物件探しの昭和・平成・令和・そしてAI──変わるのは“情報”か、それとも“信頼”か?
はじめに──なぜ今、物件探しを振り返るのか
いま、物件探しの9割以上が「インターネット経由」で行われています。
でも、これはほんのここ20年の話。それ以前は、まったく違う世界が広がっていました。
このnoteでは、僕が現場で見てきた昭和→平成→令和→AI時代の物件探しの変遷を辿りながら、
「本当に変わったのは何なのか?」を考えてみたいと思います。
昭和の物件探し──“人脈”がすべてだった時代
REINS(不動産流通標準情報システム)は、実は昭和の時代から存在していました。
ですが、当時はFAXによる登録が中心。形式的に運用されていただけで、
実質的にはまったく機能していなかったといっても過言ではありません。
売り物件の情報は、地域の不動産屋、
その中でも「地元の名士」のような存在に集中していました。
物件を買いたい人は、土日に不動産屋を何軒も“はしご”して情報を集めるしかなかった。
つまり、物件探しとは「情報を探すこと」ではなく、
人間関係に入り込むことだったのです。
インターネットの登場──平成が変えた“スピードと可視性”
1990年代後半、インターネットが急速に普及しはじめ、
物件探しは少しずつ「検索型」へと変化していきます。
REINSもFAX登録をやめ、インターネットベースのシステムへと移行。
SUUMOやHOMESといったポータルサイトが登場し、
「自宅にいながら物件情報を一覧で見られる」時代が始まりました。
ただし、ここで一つ大きな壁が残りました。
それが、**「囲い込み」**です。
本来、REINSに載っている物件であれば、どの不動産会社でも取引できるはず。
でも、売主側の業者が「他社に物件を紹介させない」ようにすることで、
自社だけで両手仲介を狙うという、いびつな商慣習が温存され続けたのです。
スマートフォンの普及──“物件探しが手のひらに”
令和の時代になり、スマートフォンが完全に生活に定着しました。
不動産検索アプリも日常的に使われるようになり、
物件探しは**完全に「個人の手の中」**に移行します。
もはや情報収集に不動産屋を訪ね歩く必要はありません。
でも…ここで誤解が生まれます。
「ネットで見られる=自由に買える」
そう思っている人がとても多いのです。
しかし、実際には**掲載されていても“買えない物件”**が存在します。
問合せをすると、「申し込みが入った」「商談中」と言われる…。
それでも掲載は続いている。これは、いまだに残る“囲い込み”の現実です。
そして、AIの時代へ──“検索”から“提案”へ
そして今、物件探しは次のフェーズに入りつつあります。
それが、AIによる物件レコメンドの時代です。
たとえば、チャットで希望条件を入力するとAIが最適な物件を提案してくれる。
画像解析でリフォーム前後の姿を見せてくれる。
AI査定で「この物件は高い・安い」を数値で示してくれる。
まさに、検索から“提案型”への大転換。
しかし、ここにも限界があります。
AIは「登記情報のズレ」や「物元の囲い込み体質」など、
裏事情を読み取ることはできません。
だからこそ、最終的には「誰に相談するか」が問われるのです。
おわりに──変わったのは手段、変わらなかったのは“信頼”
どれだけ情報があっても、どれだけ技術が進んでも、
家を買う人が最後に必要とするのは「信頼できる誰か」です。
昭和の不動産屋まわりも、令和のスマホ検索も、AIのレコメンドも、
すべては「正しい判断をしたい」という人間の本能から来ています。
僕はこれからも、“判断材料”を渡せる人間でありたいと思っています。
技術やツールを使いこなして、でも「人の心」だけは置いてきぼりにしない。
それが、プロとしての誇りです。
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