[log_016] DAVID BYRNE Who Is The Sky? Tour @SGCホール有明
🎼 音浴ライブログとは
ライブ会場の熱気や空気感を記録(ログ)し、ライブの没入体験を通じて「人生」や「ウェルビーイング」について考察します。
*公演内容に言及しておりますので、あらかじめご承知おきください。
🎬 映画『アメリカン・ユートピア』の衝撃
私の中のDavid Byrneといえば、Talking Headsの名盤『Remain in Light』のあのジャケット。「Once in a Lifetime」「Burning Down the House」といった代表曲を数曲知っている、という程度のものでした。
その距離が一気に縮まったのが、コロナ禍に出会った映画『David Byrne's American Utopia』でした。ブロードウェイ公演を映画として再構築した2020年の作品です。
非常にシンプルなセット、据え置かれたバンドもなく、David Byrneとダンサー、バンドメンバーが完全にワイヤレスで縦横無尽に動き回りながら、完璧に設計されたダンスと演奏を繰り広げる。Talking Heads時代の楽曲も、より洗練され、メッセージ性の強いパフォーマンスへと進化していました。そのパフォーマンスに、強烈な衝撃を受けました。
ずっと「これは日本では見られないだろう」と諦めていたのですが、なんとSummer Sonicで来日し、単独公演も行うとのこと。切望し続けてきたDavid Byrneを、たっぷりと堪能できる単独公演。奇跡のような機会でした。
🌳 緻密に計算されたステージ、なのにナチュラル
会場はSGCホール有明。断続的に雨が降り注ぐ中、老若男女たくさんの人が入り口に詰めかけていました。グッズは代官山T-SITEのポップアップで開催2日目頃にはすでに売り切れ。
いかに熱の入ったファンが集まっているかを、開演前から肌で感じました。
リハーサルが押し、開場・開演ともに約30分遅れとなりましたが、客席は満席。男女半々ほどで、若い世代からDavidと同世代まで幅広い層のお客さんが集まっていました。映画を通じて知った人も多かったのかもしれません。
開演前のスクリーンには、海と鳥の囀りが聴こえる厳かなネイチャーサウンドが流れる神秘的な演出。おおよそのライブでは様々なアーティストの音楽が流れることが多い中、開演前からこのショーの演出へのこだわりが感じられました。
— 旅は「Heaven」から始まる —
Davidがステージに現れると大歓声。1曲目はTalking Headsの「Heaven」。Davidの伸びやかな歌声が会場を満たします。荘厳なカバーへと生まれ変わり、Talking Heads時代の原曲とは大きく印象が異なりました。
続く「Everybody Laughs」では、Davidとダンサーとミュージシャンたちがステージを目まぐるしく動き回ります。そして「And She Was」の前に、Davidが東京で見たものを観客と共有してくれました。様々なスナップショットの中に、細野晴臣の写真。「今朝、友人の細野晴臣と会ってきた」という言葉に会場がどよめきます。さすがに、すごいネットワークです。
さらに「And She Was」の制作のきっかけとなったエピソードも語られました。とてもポップな曲ですが、その背景に社会の深さを感じながら、パフォーマンスに見とれていました。
Brian Enoとのコラボ、「Strange Overtones」は、原曲よりもダンサブルな印象。「Houses in Motion」ではシリアスでアフリカンな曲調に、サビの息の合ったダンスが迫力を加えます。「(Nothing but) Flowers」では、Davidが歌いながらギターを弾きながら軽快に踊るパフォーマンスに痺れました。
当然ですが、やはりDavidのギターは、うまい。
「This Must Be the Place (Naive Melody)」では、幻想的な森がスクリーンに映し出される中でのパフォーマンス。ダンスとシンクロしているからこそ、より深い迫力になっていました。
— Talking Headsの名曲が連なるクライマックス —
新作『Who Is The Sky?』から「What Is the Reason for It?」、「Like Humans Do」「When We Are Singing」「Independence Day」と続き、「Slippery People」では荒波がスクリーンに映し出される中での大迫力のパフォーマンス。圧巻でした。
「I Met the Buddha at a Downtown Party」「My Apartment Is My Friend」を挟み、「Air」「Psycho Killer」「Life During Wartime」「Once in a Lifetime」と、Talking Headsのカバーが立て続けに届けられます。
終幕に向けてのこの流れに、会場は大いに盛り上がりました。
—「人が、人といることを必要としている」 —
アンコールに入ると、Davidが1人静かに語り始めます。
「人が、人といることを欲している、必要としている」、コロナ禍でそのことを再認識し、「Everybody's Coming to My House」の本当の意味が理解できたとのことです。天井から1つのライトが降りてくるだけの演出の中、ニューヨークのアビシニアン・バプティスト教会合唱団のボーカルアレンジで、ゴスペルのように手拍子をしながら、会場全体と一体になって歌い上げます。
そしてラストは、Davidのギターリフから始まった「Burning Down the House」。最後は会場全体で大合唱。感極まりました。
約2時間、全21曲。そのうち11曲はTalking Headsのカバーでした。
1. Heaven ⭐️
2. Everybody Laughs
3. And She Was ⭐️
4. Strange Overtones(Brian Eno & David Byrne)
5. Houses in Motion ⭐️
6. T Shirt
7. (Nothing but) Flowers ⭐️
8. This Must Be the Place (Naive Melody) ⭐️
9. What Is the Reason for It?
10. Like Humans Do
11. When We Are Singing
12. Independence Day
13. Slippery People ⭐️
14. I Met the Buddha at a Downtown Party
15. My Apartment Is My Friend
16. Air ⭐️
17. Psycho Killer ⭐️
18. Life During Wartime ⭐️
19. Once in a Lifetime ⭐️
―― Encore ――
20. Everybody's Coming to My House(Vocal arrangement by La Fredrick Coaxner, Abyssinian Baptist Church Choir)
21. Burning Down the House ⭐️
🕺 The Only One
ステージには半円形のスクリーンがあるだけの、非常にシンプルなセット。
そこで繰り広げられたのは、精密に設計されたショーでした。
それぞれのパフォーマーはダンスと演奏を主にしながらも、David を含め全員がダンサーであり、奏者であり、コーラスでもある。楽器も曲によって変わります。スクリーンに映し出されるのも何気ない街のスナップ、自然風景、パーティーの様子、Davidの部屋——それらすべてがパフォーマンスと完璧にシンクロしています。
全ての振り、全てのスクリーンが精密に計算されている。それなのに全く嫌味がない、ナチュラルなパフォーマンスになっていたことが、何より驚きでした。
パフォーマーの名前がスクリーンに映し出され、パフォーマーの位置に連動して名前が動くという演出も印象的。1Fからは見えなかったそうですが、床もスクリーンになっていたとのことで、上階から見るとさらにステージの全体像が伝わったはずです。
そして印象深かったのは、Davidが話した後に、パフォーマーが日本語で通訳をしてくださったこと。 自分の思いをしっかりと伝えたいという、Davidの熱い気持ちと配慮に胸が熱くなりました。
観客の熱量もすごかったです。コーラスの声かと思ったら、お客さんの声がホールに反響して、それがまた大きなグルーヴになっていきます。まさに唯一無二のステージで、これは映像では絶対にわからない、その場のライブ感、空気感でした。
🌴 おわりに
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