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ショーンK ~ペルソナを具現化した男~

ショーンKという人を覚えているだろうか。

低くていい声。
彫りの深い顔。
落ち着いた話し方。
国際感あふれる雰囲気。

「国際派経営コンサルタント」としてニュース番組などに出演し、人気を集めていた。

ところが2016年、経歴詐称が発覚する。

ハーバードでMBAを取得。
パリのソルボンヌ大学に留学。

そうした華麗な経歴が事実ではなかった。

当然、大騒ぎになった。

出演番組を降板し、ショーンKは表舞台から姿を消した。

それから10年。

最近の記事で本人が取材を受け、

「今さら僕の何が面白いんでしょうか」

という趣旨のことを話していた。

いや。

今だから面白いんじゃないか。

と思った。


ペルソナを具現化した男

マーケティングには「ペルソナ」という考え方がある。

商品やサービスを届けたい相手を、

年齢、性別、仕事、収入、生活スタイル、価値観……

と細かく設定し、架空の人物像を作る。

でもショーンKを見ていると、逆のことをやったように思える。

自分自身のペルソナを作った。

「知的で、国際経験が豊富で、経営に詳しく、英語が堪能で、落ち着いた大人の男性」

そして、

そのペルソナを自分自身で具現化してしまった。

これがすごい。

声。

話し方。

服装。

髪型。

立ち居振る舞い。

語彙。

専門分野。

「ショーンK」というブランドの世界観が、かなり高いレベルで統一されていた。

普通なら企画書に、

「こんな人物を作りたい」

と書くところを、

「じゃあ俺がそれになる」

とやったわけだ。

しかもテレビの世界で、それが通用してしまった。

もちろん経歴詐称はダメだ。

ただ、それとは別に考えると、

自己プロデュース能力はものすごく高かったのではないか。

そりゃ、売れっ子コンサルタントにもなる。


失敗は「理想の自分を作ったこと」ではない

ショーンKの失敗は、自分をプロデュースしたことではない。

なりたい自分を考える。

その人物にふさわしい話し方を身につける。

知識を増やす。

服装を整える。

振る舞いを変える。

これは別に悪いことではない。

むしろ、セルフブランディングそのものだ。

問題は、

ペルソナに偽の履歴書まで持たせてしまったこと。

この一線を越えたことで、セルフプロデュースが経歴詐称になってしまった。


そして時代はAIになった

2026年。

生成AIを使えば、架空の人物を作れる。

顔を作れる。

声を作れる。

性格を作れる。

専門分野を設定できる。

話し方も決められる。

その人物と会話することさえできる。

例えば、

「あなたは国際派経営コンサルタント。落ち着いた語り口で、経営・組織・マーケティングをグローバルな視点から分析してください」

とAIに設定する。

それだけで、架空の経営コンサルタントが誕生する。

もちろん最初から架空のAIだと明示しておけばいい。

だったら何の問題もない。

むしろ今後、企業が自社専用のAIキャラクターを作ったり、経営者が自分のブランドを設計したりすることは当たり前になっていくのかもしれない。

そこで必要になるのが、

「ペルソナをどう具現化するか」

という技術だ。


ショーンKに聞いてみたい

そう考えると、今ショーンKに聞いてみたいことは、

「なぜ経歴を詐称したんですか?」

ではない。

もう10年前の話だ。

それより、

「どうやってショーンKという人物を作ったんですか?」

を聞いてみたい。

どんな人物になろうとしたのか。

なぜあの話し方になったのか。

なぜあの服装なのか。

声の使い方を意識していたのか。

どんな知識を身につけたのか。

どうやって「国際派経営コンサルタント」という人物像を維持していたのか。

そして、

一線を越えてしまったと感じたタイミングはどこだったのか?

成功と失敗の両方を本人が経験している。

これは今なら、ものすごく価値のある話だと思う。


ショーンKは取材に、

「今さら僕の何が面白いんでしょうか」

と答えたという。

いやいや。

今だから面白い。

生成AIによって、誰でもペルソナを作り、それを具現化できる時代になった。

10年前には「経歴詐称」で終わったショーンKの物語を、今あらためて見てみると、全く違うものが見えてくる。

ショーンK――ペルソナを具現化した男

彼の失敗は、理想の自分を作ったことではない。

理想の自分に、偽の履歴書まで持たせてしまったことだ。

ちなみに今度、経営についてAIに相談するときは、最初にこう入力してみようと思っている。

「あなたは国際派経営コンサルタント・ショーンです」

AIに別の人格をつくり、

経営の話はショーンに相談することにする。

10年経って、ようやく時代が追いついてきたのかもしれない。

#日々是楽日

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