【コラム】 御巣鷹への想い…人それぞれ様々に
私のように、御巣鷹の尾根を毎年目指す人もいれば、そうではない人もいらっしゃる。
親しくさせていただいている二人は、共にご家族を失ったご遺族だ。
お二人とも8月12日は万事お繰り合わせの上、御巣鷹慰霊登山を毎年なさっている。
ある時、お二人の会話を傍らで聞いた。
「ここ(御巣鷹の尾根)に来るから、故人への想いが強い…というわけじゃないわよね」
「そう。想いは、同じ家族でも様々だから」
「家族の中で、毎年ここに来たいのは私だけ…。家族でも、あそこには絶対に行きたくない!と言っているの」
「ウチも同じような感じ。一緒に行こう!と誘っても、行かない!とキッパリ断られるから…」
この会話は、他人には立ち入れない、家族それぞれの心の奥底。
またマスコミに対する考え方も、様々なのだ。
「取材を受ける時に『家族のことは言わないで』と、いつも念押しされてるのよ」
「ウチもそう思っているみたい…」
二人の会話を、私は黙って聞いているしかなかった。
私の親友のご両親も、夫婦で全く違っていた。
「静かに想えばそれでいい…あの子はそれを望んでいるはずだ」
お父様は年を重ねる度に、そうおっしゃっていた。
「あの子のことを語って、皆さんに思い出して欲しい」
お母様は真逆だった。
考え方の違いで、お二人は口論となって、その狭間にいる私をオロオロさせた。
ただ…私が今こうしてエッセイやノンフィクションを書きたいことを伝えた時、お二人からの回答はこうだった。
「任せるよ…。あの日のことを全て知っている人は、他にウチにはいないから」
快諾してくださったのに…。
残念ながら、私の執筆した作品は一つもお読みいただくことなく、お二人は他界されてしまった。
事故から41年目の命日に、報道された各メディアの記事に目を通す。
「遺族の高齢化」 「知らない世代」 「風化を防ぐ」
このワードが目立っていた。
また、いわゆる陰謀説も必ず出てくる。
それが事実か?
こじ付けか…?
私にはわからない。
もしかしたら、そんな隠された事実があったのかもしれない…。
………しかし、それがどうであったとしても、私はそれを公に否定したり、批判する立場にないと自覚している。
何を言ったところで、520名の命は返らない。
だから…あんなことを二度と繰り返してはダメなんだ。
航空会社だけでなく、全ての仕事がそうなのだ。
仕事の手順を誤ったり、基本を怠ると、命に関わる重大な事案になりうる。
交通機関はもちろん、教育、建設、運送、食品、医療、福祉、金融、保険、燃料、インフラ、繊維、通信、自然、人材、行政、政治………。
全ての業種が「人の命に関わっている」という自覚を持たなければいけない。
全ての仕事は「命」に関わって、預かっているのだ。
「命」は代替えができない。
本来、補償が効くものではない。
慰霊式が終わった時、航空会社の社長がマスコミの囲み取材を受けていた。
私は帰宅してから、その内容をネットで観た。
飲酒問題…。
後を絶たない…。
有るまじき行為。
「私の責任だ」と頭を下げる社長の顔は、青ざめているように見えた。
組織の最高責任者だから、社長に責任があるのは当然のことである。
しかし…だ。
やった本人が一番悪い!
乗務が控えているのに、大酒を煽った本人が悪い!
社会人として最低限のルール、マナーでもある!
それが守れない社員を、なぜもっと厳罰に処して、ルールに反せば終わりだよ!としないのか?
一流企業だと豪語するなら、三流以下の規程にするなと言いたい。
甘やかしが、後を絶たない原因だと思う。
ここで個人的な意見を言う。
飛行機の乗務員の飲酒が発覚したら、「御巣鷹支社」へ配属を変えること。
業務は、山の整備をとことんやること。
雨が降れば土砂崩れ、落石が起こる。
それを地元の方々の尽力で整備する。
何度も、何度も、あの急峻な山を登って。
いまだに土にめり込んでいる破片、もしかしたらご遺骨も…まだ土の中にあるのかもしれない。
彼らには、山を整備することと、未だ眠る遺品を丁寧に回収することを、任命していただきたい。
順当な処分ではないだろうか。
異論・反論、あったらいつでもどうぞ。
私は10倍返しする自信がある!
御巣鷹への想い。
私の想いは「命の大切さ」を語り継ぐ拠点だということだから。
了
几戸姶洛
