「10年後も、20年後も、スポーツを好きでいてくれること」

を大切にしたい。

疲労骨折するまで頑張ったことを称えるのではなく、

疲労や痛みに気づいて、勇気を持って休めたことも称える。

そんな陸上競技の文化になってほしいと思います。

子どもたちは、まだ成長の途中です。

だからこそ、

「強くする」だけではなく、「守る」。

そして、

「今勝つ」だけではなく、「未来につなげる」。

それが、子どもたちを支える私たち大人の役割なのではないでしょうか。

速く走ることは、素晴らしい。

勝つことも、素晴らしい。

全国大会に出ることも、本当に素晴らしい。

でも、

元気な身体で、また明日も走れること。

それも、同じくらい素晴らしいことだと思います。

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